『君は1万円札を破れるか?』の著者、苫米地英人さんといえば、IQ200を超える天才と言われ、認知科学者(機能脳科学、計算言語学、認知心理学、分析哲学)、計算機科学者(計算機科学、離散数理、人工知能)、オウム真理教信者たちの洗脳を解いた方としても知られています。
本書のテーマは、真の自由を手に入れることであり、お金から自由になることです。
あなたは今、お金から自由だと感じていますか?おそらく、「自由ではない」と感じた方の方が圧倒的に多いのではないかと思います。
- お金がないので、あれをしたい、これが欲しいという願いが叶えられない
- お金を得るために、我慢して好きでもない仕事をしている 等
けれど、こうして皆さんの頭を悩ませているお金に関する不満や不安が、実は「洗脳」の結果として生み出されたものに過ぎないとしたら?それらは大して根拠のない物であり、簡単に解決することが出来るとしたら?
現代社会に生きる人のほとんどが、「お金には絶対的な価値がある」という情報に洗脳されています。だから、お金がないと不安に感じ、あっても更に欲しくなります。かくして多くの人が「お金の奴隷」になってしまっています。
本書を通じて著者が伝えたいことは、この現代社会を支配する「お金」という価値観の枠組みを疑い、それを越えていくことの重要性です。本当の意味でお金から自由になるためにまず重要なのは、「お金」の正体を知ることです。
本書を次の4つのポイントでご紹介します。
お金の本質は「情報」である
お金の本質は、「情報」です。
財布に入っているお札や硬貨は、お金を目に見えるようにしたものというだけであり、その本質は情報です。お金の本質は、「これに価値がある」という発信者がおり、受信者である皆さんがそう信じ込まされているだけの情報です。
そして情報は、いくらでも操作できます。発信者に都合のいいように情報を操作して、受信者の思考や行動、感情をコントロールすることを「洗脳」といいます。
そもそもお金とは、価値を交換するための道具に過ぎず、それ自体には何の価値もない、ただの数字だったはずです。ところが「お金には絶対的な価値がある」という洗脳が蔓延したことによって、世の中のほとんどの人が「お金の奴隷」になってしまいました。
多くの人が物事の価値を判断する際、条件反射のように無意識にお金を基準としています。例えば、スーパーでリンゴを買おうとするとき、「このリンゴ1個100円は高いか、安いか」を考えながら手に取ることでしょう。しかし、「価値」はお金で示される価格ではなく、あくまでそれ自体にあります。ですので本来であれば、貴方がどれだけそれに価値を認めるかによって、必要・不要を判断すればいいだけの話です。
さらには、自らがする労働の価値もお金を基準に捉えているはずです。時給がいくら、年収がいくらということが、自分の労働の価値だと思い込んでいるのではないでしょうか。さらに悪い場合、単に自分が働いて得ている対価に過ぎないお金が、あたかも自分の存在価値そのものを規定しているかのように思い込んでしまっている人もいるかもしれません。
財布に入っているお札や硬貨は、お金の仮の姿です。お金の本質により近いのは、預金通帳に書き込まれている数字です。例えば、1千万の取引をする際、銀行の窓口に行って「私の1千万円、今すぐ欲しいから出してください」といっても、現金はまず下せません。現金はないのです。つまり、1千万というお金が口座に入っているのではなく、通帳に1千万という数字が書いてあるだけの事なのです。
さて、お金とは「情報」であるとしたところで、「だから何なの?」ということですが、これはすなわち「お金は、無限に作り出すことが出来る」ということです。これが物理的な実態のあるもの、例えば金、ダイヤモンド、石油などは有限資源で一定の量しかありませんので、人間の好き勝手で増やすことは出来ません。しかし「情報」であるお金は、いくらでも増やすことが可能です。
そして、これが世界を支配する者たちがやっていることに他なりません。彼らは、自分たちの好きなようにお金を無限に作り出しては、さも絶対的な価値のあるように見せかけ、人々に奪い合いをさせることで支配しているのです。
お金がないと何が困るのか?
