コロナ禍により、日本社会にはこれまでに輪をかけて閉塞感が漂っています。将来のことを不安に思っている方も多いのではないでしょうか。
しかし、やりたいことはビビっているだけでは見つかりません。やりすぎなくらいでなければ、本当の技術・能力も身に付きません。
「大事なのは、折れない気持ちだ。どんなに追い詰められても、やりきる。障害があっても、ぶつかっていく。責められて、馬鹿にされて、苦しんでいる自分から決して逃げない。逃げずに踏ん張っていれば、いつか新しい地平が、新しい味方が、現れる。そのことを、僕は知っている。」
失敗を怖いと思う方、やりきる力を手に入れたい全ての方へ、堀江貴文著『やりきる力』を次の3つのポイントでご紹介します。
- やりたいことに、今すぐ飛び込め!
- 弱い自分と正面から向き合え!
- 変わることを怖れるな!
目次
やりたいことに、今すぐ飛び込め!
1.打算で生きるな
日本は元々、長引く不況の中におり、加えてコロナ禍もなかなか収束しません。この影響を強く受けているのが就活生です。
優秀な学生たちの間では、堅実志向がより強まっていると言います。東大、京大の就活生が希望する企業は、①野村総研、②アクセンチュア、③ボストンコンサルティング等といった、名だたる大企業が並んでいます。
堀江氏は、もしこの志望動機が「有名企業だから安定している」、「不穏な社会情勢の中で強い」という理由だとすれば「呆れ果てる」と言います。大企業は小さい企業より安定していますし、親を安心させることも出来るでしょうし、合コンでモテることもあるでしょう。しかし、本当はもっとやりたいことがあるのではないでしょうか。
安定した環境や他人の目に囚われて、本気でやりたいことにたどり着けた人を見たことがないと、著者は言います。安定や他人の評価よりも、自分が熱くなれることが大事です。人生の貴重な時間を安定を求めて会社に預けてしまうのは勿体ないと思いませんか?
2.ビビるな!
「やりたいことを明確にしろ」と言うと必ず出てくるのが、「やりたいことが見つからない」、「どうしたらやりたいことが見つけられるのか」と言うものです。
これに対し、堀江氏はいつも次のように答えるのだそうです。
「やりたいことが見つからないー。もし、あなたがそう思っているとしたら、心の中で大きな嘘をついている。やりたいことがない人間なんて絶対にいない。それは単純に、今まで行動不足で過ごしていた結果だ。本当にやりたいことに、まだ巡り合っていないだけのことだ。」
では、やりたいことに巡り合うためにどのようにすれば良いのでしょうか。それは、適性や損得を考えず、ノリを最重視しして、やれること全部に手当たり次第チャレンジすればいいのです。やりたいことは見つかるのではなく、動き回っているうちに向こうから手の内に飛び込んでくるものなのです。ですので、やりたいことが見つからない理由は、「止まっているから」です。
面白いチャレンジや、没頭できる娯楽は、止まっている人の元には飛び込んできません。これは「やりたいことかもしれない」と思ったことを実際にやってみたらすぐに飽きてしまったなどということもあるかもしれません。しかし、飽きることに何の問題もありません。視野を広げ、今とは別の分野にチャレンジすればいいだけです。本当にハマることに出会ったら、そこに没頭していきましょう。
「今は将来に向けて我慢しなければいけない」と考える人もいるかもしれませんが、この思考こそが、やりたいことが見つからない原因です。将来の準備ばかりに注力すると、今がつまらなくなります。
私たちは幼い頃から、「事故のない、目的地のはっきりした列車に乗っていることが正しい」と教え込まれて育ちますが、全員が同じ景色を見て、同じ目的地に着くのが果たして幸せなのでしょうか。人によって、幸せの形は違うはずです。
このシステムは、日本が貧しかった時代、国力を発展させるためには適していましたが、テクノロジーが進んだ現代、最適解は変わったはずです。自分が本当に活躍できそうだと思えること、これがいいかもと思えることを見つけたら、怖がらずにその列車を途中下車してみることをお勧めします。途中下車したところで、罰する人もいませんし、もう一度戻ることも出来ます。一番勿体ないのは、迷いながら、途中下車せずに時間だけが過ぎることです。眺めているだけでは、決してチャンスはつかめません。
一歩踏み出せば、やりたいことは次から次へと現れるのです。ビジネスでもスポーツでも、あらゆる分野で成功している人達は、途中下車するという行動をした人たちです。

