離婚した方が幸せ?経験と研究から見えてきた本当のこと【お金・制度・幸福度】

「離婚したい。でも、子どものこと、お金、世間体を考えると踏み切れない。」

そんな気持ちを抱えながら、毎日を過ごしている人は少なくありません。

「子どものために離婚しない方がいい」「離婚したら後悔する」という声を聞くと、自分の気持ちより我慢を優先してしまうこともあるでしょう。

でも、毎日が苦しく、自分らしく生きられない結婚なら、離婚は十分に視野に入れていい選択肢だと思っています。

もちろん、勢いで決めるべきではありません。

今回は、制度・お金・研究の3つの視点から、「離婚した後の人生」を冷静に考えてみたいと思います。

離婚を考える人は決して少なくない

厚生労働省の人口動態統計によると、日本では2024年に約18万6千組が離婚しました。2002年の約29万組をピークに減少傾向ではありますが、今も多くの夫婦が離婚という選択をしています。

離婚は決して珍しい出来事ではありません。

だからこそ、「感情だけ」で判断するのではなく、制度やお金の知識を持った上で考えることが大切だと思います。

離婚にはどんな理由が多い?

離婚というと、不倫やDVを思い浮かべる人が多いかもしれません。

もちろんそうしたケースもあります。

しかし、実際にはもっと日常的な理由が積み重なることも少なくありません。

裁判所の司法統計や各種相談統計で多く挙げられる理由は、

  • 性格の不一致
  • 精神的なストレスやモラハラ
  • 異性関係
  • お金の問題
  • 家族との関係

などです。

「決定的な事件」があったというより、

「話し合えなくなった。」

「一緒にいると苦しい。」

そんな状態が続いた結果として離婚に至る夫婦も多いのです。

実際、一つの大きな出来事だけで離婚するよりも、小さな不満やすれ違いが積み重なり、関係性が少しずつ壊れていくケースは珍しくありません。

離婚には3つの種類がある

日本では離婚の方法はいくつかありますが、実際に知っておきたいのは次の3つです。

協議離婚

夫婦同士の話し合いで合意し、離婚届を提出する方法です。

日本ではこの方法が圧倒的に多く、離婚の約9割を占めています。

話し合いだけで終わるケースもありますが、養育費や財産分与などは後からトラブルになりやすいため、書面で残すことが重要です。

調停離婚

話し合いでまとまらない場合、家庭裁判所で調停委員を交えて合意を目指します。

直接感情的な対立を避けながら話し合えるため、子どもがいる夫婦では利用されることも少なくありません。

裁判離婚

調停でも解決しない場合に裁判となります。

ただし、日本では裁判まで進むケースは少数です。

「離婚=裁判」というイメージを持つ人もいますが、多くは協議や調停で解決しています。

離婚で知っておきたいお金のリスク

離婚は感情だけで決めると、後から後悔することがあります。

特に確認しておきたいのが、お金の問題です。

財産分与

婚姻中に夫婦で築いた財産は、原則として分け合う対象になります。

例えば、

預貯金

投資資産

マイホーム

自動車

退職金(条件によって対象)

などです。

また、経営者の場合は自社株(会社の株式)が財産分与で問題になることもあります。

株式の名義が本人でも、その価値が婚姻期間中に形成された財産と評価される場合があり、会社の評価額によっては非常に大きな金額になるケースもあります。

一方で、結婚前から持っていた財産や相続した財産は、原則として財産分与の対象にはなりません。

また、財産分与は離婚後すぐでなければ請求できないと思われがちですが、現在は原則として離婚から5年以内であれば請求できます。

「名義が夫だから全部夫のもの」というわけではない点も含め、知らないと損をしてしまう可能性がある制度です。

養育費

子どもがいる場合、養育費は親同士のためではなく、子どもの権利です。

ところが現実には、支払いが途中で止まるケースは少なくありません。

厚生労働省の「令和3年度全国ひとり親世帯等調査」では、母子世帯のうち養育費を現在も受け取っている割合は28.1%でした。

取り決めをしている割合も46.7%にとどまっており、「約束したのに支払われない」という現実があります。

だからこそ、

公正証書を作る

強制執行認諾文言を付ける

など、後から困らない準備をしておくことが大切です。

年金分割

離婚時には厚生年金の分割制度も利用できる場合があります。

将来の老後資金に影響するため、「まだ先の話」と思わず確認しておく価値があります。

離婚は「今日の生活」だけでなく、「10年後、20年後」の生活にも影響する決断なのです。

研究では離婚後の幸福度はどう変わる?

心理学者エド・ディーナーらの主観的幸福感研究や長期追跡研究では、離婚直後は生活環境の変化やストレスによって幸福度が下がる人が多いことが分かっています。

住む場所が変わる。

家計が変わる。

子育てや仕事の負担が変わる。

こうした変化が重なるため、離婚直後は精神的にも経済的にも負担が大きくなりやすいのです。

しかし、長期的に見ると、多くの人は幸福度を回復していきます。

特に、不満や対立の強い結婚生活から離れた人ほど、生活満足度が改善しやすいことが複数の研究で報告されています。

一方で、比較的良好な結婚を終えた人は、幸福度の回復が遅くなる場合もあります。

つまり、

離婚したから幸せになる。

でも、

離婚したから不幸になる。

でもありません。

結局、幸福度を左右するのは、「離婚」という出来事そのものではなく、離婚前の関係性なのです。

これは、前回書いた「結婚した方が幸せ?」という記事とも共通しています。

幸せを決めるのは、結婚していることではなく、どんな関係を築けているかなのだと思います。

離婚するか迷っている人に伝えたいこと

離婚は人生の大きな決断です。

だからこそ、勢いだけで決めるものではありません。

制度を知り、お金を知り、自分の生活を具体的に考えた上で判断してほしいと思います。

でも一方で、「結婚していること」が人生の目的になる必要もありません。

もし毎日が苦しく、自分らしく生きられないなら、離婚という選択肢を視野に入れてもいい。

結婚を続けることも、離婚することも、どちらが正解というわけではありません。

大切なのは、「結婚を守ること」ではなく、「人生を守ること」。

その視点を持つことが、自分らしい幸せにつながるのではないかと思っています。

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