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地銀ばかりが負の評価を受ける理由
日本の低PBR株は、ほとんどが地銀です。

地銀の窮状が強調され、経営統合を進めるしか生き残る道はないという議論をよく耳にします。マイナス金利、金融緩和政策の副作用として利ザヤが縮小することで収益が圧迫されており、またデジタル・テクノロジーを背景とする新たな金融サービス提供者の登場など、銀行経営の先行きを曇らせる要因が多いのは事実です。しかし、こうした収益環境は主要銀行も信金、信組も同様のはずです。ではなぜ、地銀ばかりが負の脚光を浴びてしまうのでしょうか。
1.構造の変化
国内の法人金融が構造変化を起こしており、その影響を地銀が最も被っているからです。
下図は、日本の中小零細企業から大企業を含む幅広い企業(金融機関を除く)に関して、1年間で稼いだ利益(付加価値)が誰に配分されたか、つまり日本企業が1年間で創り出した付加価値が誰のポケットに分配されているかを分析したものです。
※2009年から2013年のデータを上段に、2017年から2021年のデータを下段に並べて表示しています。

これを見ると、明らかに人件費への配分が大半を占めていることが分かると思います。
また銀行等への配分は「支払利息等」が対応しますので、「支払利息等」に着目すると、その金額及び構成比が2009年の17兆151億円、6.2%から2021年の6兆9,229億円、2.3%へ急速に減少しているのが分かります。その要因は、超低金利政策やデット性資金ニーズの減少などが考えられます。
逆に株主向けの配分(営業純益)が増えています。配当による株主還元は2000年以降着実に増えてきましたが、特に内部留保が大きく拡大しました。法的には内部留保も株主に帰属するため、株主であるエクイティ・ステークホルダーへの実質的分配が、デット・ステークホルダーへの分配を大幅に上回っているということです。
この背景には、持ち合い株式の解消が急激に進み、外国人を始めとする投資リターンを最優先に考える投資家へ、株主構成が変わったことが挙げられます。さらに、コーポレートガバナンス重視のメッセージなども、株主利益を踏まえた分配戦略につながったものと考えます。
では、このような構造変化の影響を受けやすいのはどのような金融業態でしょうか。

上図は、本業収益(業務粗利益)の構成を、都市銀行、地方銀行、信託銀行別に比較したものです。これを見ると、信託銀行や都市銀行と比較して、地方銀行は明らかに貸金利益の割合が高い(約9割)ことが分かると思います。
つまり、デット資金提供者としての銀行収益が全体的に縮小傾向であるという構造変化の中で、地方銀行はその縮小している収益源への依存度が高く、最も負の影響を受けているということです。
2.支援組織の存在
第2の理由は、地銀には経営を支援する組織がないことです。
同じ地域金融機関として、信金や信組の経営環境も厳しいものがありますが、これらには銀行免許を付与された系統中央機関(信金中央金庫、全国信用組合連合会)という頑健な組織があります。
近年、マネー・ロンダリング対策などのコンプライアンス体制の構築、サイバーセキュリティ対策強化など、経営コストが増大する傾向が続いていますが、それを個々の機関が個別に対応するのは非常に負担が大きいはずです。この点中央機関の存在があれば、こうした対応を前裁きしてくれます。しかし地銀には、そのような存在がないのです。

地銀の再編と地銀の可能性
2016年の銀行法改正により、持ち株会社を銀行再編ツールとしてさらに使いやすくするために、持ち株会社による共通・重複業務の執行、グループ子会社への業務委託の容易化など大きな改善が図られました。その結果、持ち株会社による経営統合を、業務集約や資金融通における効率化に直結させることになり、持ち株会社を活用した地銀の再編は着実に増えました。
しかし、再編は持続可能性を確保するための解決策にはなりません。
本当の解決策は、不良債権の事業再生、再建にあるはずです。
2021年銀行法改正により銀行の出資規制が緩和され、ベンチャー企業への出資、事業承継目的の一時的な株式保有、事業再生目的の一時的な株式保有について、保有上限を定めずに株式を保有できるようになりました。(原則として投資専門会社を設立した上での保有になります。)
これにより、銀行はデットとエクイティ両面から金銭支援をすると共に、投資専門会社に専門部隊を配置することで、経営に深く関与しながら課題解決を行う体制が組めるようになりました。
各地銀がコミットしている地域において、不良債権化したような事業を再生することが出来たら、地銀の利益のみならず地域の活性化にもつながるはずです。そしてこれこそが、地銀及び地域経済の持続可能性を高める道になるはずです。
本日のオマケ
私の本日の取引
1.日本株式インデックスファンド 10,000円(自動買付) (ニッセイ-<購入・換金手数料なし>ニッセイ日経平均インデックスファンド) 2.世界株式インデックスファンド 10,000円(自動買付) (SBI-SBI・全世界株式インデックス・ファンド)
私の投資方針
1.投資対象は、株式インデックスファンド、又は個別株式のみ 2.世界株式インデックスファンドは、老後まで基本的に売却しない 3.レバレッジ、信用取引等はしない 4.財政状態、経営成績が良く、PER及びPBRが低めの割安株式を買う 5.平時は、預貯金の残高が減らないペースで積み立てる 6.暴落等により含み損が発生した場合、含み損状態を脱するまで、平時より積立額を増額する
投資方針の根拠
私の投資方針は、これらの本を読んで決めたものです。これらの本を読むか読まないか、知っているか知らないかで、将来の資産形成は大きく変わると思います。
1.ジェレミー・シーゲル著『株式投資 第4版』 ・長期の実質トータルリターンは、他の資産に比べ株式が圧勝する 2.山崎元、水瀬ケンイチ著『全面改訂 第3版 ほったらかし投資術』 ・世界株式インデックスファンド、特に(eMAXIS Slim全世界株式(オール・カントリー)がお勧め 3.厚切りジェイソン著『ジェイソン流お金の増やし方』 ・基本的に売らない 4.ジョン・C・ボーグル著『インデックス投資は勝者のゲーム』 ・インデックスファンドは98%の確率で、アクティブファンドに勝てる 5.チャーリー・マンガー著『マンガーの投資術』 ・素晴らしい会社を適正な価格で買う