『死ぬときに後悔すること25』の著者、大津 秀一さんは、終末医療の最前線で活躍されている医師であり、これまで約1,000人の患者さんを看取られてきました。
どんな人も、自分の死期が近づくと必ず、自分がそれまでに歩んできた道のりを振り返ることになります。そして、ふりかえった時に多くの人が後悔することというのは大体決まっています。
死ぬときに後悔することを事前に知っておくことで、死ぬ直前に後悔することを減らすことが出来るでしょう。本書を次の9つのポイントでご紹介します。
- 健康を大切にしなかったこと
- 自分のやりたいことをやらなかったこと
- 仕事ばかりで趣味に時間を割かなかったこと
- 結婚をして子供を育てなかったこと
- 行きたい場所に旅行しなかったこと
- 他人に優しくしなかったこと
- 遺産をどうするか決めなかったこと
- 自分の生きた証を残さなかったこと
- 愛する人に「ありがとう」と伝えなかったこと
目次
健康を大切にしなかったこと
健康ほど、人生を楽しむために必要なものはありません。
例えば、頭痛がひどかったり高熱の状態で旅行に行っても楽しむことは出来ません。健康は失って初めて一番大切なものだということが分かります。
現在(2020年データ)最も多い死因は癌で、死者数は年間約38万人、死亡総数に占める割合は28%に上ります。そして癌で亡くなる方のほとんどが、もっと早く検査しておけばよかったと後悔しています。
<参考>

この後悔をなくすためには、人間ドックや癌検診を定期的に行う必要があります。なお、会社で行われる健康診断では、生活習慣病などの発見は出来ても、癌の早期発見には向いていません。
本書には、20代後半になったら胃カメラや、女性であれば乳がん検診を行う方が良いと書かれています。健康なうちに、健康を大切にしておくことが大切です。

自分のやりたいことをやらなかったこと
多くの患者が人生を振り返った時に、自分に正直に生きられたのかを考えるそうです。
言いたいけれど言えなかったことや、やりたいけれどやれなかったことが人生を振り返った時に大きな後悔になります。特に日本人は、鬱による自殺が多いことからも分かるように、ひたすら我慢を重ねてしまいます。
ある患者は、死を前にして「先生、ひたすら耐えるだけの私の人生とは、いったい何だったのでしょうか」と言ったそうです。
人生は一度きりです。我慢し続けていいこと等、何もありません。今の自分を振り返ってみましょう。
- 自分に嘘をついて生きていないでしょうか
- 自分の本音に蓋をして生きていないでしょうか
- 我慢し続ける人生になっていないでしょうか
自分に嘘をついて生きてきた人は、死ぬ直前に必ず後悔することになります。やりたいこと、我慢していることがあれば、たとえ失敗したとしても挑戦してみる方が良いのです。他人に何を言われても、自分の望み通りに生きる勇気を失わないようにしましょう。
私たちの人生の時間は決して長くありません。

仕事ばかりで趣味に時間を割かなかったこと
実際に、仕事を優先して趣味などの時間を蔑ろにしている人は多くいます。仕事が生きがいの人もいるでしょう。
しかし、仕事=人生になってしまうのは少し危険です。なぜなら、歳を取ったり病気になると仕事が出来なくなり、抜け殻のような無気力な状態になってしまうからです。そうなって初めて、自分には仕事しかなかったことに気づきます。そこから没頭できる趣味などを探してみても、そう簡単に見つかるものではありません。
仕事は大事ですが、仕事=人生になってしまわないよう、バランスを大切にしましょう。
いつか仕事が出来なくなった時にも自分の居場所があれば、人生は楽しいし、心に余裕を持つことも出来るでしょう。
結婚をして子供を育てなかったこと
最近は、結婚にこだわらないカップルも増えました。一人で何の問題もなく生きていけますし、晩婚化も進み、離婚も増えています。
しかし、死ぬ間際になると、自分の生きた証を残しておきたいという思いが出てくるのです。
実際に大津先生は、女性患者の余命が残り僅か2か月程度でありながら結婚式を行い、男性が籍を入れたケースを何回も見てきたそうです。
また「子供を育てなかったこと」も多く聞かれる後悔の言葉です。なぜなら、病院に入院するとたくさんの家族がいる人が目に入り、それを独身の人が見ると、やはり子供を作っておけばよかったと思うのだそうです。
子供を育てることは、とても大変なことです。しかし、損得を越えたところでつながっているのが家族であり、自分の死が迫った時に、人はその絆を求めるのです。

行きたい場所に旅行しなかったこと
日本人は年間で約140万人が亡くなり、そのうち約100万人が病院で亡くなっています。最期の場所は、大抵病院になるということです。
病気になってからでは、旅行に行こうと思ってもそう簡単にはいけません。例えば、癌患者が国内旅行をする場合、航空会社から様々な書類が届き、様々な手続が必要になるようです。海外旅行に行く場合は、もっと手続が必要になるでしょう。空の上で重体になる可能性に対する責任を、航空会社が負えないからです。
つまり、一度重い病気になってしまうと、旅行に行くのも一苦労になります。また、仮に旅行に行けたとしても、現地で楽しむ体力が残っていない可能性もあります。
だから、いつか行きたいと思っている場所があるなら、出来るだけ早く、健康なうちに行っておいた方が良いでしょう。
他人に優しくしなかったこと
世の中には、誰かを恨んだり怒ったり、蹴落としたりすることで、自分の欲求不満を解決しようとする人も多くいます。家族や友人に、ひどい態度をとったこともあるのではないでしょうか。
死を前にすると、「なんでもっと人に優しく接することが出来なかったのだろう」と思うようです。他人への思いやりを持たずに生きてきたために、家族や友人がおらず、自己嫌悪になっている人も多くいます。

遺産をどうするか決めなかったこと
自分の遺産をどうするか、考えておくことはとても大切です。遺産が残らないように全て自分で使い切るのでもいいし、全額寄付するのでも、家族に分けるのでも良いと思います。
どのような使い道でも、元気なうちに子供たちと遺産について話し合っておくべきでしょう。
なぜなら、「遺産が平等なのであれば自分がたくさん親の介護をするのは嫌だ」という子供がいたり、「遺産をめぐって家族で骨肉の争いが始まる」ということも、大津さん自身、よく目にされていたからです。
病気になってから、お金の話を長時間するのも疲れるので、そうなる前に、自分のお金の使い道は決めておくべきでしょう。
自分の生きた証を残さなかったこと
人間は、自分の生きた証を残したいものです。老人が自伝を書こうとするのも、そのためです。何を残すかは、人によって異なるでしょう。
作品の人もいれば、子供の人もいれば、手紙の人もいます。
健康なうちに、出来るだけ早く、人生の総括をしておくべきです。
愛する人に「ありがとう」と伝えなかったこと
日本人は、愛していても、感謝していても、言わなくても分かると思って、口に出して言うことをあまりしません。口で言うよりも、行動や気遣いで示していればいいと考えがちです。
筆者は、「愛している」と言うことに抵抗があるのであれば、「ありがとう」と言って欲しいと言います。人が死ぬ時に後悔するのが、愛する人に「愛している」、「ありがとう」と伝えなかったことだからです。

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本書に興味を持っていただいた方、詳細は『死ぬときに後悔すること25』をご参照ください。
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