経済的自立を本気で達成したい、小手先のテクニックではなくマインドからしっかり醸成したいと思っている方に、ヴィッキー・ロビン、ジョー・ドミンゲス著『お金か人生か――給料がなくても豊かになれる9ステップ』はお勧めです。
FIRE (Financial Independence Retire Early) 、つまり経済的に自立し、早期退職するという考え方が最近流行っていますが、この本から、FIREという考え方が生まれたともいわれています。1992年出版以来、全米の若者を熱狂させ100万部以上を売上げ、多くのFIRE成功者を生み出しています。
この本は、ただお金について書かれた本ではありません。人生について書かれた本です。以下の3つのポイントで、この本の本質的な部分を紹介します。
お金と生命エネルギー
本書の中で最も根幹となる考え方は、①お金の定義と、②生命エネルギーとの交換比率の2つです。
1.お金の定義
お金とは、貴方が自分の生命エネルギーを差し出して手に入れるものです。ここでいう生命エネルギーとは、貴方の人生の時間です。貴方は自分の時間をいくらで売っていますか?ある人は1,000円かもしれません。ある人は10,000円かもしれません。貴方が持つ真の唯一の資産は、貴方の人生の時間です。
人生の時間を使うことによって、何かを達成すること、何かに貢献すること、何かを楽しむこと等、貴方にとって大切なことが出来ます。その時間を売って交換しているのがお金です。
2.生命エネルギーとの交換比率
自分の使う時間=生命エネルギーがどれだけのお金になっているのか、それを考えるためにお金と生命エネルギーの交換比率を計算します。なお、交換比率は単純に収入÷実働時間で計算するわけではありません。真の交換比率は、働いている時間だけでなく、仕事に直接関係しているあらゆる時間及び支出を考える必要があります。
例えば、通勤時間及びその費用、仕事でしか使わない服や靴を購入するためにかかった時間及び費用、日々の仕事のストレス解消のための時間及び費用等も考慮に入れます。この本の例では、実働時間を週40時間、週給1,000ドル、つまり単純交換比率を時給25ドル(=1,000ドル÷40時間)としていますが、真の交換比率は時給10ドルになると計算されています。
この真の交換比率を知ると、「物」を買うために貴方は自分の人生の何時間を投資したのかを考えることになると思います。これによりお金の使い方が変わるかもしれませんし、仕事を選ぶ際の基準(ストレス度、通勤時間を考慮する等)も変わるかもしれません。
お金の使い道
1.充分な支出とは
貴方にとっての十分な支出の水準を知ることが大事です。その方法は、意識することだけ。自分に向き合い、心の目を養うということです。外から得た基準等は関係ありません。
もしかしたら、今の貴方の家は、貴方にとって広すぎるかもしれません。それに気づけば、家賃の安い家に引っ越すことが出来ます。衝動的に買った服や装飾品にそれほどの満足を得ていないかもしれません。それに気づけば、同じようなことをしなくなるでしょう。
2.貴方独自の収支表を作る
貴方独自の毎月の収支表を作る際、支出項目は「住居費」「食費」「教育費」「通信費」という分け方では不十分です。例えば食費であれば、自炊する場合、外食する場合があるでしょう。外食といっても、疲れているから外食する場合と、デートやお祝いで外食する場合等もあるでしょう。
貴方が実際の行動において何を大切にしているか、何のためにという基準で、収支表を作ることが大事です。(そのため、収支表にはテンプレートがありません。自分の価値観に基づいて作ることになります。)これをすることで、貴方の本当のライフスタイルが映し出されます。何らかの気づきがあるはずです。
ここから導かれた収支表と、上述の「 お金と生命エネルギー 」で計算した真の交換比率を照らし合わせると、例えば、疲れているからした外食のために、自分の生命エネルギーを何時間使ったのかが分かります。
お金と幸福
幸福とは、一時的な快楽ではなくより大きな意味での満足感、すなわちより充実した人生を得るということです。すなわち自分にとっての夢に、今一度向き合うということです。夢は、人生という旅を幸福に続けるための燃料となります。
幸福にお金を使っているかどうかを確認するために、収支表を見ながら、一つ一つの項目について以下2つの問いを考えてみてください。
1.差し出した生命エネルギーに見合う満足が得られたか
貴方のお金の使い方で、差し出した生命エネルギー に見合う満足が得られましたか? この問いで、満足感につながらないものに、大量の生命エネルギーを使っていることに気づくかもしれません。自分の心の内側の尺度を使って評価してください。それが、真の満足に至るためのコツです。外部の尺度、評価などは自分の真の満足とは関係ありません。
2.自分の価値観や人生の目的と調和しているか
貴方のお金の使い方は、自分の価値観や人生の目的と調和していますか?価値観とは、私たちにとっての根本的な原理や質のこと。価値観にあった生き方をすることで心が穏やかになります。私たちの行動は、価値観が具現化されたものです。いかにお金を使うかというところに、この価値観が最もよく現れます。
人生の目的を見つける方法、本書では以下の3つが紹介されています。お金をもらえなくてもやりたいことです。
- 情熱を傾けられること、心から関心のあるプロジェクトに取り組むこと
- 自分が痛みを感じたことに取り組むこと
- 目の前の課題に取り組むこと
本書の詳細は 『お金か人生か――給料がなくても豊かになれる9ステップ』 をご参照ください。
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