弱い自分と正面から向き合え!
1.他人に期待するな!
堀江氏は普段からたくさんの仲間に囲まれた生活をしており、気の合う友人・知人と語り合ううちに、ビジネスのアイデアが生まれてくることもあり、この方々への感謝を強く感じていると言います。
しかしその一方で、仲間からの裏切りにも度々遭っているそうです。いくらリスクマネジメントを徹底しても、人の心だけはどうにもなりません。背中から不意打ちされ、崖から突き落とされるようなひどい裏切りも、珍しくありません。人に裏切られないための絶対の方法などないのです。
もし裏切られることがあれば、そこにはその人なりの都合と理屈があったというだけなのです。相手が考えることに、こちらから関わることは出来ません。
裏切られた時の正しい対処法はただ一つ。「許すこと」です。
かつて強固に築いた信用も揺らいでしまうことはあります。相手を信じるかどうかは自分自身が決めることです。自分が勝手にその人を信じて、勝手に関係を築くわけですので、いつか信用を傷つけられたとしても、許すしかないのです。その人の裏の顔を受け入れましょう。
仲間の裏切りが辛いという方は、きっと他人に期待しすぎています。他人も自分も変わり続けます。それを受け入れることが出来れば、裏切られても必要以上にがっかりしたりしないでしょう。
期待の矢印を、他人ではなく自分に向けるのです。つまり、「自分を信じ、他人は信じない」、これが自分を守る最低限のリスクヘッジです。
2.熱中をやめるな!
「依存症」という病気に認定されることで、若者のやりたいことや好きなものが、大人からいいようにシャットアウトする社会になっていくことを、堀江氏は危惧しています。
スポーツならのめり込んでも立派だと言われるのに、ゲームになると依存症扱いされます。これに違和感を感じる方も多いのではないでしょうか。
これからは、好きなこと・やりたいことが仕事になっていく時代です。これまでの基準では評価されずお金になりにくかったことが、大きく稼げる分野に成長する可能性があります。YouTuberやドローン操縦士が職業として確立されることは、十年程前には誰も考えつかなかったはずです。
ゲームに夢中になっても、プロゲームプレーヤーになったり、ゲーム実況者になって生計を立てられる時代です。特にゲーム業界は世界中で拡大の一途をたどっており、eスポーツも数年で1,000億円単位の巨大市場に成長しました。
成功したトップ層は、病的にのめり込んで、本当の技術や能力を磨いた人たちです。これを「依存症」扱いすることは、その可能性を邪魔することになりかねません。

変わることを怖れるな!
1.好奇心を持ち続けろ!
2005年、スティーブ・ジョブズ氏はスタンフォード大学の卒業式で、有名な以下の言葉を述べました。
“You can’t connect the dots looking forward; you can only connect them looking backwards. So you have to trust that the dots will somehow connect in your future.” (将来を見据えて、点(出来事)と点(出来事)を結びつけることはできない。後で振り返って見たときにしか、点と点を結びつけることはできない。だからあなた方はとにかく、点と点が将来結び付くことを信じなければならない。)
堀江氏が若い人たちに行動を促す理由は、この言葉に全て集約されています。
出来るだけたくさんの「点」を打ちまくれ!ということです。
ジョブズ氏は、人間関係の確執も経験し、会社に大損害を与えたこともありますし、裏切りにもあって、会社から追われたこともあります。しかしそれでも彼は立ち止まらず、前を見てひたすら行動し続けました。強力な「やりきる力」の持ち主であったと言えるでしょう。
堀江氏は、ジョブズ氏のことを以下のように述べています。
「彼は、ナンバーワンの経営者になりたかったわけではないだろう。お金持ちになりたかったわけでもない。i phoneの発明にも、満足していなかったと思う。ただ、「点」を乱打することだけに夢中だった。」
その時その時に打った「点」の数々が、後になって勝手に意思に則ったかのようにつながり、イノベーティブな成果を生み出すということです。
堀江氏自身も、たくさんの事業を手掛け、多くの「点」を打ってきました。そしてこの「点」がつながる感覚が分かると言います。好きなように打ちまくってきた「点」が、まさかと言うタイミングでつながり、意外なチャンスを持ってきてくれる瞬間は、他には代えられない快感であると言います。
動いて動いて、周囲に呆れられるくらい行動しよう。こうして打った多くの点は、やがて迎える今を描く太い線になります。人生を変える線をどのように描き出すかは、その人の行動次第です。
2.怖がらずに飛べ!
バンジージャンプを飛ぶ場合、飛ぶかどうかは自分の意思で決めなくてはなりません。人生は、バンジージャンプの連続のようなものです。進学、就職、恋愛、結婚等に飛び込むかどうか、自分で決めるのです。
なお、バンジージャンプの金具は安全です。ジャンプした時の景色を、全身で風を受け止める感覚を、鳥のように最高に楽しめるよう、厳重に設計されています。人生も同じです。飛ぶ瞬間は怖いかもしれませんが、落ちた後は急浮上してしっかり景色を捉えることが出来ます。
堀江氏は、「人より少し多くジャンプしてきた人間として、絶対に大丈夫と、自信をもって保証する」と言います。飛べば、最高の景色が用意されています。飛べないとすれば、飛べる自分を信用していないだけです。
バンジージャンプを経験された方は誰もが、「気持ちよかった」と満足されているそうです。自分で飛ぶと決めて、後悔した人はいないんです。逆に飛ばなかった後悔は、いつまでも残るでしょう。
人は死ぬときに、やったことよりもやらなかったことを深く後悔するのだそうです。貴方の過去を思い出してみてください。「やらなかったらよかった」と思うことも、笑えて懐かしい感じもあると思います。一方で、「やっておけばよかった」という記憶は、苦しいものではないでしょうか。後悔しないためには、挑戦するしかないのです。

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本書に興味を持っていただいた方、詳細は『やりきる力』 をご参照ください。
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