日本の人口は毎年減っているにもかかわらず、賃貸住宅は増え続けています。新築マンション供給戸数は年々減少はしているものの、2020年でも約6万戸。
その結果、日本では今大量に家が余っています。さらに2038年には、空き家率が約30%になると予測されています。
であれば、大家さん側はマンションの家賃を下げてでも誰かに住んでもらわないと困るわけです。日向 咲嗣著『家賃は今すぐ下げられる! ――家賃崩壊時代にトクする知恵』には、そんな家賃を下げる具体的な方法が記載されています。以下の6つのポイントでご紹介します。
空き家が、空き家率が増えている
日本の人口は減っています。2021年9月の人口は1億2521万人。前年同月に比べ、約54万人減少しており、今後さらに人口が減っていくスピードは加速していきます。
それにもかかわらず、毎年新築の住宅やマンションは供給され続けており、今までに作られたマンション等も取り壊されたりせずにそのまま残り続けています。そうなると、当たり前ですが家が余ります。
下図が実際の空き家率のグラフです。年々増加傾向であり、2018年で13.6%に達していることが分かります。
また下図は空き家数、空き家率のシミュレーションですが、除却率(既存物件を壊す割合)が2008年から2012年の水準が続くと仮定した、保守的なシミュレーションの場合(シナリオ①)、2038年には家の空室率が30.5%になると予想されています。
需要と供給のバランスで、需要量(欲しい人)に比べて供給量(提供したい人)が多い状態であれば、価格は下がりますね。
空室率が上昇するということは、家賃の価格競争が起こって家賃が下がっていくということです。つまりこれからは、家賃の値段を下げなければ入居者が決まらなくなるということになります。
激安マンションが増えている
前述の通り、需要量(欲しい人)に比べて供給量(提供したい人)が増えすぎたため、家主さん同士の価格競争が始まろうとしています。実際に激安のマンションも出てきています。
ほんの数年前までは駅から歩いて行ける範囲であれば、どんなおんぼろアパートでも家賃は3万円を下回ることはありませんでした。ところが今、東京23区を除いた地方では、探せばワンルームの家賃は1万円台に突入している場所も増えています。
どんどん家賃が下がっているにもかかわらず、ずっと前にマンションの借り手が多かったころの高い家賃のままずっと古いアパートに住み続けている人は、高いままの家賃を払い続けている可能性があります。損をしている可能性があるということです。
敷金礼金0物件が増えている
引っ越すとなると、敷金礼金を気にする人もいると思います。それが歯止めとなり、引っ越さないと決めている人も多いと思います。しかし、もう貸し手優位の時代は終わっています。マンションの借り手不足になっている現状では、敷金礼金なしのケースが多くあります。
下図は、2019年4月1日~2020年3月31日に賃貸物件に入居した方を対象として、敷金0物件を契約した割合を示していますが、全体(肌色部分)では2019年25.5%であり、2018年が最高ではあるものの、年々増加傾向であることが分かると思います。
また一人暮らし用の賃貸物件(青グラフ)に関しては、他の2人暮らし用、ファミリー用と比べても敷金0物件の割合が高く、30%を超えていることが分かります。
下図は、同じ調査対象で、礼金0物件を契約した割合を示していますが、全体(肌色部分)では2019年40.2%であり、2018年が最高ではあるものの、8年連続で4割を超えていることが分かると思います。
敷金0物件と同じく礼金0物件の割合も、一人暮らし用の賃貸物件(青グラフ)が最も高いことが分かると思います。
このように、敷金礼金0物件は年々増えてきています。もちろんこれからも、この傾向は続くと思います。いわれるがままに敷金礼金を払っている人は損をしていることになります。借り手優位の今、交渉すれば敷金礼金を0にできる可能性は非常に高いと言えます。
家賃値引き交渉の方法
家賃の値引き交渉は、家電と似ています。
例えばパソコンをビックカメラで買うとき、それと同じものがヤマダ電機の方が安いことが分かっていれば価格交渉をしますね。そしてもし価格交渉を断られたら、ビックカメラではなくヤマダ電機でパソコンを買うことになると思います。
物件も同じで、自分の住んでいる物件と同じ条件で安い物件を見つけたら、価格交渉すれば家賃は下げられます。交渉をする時は、必ず比較する対象を見つけます。やり方は以下の通りです。
1.自分の住んでいるマンション等の家賃を調べる
マンション等の名前で検索すると、自分が今住んでいるマンション等の現在の適正家賃が分かります。もし今募集している家賃の値段が、今自分が支払っている家賃よりも安い場合はすぐに交渉に行くことです。また今後も家賃は下がる可能性が高いので、時々引き続き、チェックするようにしましょう。
2.同じ条件の他のマンション等と比べる
自分のマンション等の家賃が安くなっていなかった場合、近くの同じ条件のマンションで安い場所を見つけます。ヤフー不動産賃貸等インターネットで、駅からの距離、部屋の広さ、築年数等条件が一致する物件があり、それが今支払っている家賃より低ければ交渉出来ます。(インターネット時代、供給側にとっては恐ろしいですね。)
3.対等に交渉すること
マーケットと比較して、今支払っている家賃が高いから交渉しているので、家賃を下げてもらえないのであれば引っ越しますというくらいの覚悟で、大家さん等との家賃交渉に臨みましょう。基本、5,000円から2万円の値引きを狙います。相手にその金額の決定を委ねてはいけません。大家さんは、空室を一番恐れています。
家賃交渉のタイミング
もしマンションの契約年数がある場合は、次の契約更新を控えたタイミングで交渉するのが有効です。契約中は大家さん側も、契約したことなので・・・といって交渉に応じてくれないこともありますが、契約更新を控えた時期では次に入居してくれる人を探すのが面倒なので、値段交渉にも応じてくれやすいです。
家賃交渉してはいけない物件
コモディティー化している(他と大差ない)物件だからこそ値段交渉できるので、そもそもタワーマンションや優良物件のように数が少ない物件は値段交渉は受けてもらえません。
希少性やブランド価値のある物件について価格交渉するということは、エルメスで価格交渉するというのと同じです。
本書の詳細は 『家賃は今すぐ下げられる! ――家賃崩壊時代にトクする知恵』 をご参照ください。
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