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目先の儲けをやめられないのが資本主義である『ゼロからの『資本論』』

私たちは一体何のために、毎日つらい思いをしてこんなにたくさん働いているのでしょうか。
もちろん、今の仕事が大好きで、待遇や労働条件に満足している人もいるでしょう。そんなあなたはとてもラッキーです。だって、少し周りを見渡せば、仕事に不満や苦痛を感じている人を見つけるのは簡単なはずだから。

労働とは

「労働は、まずもって、人間と自然との間の一過性、すなわち、人間が自然との物質代謝を自らの行為によって媒介し、規制し、制御する一過程である。」

(マルクス、『資本論』)

インスタントラーメンもパソコンも、自然に働きかけることなしに作ることは出来ないのと同じで、どれほど技術が発展したとしても、私たちは決して、自然との物質代謝を離れて生きることが出来ず、その限りで労働も無くならないということです。

もちろん、人間だけでなく地球上のあらゆる生き物が、自然との物質的代謝を行いながら生きています。けれども、人間と他の生き物との間には決定的な違いがあります。それは、人間だけが、明確な目的を持った、意識的な「労働」を介して自然との物質代謝と行っている点です。

マルクスは、この人間の意識的な「労働」が、資本主義の下でどのように営まれているかを考察することで、人間と自然の関係に決定的な関係があることを明らかにし、そこから資本主義の特殊性に迫っていくのです。

富とは

「資本主義的生産様式が支配的な社会の富は、『商品の巨大な集まり』として現れ、個々の商品は、その富の要素形態として現れる。それゆえ、我々の考察は商品の分析から始まる」

(マルクス、『資本論』)

資本主義社会における労働は「商品」を生み出します。実際私たちの生み出した商品で、この世界はあふれています。けれども裏を返せば、資本主義以外の社会における労働が生み出す富は、必ずしも商品として現れるわけではないということです。

では、そもそも富とは何でしょうか。

例えば、綺麗な空気や水が潤沢にあること、つまり自然の豊かさも、社会の「富」ということになります。緑豊かな森、公園、地域の図書館や公民館なども、社会にとって大事な富、財産でしょう。知識や文化、芸術も、コミュニケーション能力や職人技もそうです。貨幣では必ずしも測れないけれども、1人1人が豊かに生きるために必要なものが、社会の富なのです。

そして、この富を生み出し、維持発展させるのが労働です。他の人達と協力し、自然に働きかけることで、人間は自分たちの能力を発展させ、また自然を自らの欲求に合わせて変容し、富を豊かなものにしてきました。ところが、こうした社会の富が、資本主義社会では次々と「商品」に姿を変えていくとマルクスは言います。

例えば、ペットボトルに入った水が「ミネラルウォーター」という商品として売られる等、あらゆるものを商品にしようとするのが資本主義の大きな特徴の一つです。

ちなみに、社会の富が「商品の巨大な集まり」として現れて資本主義らしい社会が成立したのは、割と最近のことです。生活に必要な物のほぼすべてが商品となり、商品に頼らずに生きることは、もはや不可能と言っても過言ではありません。お金を出せば、いつでも何でも手に入るようになったことで、私たちの暮らしは「豊かになった」ように見えます。しかし、「商品化」によって社会の富の潤沢さは失われ、むしろ貧しくなっていることをマルクスは一貫して問題視しています。

お金があれば何でも買えますが、お金がない人は生活にどれだけ必要なものがあっても、もはや手に入れることが出来ないのです。

例えばアメリカの医療を思い浮かべてください。世界一の経済大国であるアメリカには当然、医師、病院、薬など医療資源は十分にあります。それにもかかわらず、お金のない人は医療費が高すぎて病院に行くことが出来ません。アメリカ人の平均寿命は、コスタリカ人よりも短いと言われています。資本主義は、人工的に「希少性」を生み出し、人々の暮らしを貧しくするシステムと言ってもいいでしょう。

view of yachts at marina
Photo by Melvin Wahlin on Pexels.com

目先の金儲けをやめられない

資本主義のもとでは、ありとあらゆるものが商品化され、社会の富が商品に姿を変えていきます。そして、貨幣には「何でも買える」という特別な力があります。

そのため、お金をたくさん持つ人たちはどんどん有利になっていきます。大きな資産を株で運用すればボロ儲け出来るし、たくさん献金すれば、政治家も言うことを聞いてくれて、自分に有利な税制や法律を作ってくれるかもしれません。

