老化は治療できる。『LIFESPAN―老いなき世界』

Pocket

LIFESPAN(ライフスパン)―老いなき世界』の著者、デビッド・A・シンクレア 氏は、世界的に有名な科学者であり起業家です。ハーバード大学医学大学院で遺伝学の教授をされ、老化の原因と若返りの方法に関する研究で知られています。これまでに、35の賞や栄誉を授与されている方でもあります。

「老いなき世界」とは、決してSFの世界ではありません。理論とエビデンスに基づいて実証が進み、今現実に起こっていることです。本書を、次の4つのポイントでご紹介します。

  • 老いのメカニズム
  • 老化は治療できる
  • 老いないために出来ること
  • 私たちが築くべき未来

老いのメカニズム

老化とは、情報の喪失です。

私たちの身体の中には2種類の情報があり、それぞれDNA、エピゲノムと呼ばれています。

DNAは、アデニン(A)、グアニン(G)、シトシン(C)、チミン(T)という4種類の部品の組み合わせで表現される、デジタルな情報といえます。デジタル方式のため、同じ内容を正確に複製できるという特徴があります。

これに対してエピゲノムは、アナログの情報といえます。私たちの身体の細胞には、すべて同じDNA情報が含まれているにもかかわらず、何百もの異なった役割を持つ細胞になるのは、このエピゲノムが、遺伝子のスイッチを「ON」にしたり「OFF」にしたり、切り替えているためです。つまりエピゲノムとは、DNAのうち、どの遺伝子を使い、どの遺伝子を使わないかを決めるスイッチです。

エピゲノムは、それぞれの細胞の性質を決定しますが、アナログ情報なので、時間の経過とともに劣化していきます。(⇔DNAはデジタル情報なので、劣化しません。)エピゲノムが劣化すると、生まれ変わる細胞の品質も劣化していき、組織や臓器は段々とうまく機能しなくなっていきます。

筋力が低下したり、骨の密度が薄くなったり、脳の働きも鈍くなっていきます。つまりこのエピゲノムの劣化が、生命が老いるメカニズムなのです。

white and blue cassette tape
Photo by cottonbro on Pexels.com

老化は治療できる

老化の正体が科学的に解明されるにつれて、老化は原因のある病であり、治療が可能であることが分かってきました。

癌、心臓病、アルツハイマー病はそれぞれ個別の病気だと考えられてきましたが、これらは老化によって起こる症状にすぎないということが分かってきました。つまり、根本原因である老化を治療すれば、そこから派生するこれら全ての病気は、発生しなくなるということです。

老化は一般的には自然現象であり、避けることが出来ないものだと思われています。しかし、デジタル情報であるDNA自体は劣化しないことが分かったため、技術が進歩することにより、老化は治療可能になります。

老いないためにできること

老化を防ぐために今すぐできることは、実はたくさんあります。

基本的な方針は、エピゲノムに適度な刺激を与えて活性化するということで、例えば次のような事があります。

  • カロリー制限をする
  • 間欠的に断食する
  • アミノ酸を制限する
  • 運動して汗をかく
  • 寒さと暑さに身をさらす(特に寒さ)

これらはいずれも、身体を適度に追い込むことです。これにより、エビゲノムが活性化します。現状では、はっきりした科学的データは出ていないことも多いですが、カロリー制限に関しては、長年にわたるアカゲザルを対象とした研究から、効果が明らかになっています。ダメージを受けすぎない程度に身体に負荷をかけることで、老化の進行を遅らせることが出来るのです。

その点、私たちは一般的に食べすぎといえます。一日1食か2食で、カロリーはより少なくします。肉、魚、卵、乳製品のような動物性たんぱく質をなるべく避け、豆類や野菜から植物性たんぱく質を摂るようにしましょう。

これら身体に負荷をかける方法以外にも、接種するだけで老化を防ぐ働きをする薬も、既に次の通りいくつか明らかになっています。

  • メトホルミン(糖尿病の治療薬として使われているもの。糖尿病の処方箋が必要。)
  • NMN(ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド)
  • レスベラトロール(赤ワインに含まれる抗酸化物質)
vegetable lot
Photo by Daria Shevtsova on Pexels.com

私たちが築くべき未来

現在は、寿命の上限を120歳とされていますが、この上限が大きく伸びていく可能性があります。

しかし、このような話に不安を感じる人も多いのではないでしょうか。

  • 寿命が延びても身体が思うように動かない、老後の期間が長くなるだけではないか
  • 高齢者が多くなった時に、社会制度や医療制度は維持できるのか

この点著者は、寿命だけでなく健康寿命も共に延びていくと言います。

老化はあらゆる病気の原因となるもののため、老化自体を遅らせることが出来れば、癌、心心臓病、アルツハイマー病といった病気のリスクも大きく低下させることになります。

多くの方が健康な状態で100歳を迎えることが出来、しかも、現在の50歳並みの活動レベルを維持できるようになります。

100歳まで働き続けることを選ぶことが出来れば、経済の在り方も根本から変わっていくでしょう。社会全体を大きく動かすパラダイムシフトが、ごく近い未来で起きようとしています。

crop sportswoman stretching legs on green lawn
Photo by Ketut Subiyanto on Pexels.com

・・・・・・・・

今私たちは、老いなき世界への時代の転換点にいます。 老いなき世界が、もうすぐ近くにあるということです。未来が、楽しみですね!

本書に興味を持っていただいた方、詳細は 『LIFESPAN(ライフスパン)―老いなき世界』 をご参照ください。

☆関連記事

健康で若々しく長生きしたい方へ。『「AGE」の専門医が教える 老化をとめる本』

脳の老化を食い止め、アップグレードするには有酸素運動をすること。『一流の頭脳』

老後に気を付けるべきこと。『「貧乏老後」に泣く人、「安心老後」で笑う人』

にほんブログ村

投資信託ランキング

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。