結婚したくないのではない。結婚できない時代なのだと思う。

~令和8年版こども白書から見える日本の現実~
はじめに
少子化という言葉を聞くと、
「最近の若者は結婚したがらない。」
「子どもを欲しがらない。」
そんな声を耳にすることがあります。
でも、本当にそうなのでしょうか。
今回は、令和8年版こども白書のデータを一つひとつ見ながら、日本で何が起きているのかを考えてみたいと思います。
結論を先に書くと、私は「結婚したくない」のではなく、「結婚できない」「子どもを持ちたくても持てない」という現実があるように感じています。
出生数は過去最低になった
まず目に入るのが出生数です。
1949年には約270万人だった出生数は、2025年には約67万人となり、76年で4分の1以下になりました。
合計特殊出生率も1.14と、過去最低を更新しています。
ここだけを見ると、「若者は子どもを望まなくなった」と考えてしまうかもしれません。
しかし、この後のデータを見ると、少し違う景色が見えてきます。

婚姻件数も大きく減っている
出生数だけではありません。
婚姻件数も大きく減っています。
1972年には約110万組だった婚姻件数は、2025年には約49万組。
半分以下になりました。
日本は婚外子の割合が諸外国と比べて低い国です。
つまり、多くの子どもは結婚した夫婦のもとで生まれています。
そのため、婚姻件数が減れば、出生数も減る。
これは自然な流れと言えるでしょう。

晩婚化も進んでいる
平均初婚年齢は、男性31.0歳、女性29.7歳。
さらに、第一子を出産する母親の平均年齢も31歳となっています。
もちろん、晩婚化そのものが悪いわけではありません。
ただ、結婚や出産が遅くなるほど、第二子、第三子を持つ時間的な余裕は短くなります。
これは価値観だけではなく、年齢という現実も関係しています。

未婚率は上昇し続けている
25~29歳では、男性の約73%、女性の約62%が未婚です。
30代前半でも未婚率は高い水準となっています。
「結婚する人が減った」というより、「結婚する年齢が遅くなっている」ことも、このデータから読み取ることができます。

それでも、多くの若者は結婚したいと思っている
未婚者に「いずれ結婚するつもりですか。」と尋ねると、男性81%、女性84%が「いずれ結婚するつもり」と回答しています。
つまり、多くの若者は結婚そのものを望まなくなったわけではありません。

独身でいる理由は「結婚したくない」ではない
では、なぜ結婚しないのでしょうか。
理由を見ると、男女とも最も多いのは
「適当な相手にまだ巡り会わない」でした。
男性では、
「結婚資金が足りない」
「収入が安定しない」
といった経済的な理由も多く見られます。
女性では、
「自由や気楽さを失いたくない」
「仕事との両立」
などが挙げられています。
どれも現実的な理由ばかりです。
「結婚したくない」のではなく、「結婚できる状況にない」という人も少なくないことが分かります。

雇用の安定は結婚にも影響している
男性の雇用形態と配偶率を見ると、その差は非常に大きくなっています。
30~34歳では、正社員の配偶率は約56%。
一方、非正規雇用では約20%です。
もちろん、これだけで因果関係を断定することはできません。
しかし、経済的な安定が結婚に影響している可能性は、十分考えられるでしょう。

子どもを望まなくなったわけではない
次に子どもについて見てみます。
夫婦の理想の子ども数は約2.25人。
実際にもうけた子どもの数は1.9人。
未婚者が希望する子どもの数も約1.8人です。
数字は少しずつ減っていますが、「子どもを持ちたい」という希望そのものがなくなったわけではありません。


理想どおり子どもを持てない理由
では、なぜ理想より予定人数が少なくなるのでしょうか。
最も多い理由は、
「子育てや教育にお金がかかりすぎるから」
です。
そのほかにも、
・高年齢だから
・仕事と育児の両立が難しい
・これ以上育児の心理的・肉体的負担に耐えられない
・夫の家事・育児への協力が得られない
など、現実的な理由が並んでいます。
「子どもはいらない」のではなく、「持ちたいけれど難しい」という人が少なくないことが、このデータから分かります。


若者を取り巻く環境
若年層の非正規雇用率は依然として高く、賃金は改善傾向にあるものの、物価や住宅価格の上昇も続いています。
将来への不安を感じる若者も少なくないでしょう。
恋愛や結婚は気持ちだけでは進みません。
生活を支えられるかという現実も、大きく関係しています。


私が感じたこと
データを見ていて感じたのは、「若者は結婚したくない」のではなく、「結婚したいけれど、その一歩を踏み出せない人が増えている」ということでした。
子どもについても同じです。
理想は2人。
でも現実には、経済的な理由、年齢、仕事、育児負担、さまざまな壁があります。
だから出生数は減っている。
少子化は、一つの理由だけでは説明できない問題なのだと思います。
おわりに
少子化を、「最近の若者は結婚したがらない」「子どもを欲しがらない」という価値観の変化だけで説明することはできません。
データを見る限り、多くの若者は今でも結婚を望み、子どもも欲しいと思っています。
しかし、現実には経済、雇用、年齢、仕事、育児など、さまざまな事情が重なり、希望どおりの人生を選べない人が少なくありません。
少子化を考える上で大切なのは、「若者は結婚したがらない」と決めつけることではなく、「なぜ望んでいても実現できないのか」という現実に目を向けることだと思っています。

