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これまで「貯蓄から投資へ」が進んでこなかった理由と、変化の兆し。

Column

「貯蓄から投資へ」というスローガンが掲げられたのが2001年。それから早20年が経ちましたが、個人金融資産のシフトはなかなか進んでいません。

2022年5月5日、岸田首相は英国ロンドンで投資家を前に基調講演を行いました。
そこで飛び出したのが「インベスト・イン・キシダ」という発言です。

「貯蓄から投資へのシフトを大胆・抜本的に進め、投資による資産所得倍増を実現します。安心して日本に投資をしてほしい。インベスト・イン・キシダです。」

(岸田文雄首相)

これは、岸田首相が就任以来、金融所得税の強化、四半期開示の見直し、自社株買い規制の検討等、株式市場や投資家に冷たい政策の方向性を示してきたことから180度姿勢を転換する内容であり、世間を驚かせました。しかし、長年達成できなかった「貯蓄から投資へ」というスローガンを、改めて一国のトップが世界に向けて発信した意味は小さくありません。

格差是正のために

世界的ベストセラー『21世紀の資本』の中で、著者トマ・ピケティ氏は「資本主義においては富の不均衡は放置しておいても解決できず、格差は広がり続ける」と指摘しています。そして、18世紀までさかのぼるデータを分析し、資本主義においては常に「r(資本収益率)>g(経済成長率)」という不等式が成り立つことを証明しました。

この不等式は、資本から得られる富は常に、労働から得られる富より早く成長することを意味します。すなわち、既に資産を持っている人はより裕福になり、労働によってしか所得を得られない労働者はなかなか裕福になれないということです。

この格差是正のために、ピケティ氏は富裕層課税を重くすること等を提案していますが、他にも是正方法はあります。労働者も、株を持てばいいのです。株主になれば、「r>g」の恩恵を受けることが出来るのです。

「中間層と金持ちが受け取る収益を平等にしたいなら、もっと株や債券を持つよう中間層を促す必要がある」

(ブランコ・ミラノビッチ、米経済学者)

「20年後、30年後の新しい日本においては、人々はみな自分の仕事からの収入を得る一方で、株主となって配当を受けるという状態がおそらく生まれてくるであろうし、また生み出さなければならないと思う。そこに私は、国民全体の安定と繁栄を生み出す一つの道があるように思う。」

(松下幸之助)

有価証券保有率は成人の2割

証券保管振替機構によると、複数の株を保有する人を名寄せした後の個人株主数は1,434万人と、20歳以上の人口の14%、約7人に1人にとどまっています。
また株式のみならず投資信託や債券も加えた有価証券全体で見た投資人口は、日本証券業協会 の推計によると、約2,000万人、成人人口の約2割にとどまっています。
逆に言うと、全体の約8割に当たる約8,000万人が、投資をしたことがない投資未経験者ということになります。

また金額でみると、2021年末の個人の金融資産のうち、上場株式・投資信託・債券の有価証券の合計額は約250兆円と、約12%に過ぎない一方、現預金は1,092兆円であり、金融資産全体に占める比率は54%でした。

(出所:日本銀行)

つまり、政府が約20年間投資促進の旗を振ってきたにもかかわらず、個人のお金はほとんど動いてこなかったということです。

しかし、この「機会損失」は実は極めて大きいと言えます。
金融庁によると、2000年と比べた個人金融資産の増加率は、米国が3.4倍、英国が2.3倍だったのに対し、日本は1.4倍にとどまりました。その要因は、個人金融資産に占める有価証券の比率が高い米国や英国が世界的な株価上昇の恩恵を享受する一方で、日本の個人はその比率が低く、運用リターンが相対的に低かったためです。

(出所:金融庁)

米国では、個人金融資産全体に占める上場株式・投資信託・債券の有価証券比率が43%であり、かつ、確定拠出年金(DC)と個人退職勘定(IRA)による間接保有分もあり、合わせると有価証券比率は62%にも上ります。英国は、個人金融資産に占める有価証券比率は9%と、実は日本(12%)よりも低いのですが、DCによる間接保有分を足すと、有価証券比率は23%にまで上昇します。つまり米英は、DC等の税制優遇措置を拡充し、個人に投資を促してきた経緯があります。