その結果、一部の人が富を独占するようになり、深刻な格差が生まれるようになっています。国際NGOオックスファムによると、世界の富豪トップ26人の資産総額は、地球上の人口の約半分、実に約38億人の資産に匹敵するそうです。アメリカ一国でも、超富裕層トップ50人の資産は2兆ドルで、下位50%の1億6,500万人の資産に匹敵します。

超富裕層は使いきれないような資産を持ちながら、もっと金持ちになろうとしています。プライベートジェットや豪邸、ヨットに費やしてもお金を使いきれないので、今後は宇宙に行くために、皆で浪費しています。一方で庶民は、長時間労働、不安定雇用、低賃金などを余儀なくされて貧しくなっていくばかりです。必死に働いても、貯金もなく子供も作れない、教育費や家賃、医療費や高く、生活に不安を感じている人は少なくありません。

こうした事態になる理由は、資本主義社会では「人間の欲求を満たす」ということよりも、「資本を増やす」こと自体が目的になっているからです。資本主義は利潤追及を止められません。たとえそれが破壊的な帰結を社会の富にもたらすような結果を生んだとしても、目先の金儲けをやめられないのが資本主義なのです。


参考文献:斎藤 幸平著 『ゼロからの『資本論』』(発売日:2023年1月10日)

本日のオマケ

私の取引

以下のファンドを毎営業日自動買付しています。

1.日本株式インデックスファンド 7,000円(自動買付)
(ニッセイ-<購入・換金手数料なし>ニッセイ日経平均インデックスファンド) 
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これらとは別に、日経平均225(ダイワ上場投信-日経225(大和日経平均)【1320】株の基本情報|株探(かぶたん) (kabutan.jp))も下落するたびに買うというルールで、去年11月末頃から先々週まで買い続けていたのですが、利益を確定するため売却しました。28,300円で70口全て売却し、実現利益は66,920円、税引後手取は53,326円です。

私の投資方針

1.投資対象は、主に株式インデックスファンド、又は個別株式とする。
2.世界株式インデックスファンドは、老後まで基本的に売却しない
3.レバレッジ、信用取引等はしない
4.財政状態、経営成績が良く、PER及びPBRが低めの割安株式を買う
5.平時は、預貯金の残高が減らないペースで積み立てる
6.暴落等により含み損が発生した場合、含み損状態を脱するまで、平時より積立額を増額する

投資方針の根拠

1.ジェレミー・シーゲル著『株式投資 第4版』
 ・長期の実質トータルリターンは、他の資産に比べ株式が圧勝する
2.山崎元、水瀬ケンイチ著『全面改訂 第3版 ほったらかし投資術』
 ・世界株式インデックスファンド、特に(eMAXIS Slim全世界株式(オール・カントリー)がお勧め
3.厚切りジェイソン著『ジェイソン流お金の増やし方』
 ・基本的に売らない
4.ジョン・C・ボーグル著『インデックス投資は勝者のゲーム』
 ・インデックスファンドは98%の確率で、アクティブファンドに勝てる
5.チャーリー・マンガー著『マンガーの投資術』
 ・素晴らしい会社を適正な価格で買う

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<当ブログについて>

・Money Literacyとは、自分のお金のことを自分で判断できる力をいいます。

・Money Literacyを身に付けるべく、投資にまつわる様々な最新情報、お金に関する本やデータの紹介、会計税金周りの情報、役に立つ知識について、日々更新してまいります。

<当ブログ執筆者のプロフィール>

・日系・外資系、ベンチャー・大手・政府系、監査法人、多種多様な会社での勤務経験があります。現在5社目、5社中3社が金融機関です。

・投資経験15年以上、現在は個別株式及びインデックス投資信託の積立のみ継続中。

・米国公認会計士ライセンスホルダー、税理士2科目合格(簿記、財務諸表)。

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