タラ・ブラック著『ラディカル・アクセプタンスーーネガティブな感情から抜け出す「受け入れる技術」で人生が変わる』は、全米50万部、世界20か国で翻訳されているベストセラーです。マインドフルネスをベースとした心を癒し解放する技術が紹介されています。
自信をつけたい方、心を楽にしたい方、人を愛し人に愛されるようになりたい方へ。本書を、次の3つのポイントでご紹介します。
- ラディカル・アクセプタンスとは
- 自己批判に気づく
- 感情を受け入れる
ラディカル・アクセプタンスとは
私たちは無意識に、自分はダメな人間だと考える思考癖があります。
例えば鏡を見ると、「ブサイクだな」「老けてきたかも」等、ネガティブなことを考えることはありませんか?
また、嫉妬をしてしまったり、怒ってしまったとき等、自分の心の中にネガティブな感情が浮かぶと、自分を自己中で思いやりがない人間だと考え、自分を責めてしまうことはありませんか?
このような思考が、貴重な人生を無駄にしてしまうのです。どんなに理想のパートナーに恵まれても、金銭的に豊かになったとしても、「自分はダメな人間だ」という思いがある限り、安らぎは得られません。
ですので、人生で取り組むべき最も重要な課題は、心と頭を鍛えることで、自己批判の癖をなくしていくことです。毎日練習すれば、この思考癖は変化していきます。この「練習」が、ラディカル・アクセプタンスです。
ラディカル・アクセプタンスは、自分自身と人生をあるがままに受け止めることです。ネガティブ感情をコントロールしようとする癖を直し、自分の本当の気持ちを無視し続けて自己批判ばかりしてしまう私たちを救ってくれるものです。私たちに、愛と癒しをもたらしてくれるものです。
これにより初めて、真の自由が手に入ります。自由とは、ありのままにすべての物事を手に入れられた瞬間に手に入るものだからです。本当の自由を手に入れるには、自分のダメなところも全てひっくるめて優しく包み込むことしか方法はないということです。
「あなた方への私の願いはただ一つ。自分への愛を完璧にせよ。」(by スリ・ニサルガダッタ)
鏡を見て「ブサイク」だと考えることもいいし、そう考えてネガティブな気持ちになるのも、別にいいのです。
このようにネガティブな感情になるのは人間なのだから仕方ないし、世界中の全ての人が、普段見せないようにしてはいても、本当は同じようにネガティブな気持ちになっています。だから安心して穏やかな気持ちで、ありのままの自分を認めてあげることが大切なのです。

自己批判に気づく
自己批判に気づくことが、マインドフルネスです。
現在マインドフルネスが注目されていますが、それは、自己批判こそが現代の最大の病だからです。
「現代の最悪の病はハンセン病でも結核でもなく、誰からも望まれていないという気持ちになることです。」(by マザーテレサ)
「誰からも望まれていないという気持ちになる」ことは、自分を価値がないと考えていることです。これは、ほとんどの人が感染している病なのですが、自覚のある人はほとんどいません。この無自覚の病に気づき、真の自由を得ようとするのが、マインドフルネスであり、仏教です。
私たちの社会は、「甘え」「嫉妬」「自信がない状態」をダメな状態であると教育します。
例えば、男の子は「男らしくなければならない」とか、「泣いてはいけない」等。これにより「甘え」の感情が出てくると、自分を恥じ、その感情を否定してしまうようになります。本当はその感情が自分の中にはっきりあるのに、なかったことにしようとします。これが、根深い自己批判、自己嫌悪につながっていきます。
また、嫉妬等の感情も同じです。嫉妬はみっともないことだという価値観を植え付けられているので、自分の中に嫉妬の心を感じると、嫉妬をしていまう自分を責めます。自分を責め続けて、自分は価値のない人間だという思い込みを強めていってしまうのです。
だから、ネガティブ感情をダメだと思ってはいけません。甘えたくなったり嫉妬したくなるのは、人として誰もが経験する当たり前の感情です。これらのネガティブ感情を抑えることは不可能なので、どうやってうまく付き合っていくかを、本当は考えなければなりません。
人は、自分に自信が持てないときほど、自分の非は認められない傾向にあり、他人を責めることで一時的に自己否定の思いから逃れます。自分に厳しい人は他人にも厳しくなるというのも、同じことです。自分に優しくできないと、自己批判の度合いが増し、他人を責めるようになります。
よって大切なのは、物事の悪い面に目が行くとき、根っこにはいつも、ダメな自分という思い込みがあるということに気づくことです。
相手に良い印象を持たれようとするのは、自分の自信のなさを隠すための行為なので、根底にあるのは、自分への自信のなさ、すなわち自己否定です。
相手(例えばパートナー)を敵視している時、自分はきちんと愛される存在ではないという自己否定が根底にあります。
これらの「自己批判」の思考癖に気づくことから、自由への道はスタートします。
そしてこれらの「自己批判」に気づいたら、その思考や感情を優しく抱きしめ、あるがままを受け止めるのです。

感情を受け入れる
自分の中にずっと探し求めているものがあるのに、それに気づかず最後の日まで、自分の外にあるものを追い求めることは、人生最大の悲劇です。
誰もが、自由や幸せを手に入れたいと願って色々な努力をしますが、自分には価値がないという思い込みがある限り、そういうものは手に入りません。
ためらいなく人を愛し、人に愛され、偽りのない自分として自信をもって生きるためには、自己否定のパターンを止めることが人生で一番大切です。
それには、瞬間瞬間に起きている自分の人生経験全てを、はっきりとした意識と思いやりで受け止めることが大切です。条件反射的に自分を否定する思考を、コントロールしたり、批判したり、避けようとせず、全て優しくあるがままに受け入れるということです。
なお、ラディカル・アクセプタンスとは諦めではありません。
ありのままの自分を認められたら、変えることは出来ないと思うかもしれませんが、真実は逆です。ありのままに受け止めると、自分を変えることが出来るのです。
「奇妙なパラドックスは、自分をありのままに受け入れると、自分を変えることができるということです」(by カール・ロジャース)

・・・・・・・・
本書に興味を持っていただいた方、詳細は 『ラディカル・アクセプタンスーーネガティブな感情から抜け出す「受け入れる技術」で人生が変わる』 をご参照ください。
本書の英語版は 、『Radical Acceptance 』です。洋書を読むのも良いですし、洋書をAudible (オーディブル) で聴くのも良いと思います。Audible版は『Adversaries into Allies: Win People Over Without Manipulation or Coercion (English
☆関連記事
男性はパートナー次第。『稼ぐ男のパートナーvs稼げない男のパートナー』
幸福の正体、優先順位、性質。『精神科医が見つけた 3つの幸福』