日本にも、NISAに加えて企業型DCや個人型確定拠出年金(iDeCo)等の投資優遇措置は導入されています。しかしその合計額は約33兆円と、個人金融資産に占める比率は1.6%に過ぎません。

なぜNISAが普及しないのか

NISAは2014年に始まった制度であり、既に8年が経過しています。
しかし未だにキャピタルゲインと配当金の非課税が「時限的に認められている」に過ぎません。非課税投資期間には制限があり、株式投資がメインとなる「一般NISA」は5年間、「つみたてNISA」は20年間となっています。また「一般NISA」は5年間の非課税保有期間が終了する際にロールオーバーが可能ですが、手続きが必要であり煩雑です。より多くの国民に使ってもらうためには、やはり制度の恒久化が必要です。

また、非課税投資枠の引き上げもポイントになります。一般NISAの投資枠は現在120万円ですが、モデルとなった英国のISAの投資枠である約330万円(2万ポンド、1ポンド=165円換算)まで引き上げることも考えられます。その上で、現行の「一般NISA」「つみたてNISA」「ジュニアNISA」が併存する制度の簡素化も考えるべきです。

なお、一般にはほとんど知られていませんが、2024年から「新NISA」が始まり、2階建となり、現行より更にわかりづらい制度になることが予定されています。
つまり2024年から、投信積立専用の、上限年間20万円の1階建て部分と、株にも自由に投資できる、年間上限102万円の2階建て部分になり、2階部分を利用するには、まず1階部分を利用する必要があるようになります。

(出所:日本証券業協会)

日本証券業協会と日本取引所グループのアンケート調査によると、NISA口座を開設していない人が、解説しない理由としてあげたことが、「そもそも投資する気がないから」(55.3%)、「制度が複雑でよく分からないから」(45.2%)でした。

政府が2022年末にまとめる「資産所得倍増プラン」に先立って、金融庁は8月にNISAの抜本的拡充に向けた改革案を公表しました。これには、上述したNISAの恒久化や投資枠拡大、「一般NISA」と「つみたてNISA」が一本化されることが盛り込まれています。

時代の変化

バブル崩壊から30年程の間、日本の個人金融資産が投資へ動かなかったのは、デフレから脱却できず、株価が上がらなかったためです。現金を持っているのが最も正しい選択だったからです。しかし最近、物価上昇や円安進行により、国民のマインドも少しずつ変わり始め、金融商品に対する個人の考え方にも変化が見えてきました。

企業側も継続的に経営努力をしていくことで日本株が相対的に魅力的な投資対象となれば、国民のお金が日本企業の成長を後押しするような好循環が生まれることになることになるでしょう。
そうなることを、望んでいます。


参考文献(日本経済新聞社『これからの日本の論点2023 日経大予測』)

本日のオマケ

私の本日の取引

1.日本株式インデックスファンド 10,000円(自動買付)
(ニッセイ-<購入・換金手数料なし>ニッセイ日経平均インデックスファンド) 
2.世界株式インデックスファンド 10,000円(自動買付)
(SBI-SBI・全世界株式インデックス・ファンド) 

私の投資方針

1.投資対象は、株式インデックスファンド、又は個別株式のみ
2.世界株式インデックスファンドは、老後まで基本的に売却しない
3.レバレッジ、信用取引等はしない
4.財政状態、経営成績が良く、PER及びPBRが低めの割安株式を買う
5.平時は、預貯金の残高が減らないペースで積み立てる
6.暴落等により含み損が発生した場合、含み損状態を脱するまで、平時より積立額を増額する

投資方針の根拠

1.ジェレミー・シーゲル著『株式投資 第4版』
 ・長期の実質トータルリターンは、他の資産に比べ株式が圧勝する
2.山崎元、水瀬ケンイチ著『全面改訂 第3版 ほったらかし投資術』
 ・世界株式インデックスファンド、特に(eMAXIS Slim全世界株式(オール・カントリー)がお勧め
3.厚切りジェイソン著『ジェイソン流お金の増やし方』
 ・基本的に売らない
4.ジョン・C・ボーグル著『インデックス投資は勝者のゲーム』
 ・インデックスファンドは98%の確率で、アクティブファンドに勝てる
5.チャーリー・マンガー著『マンガーの投資術』
 ・素晴らしい会社を適正な価格で買う

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