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世界初のインデックス型投資信託を個人投資家に提供したことで知られる世界最大規模の資産運用会社Vanguard社より、毎月「投資と経済の見通し」に関するレポートが公表されています。
本日は、2022年10月27日に公表された2022年11月レポートをご紹介します。
バンガード社は、FRBが2023年の第1四半期末までに政策金利を4.5%に引き上げると考えている。直近2四半期のコアインフレ率が予想を上回ったことから、米国の年末インフレ率の予測を引き上げた。米国経済は今後数四半期で約1.8%の成長を遂げると予想している一方で、ユーロ圏は年末までに景気後退局面に突入する可能性があると考えている。
月次投資・経済見通し(Vanguard)
資産クラス毎のリターン見通し
2022年9月30日時点の、今後10年間の名目収益率の予測は以下の通りです。
株式
最もリターンの予測値が高いのは、「全世界株式(米国を除く、為替ヘッジなし)」の7.5%~9.5%、次に高いのが「先進国株式(米国を除く、為替ヘッジなし)」の7.2%~9.2%です。
逆に最もリターンの予測値が低いのは、「米国株式」の4.7%~6.7%です。
Vanguard社が、今後10年間の米国の株式リターンを諸外国と比較して厳しいと考えていることが分かります。
債券
最もリターンの予測値が高いのは、「米国総合債券」の4.1%~5.1%です。米国総合債権とは米国の投資適格債券をいい、国債、政府関連債、社債、MBS(不動産担保証券)、ABS(資産担保証券)、およびCMBS(商業用不動産担保証券)が含まれます。
逆に最もリターンの予測値が低いのは、「米国長期国債」の3.7%~4.7%です。米国長期国債とは、満期が10年から30年の固定金利の米国国債です。
株式のリターンと比較して、債券のリターンは相対的に低いことが分かります。
地域ごとの見通し
米国
バンガード社は、アメリカ合衆国商務省経済分析局(BEA)が10月27日に発表する、米国の第3四半期GDPの最初の見積もり数値が2.5%を超えるだろうと予想していました。(結果+2.6%。参考:Gross Domestic Product | U.S. Bureau of Economic Analysis (BEA))
- BEAが発表した、米国の2022年度のGDB成長率が年率+2.6%という数字は、過大なのではないかと考えています。国際貿易の動きによって大きく左右されると予想されるからです。
- 個人消費や住宅などの経済の中核をなすものは、2022年の間に大幅に弱体化しました。
- また金融政策の背景や、高インフレの中で家計の購買力が不足してきていることを考えると、経済は今後数四半期でトレンド(約1.8%)よりも低い成長率になると予想しています。
ユーロ圏
ここ数週間、ユーロ圏の経済の勢いは悪化し続けており、バンガード社は今四半期から2023年の第1四半期まで、穏やかな景気後退が続くと予想しています。
- 2022年通年の経済成長率は引き続き+2%〜+3%の範囲を、2023年は-0.5%~+0.5%の範囲を予想しています。
- ヨーロッパ諸国はロシアからの天然ガス供給の遮断に適応しており、ほとんどが代替供給源を通じて事前に貯蔵目標を達成しています。
- この冬は消費量を約15%削減する必要があると予測しています。
- ビッグ4(英、仏、独、伊)の中でロシアへのエクスポージャーが最も多いドイツとイタリアが、景気減速の原動力になると予想しています。
- 欧州連合諸国は、エネルギー価格の高騰を相殺するために、平均してGDPの約2.5%の給付金等を割り当てています。
英国
債券市場と為替市場は、9月23日に発表された過去最大の減税案を盛り込んだ英国政府の成長計画を、断固として拒否しました。
- 9月23日の発表後、インフレへの影響と政府の財政の安定性に関する懸念により、債券利回りは急上昇したため、イングランド銀行は年金市場の潜在的な危機を回避するために介入しました。
- 2022年通年の経済成長率は引き続き+3%〜+4%の範囲を、2023年は最大0.5%のマイナス成長率を予想しています。
中国
10月18日に発表される予定だった中国のGDPなどの発表は、説明なしに無期限に延期され、代替政策目標を、経済成長より優先する可能性を示唆しています。(後日10月24日に、+3.9%と発表されました。中国第3四半期GDP、前年比+3.9%と予想以上に回復 リスクも | ロイター (nordot.app))
- 発表の延期は10月17日、5年ごとに開催され、中国の国家主席も務める党の秘書長の選出を含む主要な政策会議である中国共産党全国代表大会の開幕近くに発表されました。
- 習近平は、3度目の国家主席就任となりました。
- 第4四半期には財政・金融刺激策が経済に浸透するため、成長率は回復すると予想しています。
- 2023年の成長率を5%と予測しており、直近のGDP成長率5.5%から下方修正しました。
新興市場
バンガード社は、2022年通年、2023年通年の経済成長率は共に3.3%前後と、コンセンサスを下回る予想をしていますが、先進国市場の見通しを上回っています。
- 世界的な金利上昇により債務負担が増加し、新興市場国に財政規律が強制されたため、成長は以前よりも鈍化しています。
- 新興市場の中央銀行が、予想される先進国市場の利上げに先立って通貨を保護するためにより迅速に行動したため、通貨は概ねその地位を維持してきました。
- エネルギー供給の課題から、新興国欧州が依然として景気後退のリスクが最も高いと考えています。
本日のオマケ
私の投資方針
1.投資対象は、株式インデックスファンド、又は個別株式のみ 2.世界株式インデックスファンドは、老後まで基本的に売却しない 3.レバレッジ、信用取引等はしない 4.財政状態、経営成績が良く、PER及びPBRが低めの割安株式を買う 5.平時は、預貯金の残高が減らないペースで積み立てる 6.暴落等により含み損が発生した場合、含み損状態を脱するまで、平時より積立額を増額する
投資方針の根拠
私の投資方針は、これらの本を読んで決めたものです。これらの本を読むか読まないか、知っているか知らないかで、将来の資産形成は大きく変わると思います。
1.ジェレミー・シーゲル著『株式投資 第4版』 ・長期の実質トータルリターンは、他の資産に比べ株式が圧勝する 2.山崎元、水瀬ケンイチ著『全面改訂 第3版 ほったらかし投資術』 ・世界株式インデックスファンド、特に(eMAXIS Slim全世界株式(オール・カントリー)がお勧め 3.厚切りジェイソン著『ジェイソン流お金の増やし方』 ・基本的に売らない 4.ジョン・C・ボーグル著『インデックス投資は勝者のゲーム』 ・インデックスファンドは98%の確率で、アクティブファンドに勝てる 5.チャーリー・マンガー著『マンガーの投資術』 ・素晴らしい会社を適正な価格で買う