国土交通省が発表している「不動産価格指数(住宅)」によると、下図の通り、戸建て(青色)よりマンション(緑色)の方が有利であったことが分かります。
戸建てはほとんど伸びていないのに、マンションは1.8倍になっています。
つまり、約10年前にマンションを買った人は、約10年住んだのに、買った時よりも高く売却できるということです。そのため以下では、資産価値の落ちない「マンション」について、その特徴をあげていきます。
都心で駅近という好立地であること
東京の都心で駅から近い物件は、資産価値の落ちないマンションであるといえます。
下図は、国立社会保障・人口問題研究所が発表している「結果表1 総人口および指数」について、2045年時点の「2015年の総人口を100とした時の総人口の指数」を、高いものから順に並べ、25位まで表示したものです。
この指数が高ければ高いほど、2015年と比較して2045年の人口が増えていると推計されているという意味です。1位は東京都中央区ですが、人口が約1.35倍に増加することが推計されているということです。上位3つは、東京都心の3区です。
なお、全1,857地域でこの指数が推計されているのですが、「100」を超えているのは129地域、全体の約7%のみです。つまり、残りの約93%の地域で、人口が減少することが推計されているということです。
不動産は、人口が増加する地域で資産価値が増加します。そのため、不動産を購入するのであれば人口が増加する地域が良いです。
また、駅からの距離も重要です。
下図は、2013年と2019年の平均成約㎡単価の上昇率を駅からの徒歩分数別に表したものですが、駅からの徒歩分数が少なければ少ないほど、2013年とくらべ、2019年の平均成約㎡単価が上がっていることが分かります。つまり、駅からの距離が近ければ近いほど価格が上がりやすい(落ちない)ということが言えます。ですので、駅徒歩5分以内(最低でも7分以内)を指標としてください。
50平米~70平米の床面積であること
50平米~70平米の広さであれば、資産価値の落ちないマンションであるといえます。なぜ50平米~70平米の広さが良いのかというと、主に以下の3つの理由があります。
ニーズが多いから
50平米~70平米の広さは、2人~3人が快適に住める広さです。
この人数は、DINKS(2人暮らしの共働き世帯)、子供が独立した後の夫婦世帯、夫婦と子供1人の世帯、シングルマザー・シングルファザー世帯、そしてお金持ちの独身世帯等、幅広い世帯に貸す、売る等が出来る、ニーズが多い広さであると言えます。
上図の総務省統計局のデータによると、単独世帯、夫婦のみの世帯、ひとり親と子供からなる世帯が増加傾向です。一方で、夫婦と子供からなる世帯が減少傾向です。そしてこの傾向は、この先も続く見込みです。
70平米以上のマンションは、夫婦と子供からなる世帯が欲しがる広さですが、この世帯は今後どんどん減少することが予測されています。つまり、今後ニーズが減少することから、結果的に資産価値は下落することになると考えられます。
供給が不足しているから
単独世帯は増加が見込まれるものの、この層が欲しがる20平米~30平米の広さのマンションは飽和状態です。一方、40平米~70平米の広さのマンションは、需要に対して供給が不足しているというデータもあります。つまり、欲しい人が多いのに足りていないということなので、資産価値は落ちにくいということです。
(参考:単身需要に異変、「ワンルーム入居者が決まらない」。所得格差のはざまに落ち込んだ可能性も|不動産投資の健美家 (kenbiya.com))
住宅借入金等特別控除の適用要件が、原則として50平米以上だから
需要に対して供給が不足しているのは40平米~70平米の広さですが、50平米以上という要件を満たさないと、住宅借入金等特別控除が適用されません。
ただし、特例特別特例取得の場合に限っては、40平米以上であれば、住宅借入金等特別控除が適用されます。
築年数が10年~20年であること
中古マンションの価格は一般的に、新築でなくなった瞬間から当初の建物価格の2割ほど安くなるといわれています。(下図を見る限り、東京は逆に上がっていますが。)そしてその後は徐々に値下がりし、築20年で下げ止まるといわれています。
そのため、築20年のものを狙うのが良いとも言えますが、築20年になると設備が古くなっているため、故障・修繕等予期せぬ出費が発生する可能性があります。
また1999年「住宅品質確保促進法」が制定され、「住宅性能表示制度」がスタートしたことから、これ以降に建設されたマンションの方が、品質が良い場合が多いです。
さらに、築25年以上の中古マンションは住宅借入金等特別控除を受けられない場合が多いため、税金の観点からもあまり古い物件はお勧めできません。
値下がりリスク、経年劣化による修繕、品質、税金等様々なことを考慮すると、築年数が10年~20年が良いと思います。