『2億円と専業主婦』の著者、橘玲氏は、『お金持ちになれる黄金の羽根の拾い方』や、『言ってはいけない―残酷すぎる真実』等で有名な人気作家です。
厚生労働省のデータによると、専業主婦の世帯は571万世帯と、約32%いることが分かります。つまり、約3つに1つの世帯が専業主婦世帯ということです。
著者は、女性は専業主婦にならず、働き続けるべきといいます。本書を次の5つのポイントでご紹介します。
専業主婦は(ほんとうは)3億円損をする
同じ企業で、60 歳で退職するまでフルタイムの正社員で勤め続けた場合の日本人の生涯年収(退職金や年金は含めない)は、大卒男性の場合、2億9,200万円、大卒女性は2億2,400万円なのだそうです。(出所:北陸銀行 )
例えば、大企業に就職し、結婚しても働き続けた場合の大卒女性の生涯賃金は2億6,200万円。(出所:北陸銀行 )そして退職金が加算されると、総額約3億円も稼げるということになります。つまり結婚して専業主婦になると、3億円損をしたことになります。
今は終身雇用制度は崩壊し、会社はいつ倒産してもおかしくない時代です。男性のお給料だけでは家族を養えないという現実があります。
これらを踏まえ、(ほんとうは)3億円損をするという前提のもと、自分と自分の家族が幸せになれる戦略を考えることが最も重要です。
幸福とは好きなように生きること
著者の橘さんは、幸せを次のように定義します。
- 好きな人と愛し合い、その人と家庭をつくる
- 独身なら、好きな家族や友達に囲まれて暮らす
- 好きな仕事をして、皆から感謝されたり、褒められたりする
- 好きな洋服を着て、好きなものを食べ、人生を楽しむ
つまり人間は、「自分が好きなように生きられること」に幸せを感じます。これを自己決定権と呼び、何でも自分の好きなように決定できることを意味します。
例えば、親の家業を継ぎ、親が決めた相手と結婚して、好きな洋服も着られず、自由に出かけることも、自分の好きなものも食べられないとすれば、全然楽しくない人生ですよね。自分で自由に決めることが出来ることは、とても幸せなことなのです。
今の日本は、ほとんどのことが自由です。自分の行きたい大学を受験でき、自分の好きな仕事に就け、自分の好きな人と結婚でき、どこに住んでもよく、何をするにもほとんど制約がありません。
女性が専業主婦になるという選択をした場合は、生活の全てを夫に依存することになります。すると、力関係は自然と夫が上で妻が下になります。いったん正社員のキャリアをたってしまうと、大学に出ても、よほどのことがない限りパートか非正規の仕事にしか就けません。そうなると、結局経済的な独立が出来ません。
経済的に独立していると、自由が獲得できるのです。お金があることで、選択できる自由の幅が広がります。女性は、お金を稼いで対等になりましょう。本当の愛情や信頼は、対等な関係からしか生まれません。
保育園は子どもも親も幸せにする
共働きで稼ぐとしたときに、最初に出てくる問題が、仕事と家庭が両立できないという問題だと思います。そしてこの問題で真っ先に上がるのが、子育てです。
- 子育てしながら仕事なんて無理
- 子供がグレてしまうのではないか 等
子供をみながら仕事をするのが、共働きの壁になりますが、著者はこの問題に対して、「子供は勝手に育つ」と答えています。この結論に至った理由は、「子供は保育園と社会で育つ」からです。
「子供は保育園で育つ」について。
経済学者である山口慎太郎さんは、子供の発達を、「言語発達」、「多動性」、「攻撃性」の3つの指標について、母親の学歴を「4大卒以上」と「高卒未満」で分け、保育園を利用する家庭とそうでない家庭で分け、それぞれ比較しました。
その結果、保育園通いの子の方が、母親の学歴に関わらず、言語が発達し、多動性・攻撃性が減少するということが分かりました。また保育園に通わせることは、母親にとっても子育てのストレスが大幅に軽減されることが分かりました。
もう一つ、「子供は社会で育つ」について。
慶応義塾大学の医学部教授の高橋孝雄さんによると、「子供の可能性は遺伝によってある程度決まっていて、苦手なことを無理にやらせても逆効果」と言います。
つまり、親がどれだけ完璧に子育てをしても限界はあり、また親は子供をコントロールできないということです。ここからいえるのは、子供は親のすぐ側より、社会の中での方が育ちやすいということです。過剰な家事や育児の努力をしなくても、ごく普通に愛してあげるだけで、子供は勝手に育っていくのです。
生涯現役で共働きが最強の人生
共働きをするために出来ることとして、著者は「子育てを外注する」、「会社で働かない」の2つをあげています。
1.子育てを外注する
子育てを誰かに託すということです。親にみてもらうことが一つの方法です。近くに親がいない場合、お金を払って家政婦に頼むという方法があります。
日本ではまだなじみがありませんが、アジア各国では当然のように家政婦が子育てに参加しています。日本と同じくらいの生活水準である香港やシンガポールでは、フィリピンやインドネシアから来た家政婦が住み込みで働くのが普通です。夕食まで子供の面倒を見てくれたり、急な病気にも対応してくれます。
日本では家政婦は少し高いですが、少しの時間協力してもらうだけでも、大きく変わると思います。
2.会社で働かない
もし正社員をやめていたり、どうしても自分で子育てをしたい場合は、会社で働かず、フリーランスになるという方法があります。
ブログでもYouTubeでもアフィリエイトでも何でもいいですが、一人で家にいながら稼ぐ方法を作り出すのです。そうすれば、会社員として拘束されるよりも子供と一緒にいられますし、休みも自由です。実際、主婦からフリーランスになって起業した女性は多くいます。
主婦であれば少なくとも時間があるので、時間のないサラリーマンからフリーランスになるよりは簡単です。子育てそのものをコンテンツにしてしまうのもいいでしょう。
ひとり年収800万が幸福度マックス
年収800万円が、お金で得られる幸福度の限界値だと言われています。つまり、それ以上は稼いでも幸福度はあまり変わらなくなるということです。
これは、1口目のビールは美味しいけれど、飲んでいるうちに慣れてきて、1,000口目では1口目ほどの幸福を感じないのと同じです。
800万円が幸福の限界値の理由は、お金を気にせず使えるのが、大体これくらいだからです。お金を気にせず使えるのが、幸福なのです。
夫婦なら、二人合わせて1,600万円の収入があれば、お金を気にせず生活できます。夫一人で1,600万円稼ぐよりも、夫婦が協力して一人800万円ずつ稼ごうとした方が世帯年収1,600万円を達成しやすくなります。もちろん、家事も夫婦平等に分担します。これこそが、対等な関係です。夫と対等な関係であれば、それが心の余裕になり、円滑な夫婦関係の源になります。
本書の詳細は 『2億円と専業主婦』をご参照ください。
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