Data
世界初のインデックス型投資信託を個人投資家に提供したことで知られる世界最大規模の資産運用会社Vanguard社より、毎月「投資と経済の見通し」に関するレポートが公表されています。
本日は、2022年9月28日に公表された2022年10月レポートをご紹介します。
インフレはより広範囲に及びつつあり、簡単には消え去らない。2022年に米国の景気後退が起こる確率は25%、2023年は65%の確率である。欧州は年末頃に緩やかな景気後退に突入する可能性が高い。
月次投資・経済見通し(vanguard.com)
資産クラス毎のリターン見通し
2022年6月30日時点の、今後10年間の名目収益率の予測は以下の通りです。
株式
最もリターンの予測値が高いのは、「全世界株式(米国を除く、為替ヘッジなし)」の6.6%~8.6%、次に高いのが「先進国株式(米国を除く、為替ヘッジなし)」の6.5%~8.5%です。
逆に最もリターンの予測値が低いのは、「米国株式(グロース株)」の1.6%~3.6%、次に低いのが、「米国REIT」の3.9%~5.9%です。
Vanguard社が、今後10年間の米国の株式リターンを諸外国と比較して厳しいと考えていることが分かります。
債券
最もリターンの予測値が高いのは、「米国ハイイールド債」の5.7%~6.7%、次に高いのが「新興国ソブリン債」の5.4%~6.4%です。
逆に最もリターンの予測値が低いのは、「米国物価連動債」の2.0%~3.0%、次に低いのが、「米国物価連動国債(TIPS)」の2.3%~3.3%です。
また株式のリターンと比較して、債券のリターンは相対的に低いことが分かります。
地域ごとの見通し
米国
2022年第2四半期において、米国のGDP成長率は上方修正されましたが、年率換算△0.6%であり、依然マイナスの領域にとどまっています。
- 労働市場の強さを考えると、2022年に景気後退が起こる可能性は低い。
- 2022年に米国の景気後退が起こる確率は25%、2023年は65%の確率とみている。
- 2022年通期の米国経済成長率は、0.25%~0.50%の範囲になるだろう。
- 2022年7月上旬以降、10年債と2年債のスプレッドは反転し、短期金利は長期金利よりも高くなっている。(この状態が数週間続く場合、Vanguard社がこれをリセッションシグナルと判断する可能性がある)
ユーロ圏
ユーロ圏では緩やかな景気後退を予想しており、2022年第4四半期と2023年第1四半期のGDPはマイナス、その後停滞期、その後回復期が続くと考えています。2022年のGDP成長率は依然として2%~3%の範囲にあると予想していますが、2023年の予測を△0.5%~0.5%の範囲に引き下げました。
- 消費者マインドは引き続き落ち込んでいる。
- ロシアがノルドストリーム1を通る天然ガスの流れを遮断した。ノルドストリーム1からの天然ガス供給量は、ヨーロッパ全供給量の1/3以上にのぼる。
- その影響は国によってばらつきがある。ヨーロッパ最大の経済大国であり、ロシアのガスに依存しているドイツは、最も影響を受ける。
- ユーロ諸国は、代替ガス源を見つけるために調整している。
- ユーロ圏の第2四半期GDPは、第1四半期と比較して0.6%増加した。
中国
2022年通期のGDP成長率予測を2.5%~3.5%の範囲に引き下げました。中国の個人消費は予想をはるかに下回っています。
- 不動産セクターを対象とした景気刺激策が、住宅価格の下落を食い止めようとする政策立案者によって発表されている。
- 中国が2020年と2021年に経験したV字型の回復のようなものを見ることはまず見込めない。
新興市場
新興市場について、コンセンサスを下回る推定値、約3.0%と見積もっています。(⇔IMFは2022年度に3.6%の成長を予測しています)
- 新興国が直面する主な逆風は、中央銀行の広範な引き締めと、米国、ユーロ圏、中国における成長の同時減速である。
- 新興欧州は依然として景気後退のリスクが最も高い。この地域のエネルギー供給問題とそれに伴うインフレは、経済活動を鈍化させる可能性のある金利引き上げを余儀なくされている。
- 新興市場ではインフレ率がピークに達した兆候がある。
本日のオマケ
私の本日の取引
1.日本株式インデックスファンド 10,000円(自動買付) (ニッセイ-<購入・換金手数料なし>ニッセイ日経平均インデックスファンド) 2.世界株式インデックスファンド 10,000円(自動買付) (SBI-SBI・全世界株式インデックス・ファンド)
私の投資方針
1.投資対象は、株式インデックスファンド、又は個別株式のみ 2.世界株式インデックスファンドは、老後まで基本的に売却しない 3.レバレッジ、信用取引等はしない 4.財政状態、経営成績が良く、PER及びPBRが低めの割安株式を買う 5.平時は、預貯金の残高が減らないペースで積み立てる 6.暴落等により含み損が発生した場合、含み損状態を脱するまで、平時より積立額を増額する
投資方針の根拠
私の投資方針は、これらの本を読んで決めたものです。これらの本を読むか読まないか、知っているか知らないかで、将来の資産形成は大きく変わると思います。
1.ジェレミー・シーゲル著『株式投資 第4版』 ・長期の実質トータルリターンは、他の資産に比べ株式が圧勝する 2.山崎元、水瀬ケンイチ著『全面改訂 第3版 ほったらかし投資術』 ・世界株式インデックスファンド、特に(eMAXIS Slim全世界株式(オール・カントリー)がお勧め 3.厚切りジェイソン著『ジェイソン流お金の増やし方』 ・基本的に売らない 4.ジョン・C・ボーグル著『インデックス投資は勝者のゲーム』 ・インデックスファンドは98%の確率で、アクティブファンドに勝てる 5.チャーリー・マンガー著『マンガーの投資術』 ・素晴らしい会社を適正な価格で買う