なぜ人々はこうもお金を絶対視し、執着するのでしょうか。お金がないと、何が困るのでしょうか。「お金がないと、生活できない」からでしょうか。
生活できないというのは、突き詰めれば、それは「食べるのに困る」「飢えて死んでしまう」ということであるはずです。実は飢餓への恐怖こそが、人間がお金に対して執着してきた根源的理由です。人間は誕生以来400万年というとてつもない長い間、飢餓の恐怖におびえながら生きてきました。そのため、人間の遺伝子には「飢えたくない」という情報が刻み込まれています。つまり、金欲の正体は、飢餓への恐怖なのです。
さて、現代の日本の社会で、本当にお金がなくて、食べ物に困るという人がどれだけいるのか、冷静に考えてみましょう。そもそも、病気やけがなどの理由で働けないとか、養うべき家族がいるのに仕事が得られないといった、やむを得ない場合には、生活保護を受けることが出来ます。日本国はすべての国民に対し、その人が生活に困窮する場合には、必要な保護を行い、最低限度の生活を保障すると、憲法に定めています。だから、仕方のない場合は堂々と、国の制度に救ってもらえばいいのです。
つまり、現代社会で貴方が、「お金がなくて飢えて死ぬ」ことを怖れる必要などないということです。それでもまだお金がないことに対する不安がぬぐえないなら、貴方の中で、「飢餓への恐怖」と「快適さや満足を得たいという欲求」がごっちゃになっているのではないでしょうか。そもそも、人間は生きるためには、そんなに多くのものを必要としません。最低限の水と空気と食べ物があれば、生きていくことが出来ます。
「飢えて死ぬのが怖い」という生存本能に、「より多くの欲を満たしたい」という煩悩が上書きされて、お金がないと不安という心理がより強固なものになっているのです。これも、経済的な支配者たちの巧妙な洗脳の成果といえるでしょう。
このワナを逃れるために、①お金に絶対的な価値はない、②お金がなくても死なない、という2点を徹底して、貴方の脳内に正しく書き込んでおきましょう。これが、お金に支配されないための前提条件です。
年収を人の価値だと思い込ませる洗脳
ここ数年、格差社会とか、勝ち組・負け組といった言葉がマスコミをにぎわせるようになりました。この、「格差」や「勝ち負け」というのは、主に所得の差を指していることが多いようです。そういった風潮の中、お金をいくら稼げるかということが、まるで個人の存在価値そのもののように思われているフシさえあります。
例えば、転職サイトで「年収700万円のエンジニア!」といったキャッチコピーが躍るのを見たことがある人も多いことでしょうが、なぜ年収700万円なのでしょうか。それは、現実的だと思われる範囲内で魅力的に映る金額だと、広告主が考えているからです。
しかし、貴方の労働の対価として、そのぐらいの額が妥当だという根拠はどこにあるのでしょうか。なぜそのくらいの対価が、自分の労働に見合うと思うのでしょうか。貴方の労働の価値は、もっともっと高いかもしれません。
貴方の労働への対価として支払われる金額を決めているのは、貴方を雇用している人です。そして実は、大多数の日本人は、その人が労働によって生み出す価値に対して、不当に安い対価で働いています。そこには、目に見えない巨大なピラミッド構造があるからです。
これまで繰り返し述べてきたように、お金は絶対的な価値の尺度などではありません。むしろ、貴方の限られた時間を割いて行っている労働こそが貴重なものであり、価値の源泉になります。だから、お金によってあなたの労働の価値を規定されるなんてナンセンスですし、それが自分の存在価値だと思い込まされるなどといったことは、絶対にあってはならないのです。
預金残高を10倍にするトレーニング
預金残高を10倍にする際にキーワードとなるのが、コンフォート・ゾーンとホメオスタシスです。
コンフォート・ゾーンとは、肉体的・心理的に自分が楽に自然にしていられる領域、自分が慣れ親しんだ「現状」の事です。現状が平社員で年収300万円の人は、それがコンフォート・ゾーンになっています。それで欲しいものを買えている人は、あえてそこから変わる必要もありません。しかし、「もっと稼いで、あれが欲しい、これが買いたい」と思っているなら、その現状を脱しなければいけないはずです。
しかし、意識の上でいくらそう思っていても、コンフォート・ゾーンを変えることは容易ではありません。私たちの脳はもともと、無意識的に現状を維持しようとするからです。これを、ホメオスタシスといいます。体温や血圧は、このホメオスタシスの働きによって一定の範囲内に保たれています。体温などの生体反応に限らず、様々な概念に関して、人間はその人に固有のホメオスタシス・レベルを持っています。実は、お金に関してもホメオスタシス・レベルがあるのです。
ですのでもし貴方が年収300万円で、それがコンフォート・ゾーンになっているなら、それに対してホメオスタシスが働くので、年収300万円を維持しようとします。もし、貴方のコンフォート・ゾーンが年収1,000万円であれば、それに対してホメオスタシスが働くので、現状年収300万円だったとしても、年収1,000万円に近づくようにホメオスタシスが働きます。
この仕組みを、預金残高に当てはめます。やり方は簡単です。
仮に今、貴方の預金残高が30万円だったとすると、その10倍、つまり300万円が貴方のコンフォート・ゾーンだと設定するのです。
ポイントは、「自分は普通に生活していても、そのくらいの余裕を持っていなければいけない」と思い込むことです。常にそれが自分のコンフォート・ゾーンだというイメージを維持して生活し、そこにホメオスタシスが働くように仕掛けていくのです。そして、実際には30万円しか入っていない預金通帳を目にしたら、「まずい、270万円も使ってしまった!」と考えるのです。
もしいきなり10倍のイメージをするのが難しければ、3倍くらいから始めても構いません。とにかく、貴方の金銭的ホメオスタシス・レベルの下のライン、すなわち「ここまで下がるとまずい!元に戻さないと」と感じるラインを強制的に上げるのが、このトレーニングの目的です。
300万円の預金残高をコンフォート・ゾーンにすることを1年くらい続けてから、更に10倍の3,000万円をコンフォート・ゾーンにする、というように、どんどんレベルと引き上げていきましょう。すると、お金の入り方に関する意識も変わってくるはずです。
3,000万円のコンフォート・ゾーンがしっかりと作られていれば、例えば、転職するとか、自分で起業する等、収入の構造そのものを変える方向に行くでしょう。
本書の詳細は『君は1万円札を破れるか?』 をご参照ください。
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