昔から、「女の敵は女」と言います。女子の人間関係ってめんどくさい!と感じたことがある方も、少なくないのではないでしょうか。
嫉妬心が強く人の足を引っ張ろうとする「女」、表面上は感じがいいのに裏で陰口を言う「女」、男性の前で可愛い女を演じる「女」、群れたがる「女」、感情的になる「女」、不機嫌になる「女」・・・等々。
このような、「だから女は・・・」と言われる特徴は、男性よりも女性の方が性格が悪いためではなく、女性が置かれている社会的背景によりつくられます。
そんな「女」の特徴を知れば、女性との関係がスムーズになるのではないでしょうか。精神科医である水島広子さんの著書、『女子の人間関係』を、次の2つのポイントでご紹介します。
- なぜ「女の敵は女」なのだろう
- 「女」に巻き込まれなければ自分を守れる
目次
なぜ「女の敵は女」なのだろう
なぜ、「女の敵は女」なのでしょうか。ここでは、その背景を3つ挙げます。
「選ばれる性」から作られる「女」
未だに一般的には、女性は男性から選ばれる性という傾向があります。
女性にとって、誰かが男性から選ばれるということは、自分は選ばれなかったということになり、傷つきます。例えば、誰かが「綺麗だね」と言われると、自分は「綺麗だね」と言われなかったということで、傷つくのです。
また「どれだけ社会的地位の高い男性と結婚したのか(選ばれたのか)」が女の価値と関連して語られることも多くあります。よく、女性が自分の夫や子供の自慢をするのは、結婚相手が自分の価値だと考えてしまうところがあるからです。
誰かが選ばれたということは、誰かが選ばれなかったということでもあります。そうなるともちろん、嫉妬が生まれます。「なぜ自分ではなくあの女が選ばれたのだ」と敵視するようになります。「女の敵は女」ということです。
そしてそれが時に、選ばれなかった女性から選ばれた女性へのバッシングにもつながります。僻んでいるとは思われたくないので、「彼女、本当は〇〇なのよね」と暴露するような「陰口」としてあらわれるのです。
一見これは女性同士の僻みあいのようですが、問題の本質は、女性が陰湿だからではなく、男性から選ばれるという受け身の立場に置かれているという社会的背景にあります。
女性が嫉妬しやすく、人と比較するのも、選ばれる性だからです。
一般的に男性は、社会的地位や達成感という絶対的評価を基準にしています。一方で女性は、選ばれる、選ばれないという閉鎖空間での相対評価を基準にしているため、嫉妬、比較が生まれやすいのです。
「男性中心社会」によって作られる「女」
バリバリ働いている独身女性に対して「子供もいないくせに」とか、子供もいてバリバリ働いている女性には、「どうせ自分で子育てしていないんでしょう」、「夫と子供をほったらかしにするなんてかわいそう」等という悪口を、聞いたことはありませんか?
しかし、活躍している男性は、「子供もいないくせに」とか「どうせ自分で子育てしていないんでしょう」等とは言われないですよね。
このような女性同士の足の引っ張り合いに見えることも、問題の本質は、子育ての責任が女性にあるという社会的背景にあります。
女性は出産や子育てをするために会社を辞めたり、自分のキャリアを諦めざるを得ないことが多いので、社会的に活躍している女を見ると、「私は我慢して出産や子育てをしているのに、あの女は何なんだ!!」というイライラした感情が芽生えてしまうのです。
「女らしさ」を求められることによって作られる「女」
女性は、様々な場面で「女らしさ」を求められます。
子供のころから相手の顔色を読んで察すると、「よく気が利く」と褒められてきたのではないでしょうか。そういう人は、察することは良いことだという認識があります。しかしこれにより、自分の領域と相手の領域があいまいになっていきます。
「お母さん病」というような、相手の領域に踏み込んで余計なおせっかいをする人もいれば、逆に、相手にも自分のことを察してもらって当然という感覚になる人もいます。
そういう人は、機嫌が悪そうな顔をして、相手から「どうしたの?」と言ってもらうことを期待しています。そして、察してもらえないとさらに機嫌が悪くなってしまいます。
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「女」の嫌な特徴とは、女の癒されていない心、心の傷なのです。ですので、女性とうまく付き合っていくには、心の傷を癒していく必要があります。

「女」に巻き込まれなければ自分を守れる
女性とうまく付き合っていくには、「女」に巻き込まれないことです。女が他の女とうまくやっていくためには、他の女を「女」として見ないことです。
例えば、女性にだけ厳しい女性の上司に対してどう対処すれば良いでしょうか。
巻き込まれない
女性にだけ厳しい女性の上司には、物理的、精神的に巻き込まれないようにします。
「嫌だな」、「なんでだろう」とストレスを感じる時点で、精神的に巻き込まれています。そうではなく、この上司は「男性中心社会」によって作られた「女」のパターンなのだと考えて、距離を置くのです。
その上司が女性にだけ厳しくても、それは彼女の心の傷であり、彼女の問題です。自分の問題ではないと切り離しましょう。
自分を守る
「これだから女性の管理職は」と、上司の悪口を言ったり見下したりしないことです。ポイントは、自分は「女」の嫌な特徴を持った「女」にならないということです。
女を捨てるということではなく、「女」の嫌な特徴を手放すのです。そうすると、周りの女を刺激しないので、「女の敵は女」の状態になりません。
「女」を癒す
相手の中の「女」と自分の中の「女」を癒すということです。上司の心の傷だけではなく、自分自身の心の傷も振り返りましょう。
上司を上司としてではなく、一人の女として厳しい目線で見ていませんか?女であることに甘えて、男性の上司の前で演じたりしていませんか?自分では気が付かなくても、苦手な女性がいるということは、自分の中の女が刺激されているということです。
そう思うと、苦手な女性も、自分の中の「女」に気づくきっかけをくれている貴重な存在に見えてくるのではないでしょうか。

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本書に興味を持っていただいた方、詳細は『女子の人間関係』 をご参照ください。
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