『「食べない」ひとはなぜ若い? 空腹でオン!「長寿遺伝子」の驚異』

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「食べない」ひとはなぜ若い? 空腹でオン!「長寿遺伝子」の驚異』の著者、船瀬 俊介さんは、早稲田大学第一文学部社会学科卒業後、日本消費者連盟に出版・編集スタッフとして参加され、現在「医」「食」「住」問題を中心に、執筆、評論、講演活動を続けている方です。

本書では、様々な研究や実験の結果や実例に触れながら、「少食」や「断食」の持つ若返り効果や長生きの影響について、解説されています。

本書を次の5つのポイントでご紹介します。

  • チリ鉱山33人サバイバル劇
  • 死期を早めた子規の食卓
  • 野生動物の病気の治し方
  • 少食なら健康で長生きできる
  • 長寿遺伝子を「オン」にすれば、身体も脳も若返る

チリ鉱山33人サバイバル劇

2010年、南米のチリ鉱山で起こった落盤事故により、33名の作業員が坑道に閉じ込められてしまったという出来事がありました。

落盤の後すぐに救出活動が始まったものの、現場の崩落がひどく、33名の作業員たちは2週間以上も地下700mの密閉空間で、ほぼ食料ゼロの状態で閉じ込められました。生存は絶望視されていましたが、救急隊員が直径8センチのドリルで穴を掘っていきました。事故から17日目、そのドリルを引き上げると、先端に「俺たちは生きている。33名全員無事だ。」と書かれた紙が結び付けられていました。

それから、食料などの物資を地下まで送り届けながら救出作業をし、全員救出されたのは、実に事故から69日目でした。深さ600m以上の地下で、これだけの人数の全員が2か月以上生き延びた例は、他にありません。

落盤事故が起こった当時、地下の避難所にわずか1日分の予備食糧しか蓄えられていませんでした。ツナ、サーモンの缶詰がそれぞれ10個程、クラッカーとミルクが少しです。

これを作業員のリーダーが誰一人例外なく、食料は3日で一人あたり「ツナ缶2さじ、クラッカー2分の1、ミルク2分の1カップ」と決めました。摂取カロリーは限りなく0に近かったといえます。

しかし救出された時には全員が想像以上に健康な状態でした。その理由を、断食療法の指導者は「標準の断食コースが20日間なので、生きているのは当然。断食を行うと非常に安定した精神状態になり、体重は減るが、心身とも引き締まって健康になる。」というのです。

食べないことが、逆に人間に強い生命力と精神力を与えるというのは驚きの事実ですが、これはヨガの世界では5,000年以上も前から言われていたことでした。

「腹八分で医者いらず、腹六分で老いを忘れる、腹四分で神に近づく」(ヨガの教義)

仏陀もイエス・キリストも、悟りを開くために断食修行を行っています。食を節し、食を断つことで、心身は最高の高みに達すると考えられたからです。そしてこれは、生理的、心理的にも正しいということが現代医学で証明されてきています。

もし、南米のチリ鉱山で起こった事件当時、もっと多くの食べ物があったとすれば、過酷な環境に耐えきれずパニックになり、暴動や殺し合いにまで発展していた可能性もあります。食べ物が少なくてラッキーだったともいえるかもしれません。

salt mine entertainment park with hanging led lamps and various attractions
Photo by Julia Volk on Pexels.com

死期を早めた子規の食卓

「柿食えば金がなるなり法隆寺」の正岡子規は、大食いが原因で亡くなりました。35歳の時です。

彼は甘党で、1度に柿を11個食べたりもしていました。そして、甘いものを中心に暴食を繰り返した結果、糖の取り過ぎにより「脊椎カリエス」という病気になり、寝たきりになりました。「脊椎カリエス」とは「脊椎の結核」と言われ、脊椎の骨が侵され、破壊され、変形し、さらに膿が身体の各部に溜り、漏れます。打痛、圧痛、神経痛、運動麻痺などを伴います。

しかし、子規氏は末期になっても大食いをしていたそうです。寝たきりなので腹ばいの状態で食べるのですが、彼が残した日記によると、1日の食事は「朝 お粥4椀、昼 お粥4椀、夜 炊き込みご飯4椀、間食としてココア牛乳1合、菓子パン10個、梨3個」というメニューです。そして、食べては吐いていました。そして、35歳という若さで亡くなりました。

