すさまじき独身者数
2021年末に発表された国家統計局の数字によると、中国の総人口は14億1,260万人で、男性人口は約7億2,333万人、女性人口は約6億8,843万人で、総人口の男女比は105.07:100となっています。男性よりも女性の方が約3,490万人も多いということです。
中国社会で大きな比重を占める「独身者」たち、中国国家民政部の調査によると、2015年には2億人近く存在していたといいます。そしてこの単身者は、年々増加傾向です。
2018年の統計によると、中国の独身人口は2.4億人で、これはイギリスとロシアの全人口を合わせた数字に匹敵するのだそうです。それにしても、なぜここまで独身者が増えてしまったのでしょうか。
独身者は男性だけではなく、独身女性も増え続けています。彼女たちは「剩女」(余ってしまった女性)と呼ばれ、北京だけでも50万人いると言います。剩女の90%は、高学歴女性なのだそうです。嫁の来てがない農村男性、敬遠されがちなエリート女性、彼ら彼女らは「剩男」「剩女」として、中国社会で大きな一群となっています。
すさまじきおひとりさま経済
11月11日は中国・独身の日、中国語では「光棍節」といいます。光棍とは光る棒という意味で、枝ひとつないところから「単身」の意味があります。11月11日は、そんな棒が1111と一人が並んでいるようだということで「独身の日」とされるようになりました。
この日、ネット通販での売上は1日だけで売上は3兆円とも4兆円にもなると言われています。なぜ「独身の日」に独身者が買い物をするかというと「独り者は他に楽しみはない、ならば自分のためにお金を使おう」ということから始まったと言います。その後、独身者以外にも拡大し、今では「ネットショッピングの日」となって、すさまじいほどの額を売り上げています。
中国の「おひとりさま経済」は、市場規模でいうと、とんでもないことになっています。男女ともに一人旅が増え、1人カラオケが流行り、1人で食事する人が増えています。
生活のスピードがとんでもなく加速している中、それに合わせて「一人でいる快楽」が時代の趨勢となってきているのでしょう。中国独身者の規模が拡大すればするほど、おひとり様経済は、日本と違った形で発展していくことでしょう。
中国の高齢化社会
日本同様、中国も高齢化社会へ確実に進んでおり、高齢化のスピードは半端ではありません。高齢化社会から高齢社会になるまでの期間は21年と見られており、これは欧米よりも、そして日本よりも短く、2036年には、超高齢化社会に突入するとの予測もあります。
中国で定年は、男性が60歳、女性は役職にあれば55歳(一般職女性は50歳)です。退職後すぐに年金も支給されるため、多くの人は新たな仕事に就くこともなく、完全な老後生活に入ります。そのため、中国では60歳以上を老人と規定しています。
2021年発表の国勢調査によると、そんな60歳以上の人口は2億6,402万人で、総人口に占める比率は前回調査から5.4%上昇し、18.7%になりました。そして65歳以上の人口は1億9,000万人を超え、過去10年で6割増えました。これらの数字は、2050年までに倍になるという予測もあります。消費潜在能力は世界最大といえます。
数字だけ見れば、中国の中高年は幸せな一群だと思ってしまいがちですが、そうではありません。急速な経済発展で、これまで通りの「退職後は息子夫婦と孫に囲まれ幸せな老後を過ごす」というモデルケースが崩れ始めています。子供たちは皆、都市に出稼ぎに出るか海外で働く人も多く、親と同居というのは年々少なっていき、行き場のない孤独な中高年たちが増えています。配偶者がいるうちはまだマシですが、配偶者に先立たれると、本当に一人ぼっちです。
中国の高齢者は、中国史から見ても過酷な時代を生き抜いてきている人達です。やっと訪れた「小康社会」であるはずなのですが、彼らにはまだまだ試練が続きます。中国が世界に先行する「IT社会」も、彼らを悩ます1つです。
参考文献:青樹 明子著『家計簿からみる中国 今ほんとうの姿 』(発売日:2022年5月6日)
本日のオマケ
私の投資方針
1.投資対象は、主に株式インデックスファンド、又は個別株式とする。 2.世界株式インデックスファンドは、老後まで基本的に売却しない 3.レバレッジ、信用取引等はしない 4.財政状態、経営成績が良く、PER及びPBRが低めの割安株式を買う 5.平時は、預貯金の残高が減らないペースで積み立てる 6.暴落等により含み損が発生した場合、含み損状態を脱するまで、平時より積立額を増額する
投資方針の根拠
1.ジェレミー・シーゲル著『株式投資 第4版』 ・長期の実質トータルリターンは、他の資産に比べ株式が圧勝する 2.山崎元、水瀬ケンイチ著『全面改訂 第3版 ほったらかし投資術』 ・世界株式インデックスファンド、特に(eMAXIS Slim全世界株式(オール・カントリー)がお勧め 3.厚切りジェイソン著『ジェイソン流お金の増やし方』 ・基本的に売らない 4.ジョン・C・ボーグル著『インデックス投資は勝者のゲーム』 ・インデックスファンドは98%の確率で、アクティブファンドに勝てる 5.チャーリー・マンガー著『マンガーの投資術』 ・素晴らしい会社を適正な価格で買う