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なぜ過労死はなくならないのか『ゼロからの『資本論』

資本主義のもとでは、あらゆる富が(水、森等の財産等も)商品化され、お金がないとアクセスできなくなります。だから必死にお金を獲得しないといけなくなる・・・。

そして市場社会ではお金を持っている人の方が優位に立つことが出来るようになるので、必要かどうかではなく、売れそうかどうかでモノを作るようになってしまいます。資本主義社会のもとでは、際限のない価値の増大を目指して、市場での競争が日々繰り広げられます。終わりのない価値増殖のゲーム、それが資本主義です。

市場では常に過酷な競争が行われているので、資本家は寝る暇も惜しんで、1円の儲けにこだわり、絶えず商品を改良し、新商品を開発しようとします。そうしなければ、他者とのシェア争いに敗れて淘汰され、従業員の賃金を払うどころではなくなるかもしれません。事業を継続していくには、効率化やコストカットを日々推し進め、競争力をつけて儲け続けなければなりません。

つまり資本家も、資本の価値増殖運動の歯車でしかありません。資本家は資本家であり続けようとするなら、資本の自動運動に従うしかありません。そして労働者は、そんな資本家に従うことを強いられるのです。

どのように資本家が価値を増やしているのか

資本家であろうとするなら、リスクを取ってお金を投資し、「売れそう」なモノを生産し続けなければなりません。それが資本を増やす唯一の方法だからです。株やFX等の方法もありますが、究極的には、価値は「生産という秘められた場所」でしか増えないのです。

例えば、ある労働者が日給10,000円で8時間働く場合、資本家は労働者に10,000円渡します。この時その労働者が生み出した商品の価値が16,000円であれば、資本家の儲けは6,000円(=16,000円-10,000円)です。これをマルクスは「剰余価値」と言い、この「剰余価値」によって資本は増えると言います。

長期労働が蔓延するワケ

先ほどの例の労働者は、1時間の労働で2,000円(=16,000円÷8時間)の価値を生み出しています。この人を日給10,000円で雇い、5時間しか使わなければ、労働によって生み出される価値は10,000円となるので、資本家の儲けは0円になります。

一方で、5時間を超えた分の労働は全て剰余価値として資本家のものになります。つまり、労働者に働かせる時間を増やせば増やすほど、資本家は「剰余価値」を増やせるということです。労働者に長時間労働、サービス残業をさせればさせるほど、資本家は得をするのです。

とはいえ、1日当たりの労働時間がどんどん延長されていくと、当然労働者の生活には様々な問題が生じ、働きすぎて体調を崩し、最悪の場合には過労死に至ります。

労働力は、人間が持っている能力で、本来は社会の富の一つです。そしてその富を使って、本来なら生活をもっと豊かにしたり、夢を実現したり、社会のために役立てたり、働く人に幸福感や充実感をもたらしてくれるような活かし方が出来るはずです。しかし資本主義は、この労働力という富を、「商品」に閉じ込めてしまい、労働者を使い潰してしまうのです。

round white analog clock showing time
Photo by EVG Kowalievska on Pexels.com

繰り返される過労死

労働力をとことん使い倒そうとする資本主義的生産は、労働者の心身を蝕み、その能力や暮らしを破壊し、時には命さえも奪います。

例えば、2008年に居酒屋チェーン「和民」で起きた過労死事件。入社からわずか2カ月で自殺で亡くなった女性は、2か月の間に227時間もの時間外労働を強要されていました。所定労働時間は8時間、週休2日政と説明して入社したものの、現場では「店の営業時間が勤務時間」と言われ、長時間労働に加えて休みの日もボランティア活動や経営理念の暗記テスト、レポート書きをさせられていました。

これは特殊なケースではありません。2010年代に入って以降、鬱等の精神疾患が、脳・心臓疾患を超えて増え続けています。

何が労働者を追い詰めるのか

自死に追い込まれるほど過酷な長時間労働に、なぜ労働者は抗えないのでしょうか。
それは、労働者が「Freeだからだ」とマルクスは言います。

資本主義社会において、労働者は好きな時間で好きな仕事に就くことが出来ます。(Free=自由)他方、労働者には、生きていくためのお金を手に入れる手段が自分自身の労働力しかありません。(Free=ない)つまり労働者は、資本家と労働契約を結ぶまでは基本的に「自由」であり、好きな会社と契約を結ぶことが出来ますが、一度労働力を売ってしまえば、あとはもう奴隷とあまり変わらないということです。

もちろん、労働者には、仕事を辞めて劣悪な労働環境から抜け出す自由もあります。それなのになぜ、彼女たちはやめられなかったのか。

理由の1つは、資本主義では誰も生存保証をしてくれないからです。今は何とか生活できていても、身体を壊したり、失業したりすれば生活が立ち行かなくなってホームレスになってしまうかもしれません。そんなリスクに常にさらされている労働者は皆、「潜在的貧民」だとマルクスは言います。リーマンショック後の派遣村の活動で有名になった湯浅氏が、日本はセーフティーネットが脆弱で、一度仕事を失うと一気に生活保護まで落ちてしまう「滑り台社会」だと名付けました。資本主義社会の労働者は、そんな不安定な環境の中で、自分の労働力という商品だけを頼みに、それをどこに売るかも自分で決めて、必死に生きていかなくてはなりません。

もう1つの理由は、労働者は奴隷と異なり、「自分で選んで自発的に働いている」(Free=自由)ので、「職務を全うしなければ」という責任感を持っているからです。そのため良く働き、いい仕事をしようとします。高度経済成長期の「モーレツ社員」や、バブル期に流行った栄養ドリンクのキャッチフレーズ「24時間戦えますか」等からも、その考え方がうかがえます。資本主義社会では、労働者の自発的な責任感や向上心、主体性と言ったものが、資本の論理に包摂されていくことを、マルクスは警告していました。

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Photo by Bich Tran on Pexels.com

労働時間の短縮に向けて

世界には、労総時間を短縮しようという動きも出てきています。その一例が、フィンランド首相のサンナ・マリンが打ち出した「週休3日、1日6時間勤務」という大胆な労働時短目標で、自身の任期中の目標とすることを表明しています。

アイスランドでは週休3日制の社会実験が行われ、労働生産性は下がらなくなったというデータも得られています。イギリスでも週休3日制の実験が始まっています。ベルギーでも、残りの日に長く働くことを条件に、労働者は週休3日を選べるようになっています。このような動きは、テレワークの拡大とともにますます広がっていくでしょう。

残念ながら、日本ではまだこうした大胆な労働時間短縮の動きは見られません。それどころか、生活保護バッシングにも見られるように「働かざるもの食うべからず」という勤労倫理は益々強化されています。そして、副業が推奨され、休みの日には自己啓発セミナーがにぎわっています。私たちは益々自分の時間を他人に売ろうとしています。本当にそれでいいのでしょうか。


参考文献:斎藤 幸平著 『ゼロからの『資本論』』(発売日:2023年1月10日)

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