世界の「抗齢学」「栄養学」により、生き物は栄養物を多く与えるほど早く死ぬという結論が出ています。たくさん食べるほど、早く死ぬのです。

sliced fruits on tray
Photo by Trang Doan on Pexels.com

野生動物の病気の治し方

野生の動物は、ケガや病気をした時、巣穴にこもって何も食べず、じっと横たわって体を休めます。食を断つことで、本来消化吸収に向けられるエネルギーが全て身体の治療に回され、それにより自然治癒力が高まることを、動物たちは本能で知っています。

実際、断食をすると免疫力は数倍から数十倍に激増すると言われています。そのため、病気の時の鉄則は、食べないで、動かないで、寝ていることです。

少食なら健康で長生きできる

カロリー制限をすれば寿命が延びるという研究論文は、実は80年以上前からありました。

コーネル大学のマッケイ博士による「マウスの栄養と寿命に関する論文」には、摂取カロリーを60%に制限したマウスは、好き放題食べていたマウスより2倍生きたという研究結果が書かれています。当時は、「カロリーを摂ることが身体に悪い」という考えはなかったので、この論文はそれまでの栄養学を根底から覆すような衝撃的なものでした。

人間にも同様の話があります。戦時下のヨーロッパでは、人々は空腹におびえながら毎日生活をしていました。その状況下で、研究者たちはストレスにより早死にする人が増えることを予測していましたが、実際は逆でした。平和な時に比べ、当時多かった心臓病による死者が2割も減り、長生きしました。その理由は、食糧難による配給制でカロリーが制限され、少食生活になっていたからだと考えられています。

また、「抗齢学」を研究する学者たちは、様々な動物実験で、カロリー制限の長寿効果を研究してきました。中でも、ウィスコンシン大学の研究チームによる20年にわたるサルの観察の記録は世界的注目を集めました。

人間に最も近いサルでも、ほぼ同じ年齢の、カロリーを7割に制限したサルと餌を食べたいだけ自由に食べさせたサルを比較すると、青年と老年と言っていいほど、見た目も運動能力も差がつきました。(下図参照)

(出所:腹八分目はサルでも寿命を延ばす⁉ (jsbba.or.jp)

カロリーを7割に制限したサルは、肥満が少なく、癌、糖尿病、心臓疾患、脳委縮など加齢に関連した病気も減少し、好きなだけ食べたサルと比べて1.6倍も生存率が増えたそうです。

寿命を延ばし、年を取った時の生活の質も向上し、病気にもかかりにくくなるということに、カロリー制限が強く関係していることは、もはや明確です。そして、サルと同じ霊長類である人間も、少食にすれば同様の効果を得られる可能性が極めて高いのです。つまり、最も優れた老化防止法は、薬やサプリメントではなく、少食にすることです。

長寿遺伝子を「オン」にすれば、身体も脳も若返る

人間の細胞の中には、老化や寿命に関係する長寿遺伝子と呼ばれるものが50種類ほどあります。中でも、「サーチュイン」という長寿遺伝子が、老化抑制の働きをするということが、マサチューセッツ工科大学の研究で発見され、注目されています。

これらの長寿遺伝子が「オン」、つまり活性化すれば細胞は若返り、健康で長生きすることが出来ます。そしてこの長寿遺伝子を活性化させる鍵が、「少食」です。

ウィスコンシン大学のサルの研究でも、カロリーを7割に制限したサルは細胞内の長寿遺伝子の量が多く、好きなだけ食べたサルは長寿遺伝子が少なかったことが判明しています。

人間が狩猟採集生活をしていた原始時代では、冬などで獲物が取れなければ食べるものが1週間何もないなどは当たり前だったと考えられます。そういう空腹時に、生命維持のため、細胞や肉体を健康に保つ働きをしていたのが長寿遺伝子と考えられています。

飽食の時代と呼ばれる現代、特に先進国では、人々は飢えることなく常に食べ過ぎの状態で、長寿遺伝子のスイッチが「オフ」になっていることが多いのですが、意図的に少食にしたり断食して、長寿遺伝子を「オン」にさえすれば、老化が抑制され、若々しく長生きできるようになるということです。

light field summer sun
Photo by Kulbir on Pexels.com

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なお、老化防止の3原則は「カロリー制限」、「運動」、「抗酸化」と言われています。

本書に興味を持っていただいた方、詳細は 『「食べない」ひとはなぜ若い? 空腹でオン!「長寿遺伝子」の驚異』をご参照ください。

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