男女で「理想の相手」に求めるものは違う|恋愛の男女差を研究から考えてみた

女性は、男性の年収や仕事、経済力を気にする。

男性は、女性の若さや外見を気にする。

恋愛や婚活の世界では、そんな話をよく聞きます。

でも、これは単なる男女のイメージなのでしょうか。

実際に研究を見てみると、男女が恋愛相手に求めるものには、ある程度の違いがあることが分かっています。

さらに面白いのは、「理想の相手」と「実際に好きになる相手」は、必ずしも同じではないということです。


男性は「若さや外見」、女性は「経済的な見通し」を重視する傾向

2020年、米国カリフォルニア大学サンタバーバラ校の研究者らを中心とする国際的な研究チームが、45か国・14,399人を対象に、男女が恋愛相手にどのような特徴を求めるのかを調べました。

これは、過去に行われた男女の配偶者選好研究を、より大規模な国際データで検証し直した研究です。

その結果、男性は女性よりも、外見的な魅力や若さを重視する傾向があることが分かりました。

一方、女性は男性よりも、年齢が高いことや、将来的な経済力・経済的な見通しを重視する傾向が確認されました。

つまり、ものすごく単純化すると、

男性は「若くて魅力的な女性」を、女性は「経済的に安定していそうな男性」を、相対的に好みやすい。

という男女差が見られたわけです。

ただし、これは「男性は外見しか見ない」「女性はお金しか見ない」という話ではありません。

あくまで、14,399人という大きな集団を調べたときに見られた平均的な傾向です。

実際、この研究では男女ともに、自分に近い年齢の相手を好む傾向があり、男女平等の程度によっても好みには変化が見られました。

男女の違いは確かにある。

でも、それだけですべての恋愛を説明できるわけではありません。


では、実際に会ったらどうなるのか

ここからが、私が一番面白いと思ったところです。

2008年、米国ノースウェスタン大学の心理学者、Paul Eastwick氏とEli Finkel氏は、「人が頭の中で考えている理想の相手」と「実際に惹かれる相手」は同じなのかを調べました。

そこで使われたのが、「スピードデート」という方法です。

スピードデートとは、参加者が短い時間ずつ相手を入れ替えながら実際に会話し、その後、誰に恋愛的な興味を持ったのかを記録する方法です。

つまり、アンケートで「こんな人が理想です」と答えてもらうだけではなく、実際に人と会って、誰に惹かれたのかを見るわけです。

すると、面白い結果が出ました。

事前のアンケートでは、これまでの研究と同じように、男性は女性の外見的魅力を、女性は男性の収入などを比較的重要視していました。

ところが、実際に会った相手に対する恋愛的な興味を見ると、その男女差はほとんど見られませんでした。

さらに、事前に答えていた「理想の相手」の条件は、実際に誰に惹かれるのかをほとんど予測できなかったのです。


「理想の相手」と「好きになる相手」は違う

これって、恋愛ではよくあることではないでしょうか。

頭では、

「年収は○○万円以上がいい」

「身長は○○cm以上がいい」

「こういう顔の人が好き」

と思っている。

でも、実際に会ってみたら、なぜかその条件とは違う人に惹かれてしまう。

逆に、

「この人は私のタイプじゃない」

と思っていた人のことが、気づいたら気になっている。

恋愛をしていると、そんなことがあります。

研究でも、自分で言葉にした「理想の条件」と、実際に人と会ったときに生まれる恋愛感情は、必ずしも一致しないことが示されています。

人は、自分がどんな相手に惹かれるのかを、意外と正確には分かっていないのかもしれません。


婚活では「条件」が大切。でも、それだけでは足りない

私は、結婚相手を選ぶときに条件を見ること自体は、良いことだと思っています。

結婚は恋愛だけではなく、生活だからです。

収入も大切です。

仕事も大切です。

子どもをどうするのか。
どこに住むのか。
家族との関係はどうなのか。

何十年も一緒に生活することを考えれば、条件を確認するのは当然です。

でも、

条件が良い人と、好きになれる人は、同じではありません。

年収が高い。

学歴が高い。

仕事が安定している。

見た目が好み。

そういう条件が揃っていても、

「この人と一緒にいたい」

と思えるとは限りません。

反対に、最初は自分の条件に入っていなかった人に、なぜか惹かれることもあります。

恋愛には、条件だけでは説明できない部分があるのだと思います。


条件で選ぶ。でも、最後は「この人と一緒にいたい」で決まる

婚活をしていると、どうしても条件に目がいきます。

年収はいくらか。
どんな仕事をしているか。
年齢はいくつか。
学歴はどうか。
身長は何センチか。

もちろん、それらは結婚生活を考えるうえで大切な情報です。

でも、条件を一つずつ確認していって、

「全部クリアしている。だから、この人と結婚すれば幸せになれる」

とは限りません。

結婚は、条件表を見ながらするものではなく、一人の人と毎日の生活を一緒につくっていくものだからです。

条件を見ることと同じくらい、

「私は、この人と一緒にいるとき、どんな自分でいられるだろう」

と考えることも大切だと思います。

安心するのか。

自然体でいられるのか。

一緒にいて楽しいのか。

意見が違ったときに話し合えるのか。

そして、

「この人と、これからも一緒にいたい」

と思えるのか。

男女には、恋愛相手に求めるものについて、確かに平均的な違いがあります。

でも、研究を見ていると、それ以上に面白いことがあります。

人は、自分が「こんな人が理想」と思っていた相手とは違う人に、心を動かされることがある。

だから、恋愛は条件だけでは決められない。

頭で考える理想と、実際に誰かを好きになる気持ちは、少し違うものなのかもしれません。

私は、そんなところも含めて、恋愛は面白いものだと思っています。


参考にした研究

  • Walter, K. V. et al. (2020), “Sex Differences in Mate Preferences Across 45 Countries: A Large-Scale Replication,” Psychological Science, 31(4), 408–423. 45か国・14,399人を対象にした大規模研究。
  • Eastwick, P. W. & Finkel, E. J. (2008), “Sex Differences in Mate Preferences Revisited: Do People Know What They Initially Desire in a Romantic Partner?”, Journal of Personality and Social Psychology, 94(2), 245–264. スピードデートを用いて、自己申告した「理想」と実際の恋愛的関心を比較した研究。

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