新型コロナウイルス感染拡大の影響によって売り上げの減った中小企業者やフリーランスなどの個人事業者の支援が急務となった2020年春、事業の継続を支えるために「持続化給付金」の申請が開始されました。その要件は、売上が前年同月比50%以上減少した資本金10億円未満の事業者。使途の制限は設けず、中小法人には最大200万円、個人事業者には最大100万円が給付され、最終的には約424万の事業者に、合計5兆5,000億円が給付されることになりました。
経済的に苦しんでいた中小・個人事業者にとって大きな支援となり、事業継続に役立ったケースは多かったものの、不正受給が横行するという副作用を生みました。
持続化給付金詐欺
2022年5月、家族4人を中心に犯行グループが形成され、約9億6,000万円もの不正受給をしたとする巨額詐欺事件が発覚しました。「給付金は誰でももらえる」「著名な税理士の先生が給付金を合法的に受け取れる方法を受け取れる」等とうたい、セミナーを開催。申請者の口座に100万円が入金される前後に15万円~40万円程を「手数料」として回収する仕組みでした。
また2022年6月には、現役の東京国税局職員だった男を含む総勢17名が検挙されるという大規模な不正受給が報じられました。「暗号資産(仮想通貨)に投資すれば個人事業主になるので合法的に給付金を申請できる」「受け取った給付金を投資すれば2倍になる」等とうたい、セミナーを開催。集まった大学生ら約200名の名義を集め、約2億円を不正受給したとされています。
このように事件化しているものだけではなく、給付金の申請期間中は、SNSやネット掲示板などで同様の書き込みが散見されました。未だに摘発を免れている不正受給が無数にある可能性は十分に考えられます。
こうした状況を受け、経済産業省は持続化給付金の自主返還の受付を開始しました。本来なら不正受給は犯罪ですが、「誤って」受給した場合は自主的に返還すれば罰則も加算金もなしという「大サービス」をしたことで相談が相次ぎ、2020年5月末までに約1万5,000の事業者から総額約166億円が返納されました。さらに同省は、持続化給付金を不正受給したと認定した個人・法人の名前や住所などを公表し、2020年12月までに不正受給額が約16億2,000万円に上ったことを報告しています。つまり、自主返還額と合わせ、180億円以上が不正受給されたと確定したことになります。しかしこれは、氷山の一角に過ぎないでしょう。
暴力団の資金源に
不正受給も許されませんが、それ以上に深刻なのが、持続化給付金が暴力団の大きな資金源になっていた可能性が高いということです。
2022年9月、警視庁は持続化給付金を詐取したとして、指定暴力団稲川系組幹部の男や税理士ら7人を逮捕しました。営業実態のない法人2社が新型コロナの影響で売り上げが減ったとする虚偽の内容で給付金を申請し、合計400万円を国からだまし取り、また少なくとも12件、合計1,900万円の不正受給に関わったとされています。そしてこのうちの一部は暴力団の資金源になっていたとみられています。
また、2022年3月に山口組系の組員の男が知人ら約20人とともに不正受給を繰り返し、2,000万円以上を詐取した容疑で逮捕されるなど、暴力団員が関与した不正受給事件が相次いでいます。
当然ながら、一般の不正受給者と異なり暴力団は自主返還などするはずがなく、総被害額は計り知れないものがあります。暴力団だけでなく、半グレ集団など他の反社会的勢力の資金源になっていた可能性もあります。いずれにしても、庶民の血税がこのようなところに流れてしまったことは間違いありません。
電通による中抜き疑惑
政府は持続化給付金を配布する事務作業を「一般社団法人サービスデザイン推進協議会」(以下、サ推協)に669億円支払って委託し、サ推協は給付された5兆5,000億円の事務作業の約8割を担当しました。
しかし同社は、業務の95.9%を電通に「丸投げ状態」で641億5,000万円で再委託しています。また電通に再委託された業務も、次々に下請けに回され、最大9次までの多重下請けになっていました。
サ推協は、2016年に電通や人材派遣大手のパソナ等が中心となって設立されたもので、今回のケースは電通が元請けと言えます。政府の事業を電通がそのまま請けると批判される恐れがあるため、一般社団法人であるサ推協を「通して」、実質的には電通が業務を請けていたということです。そして再委託先にはパソナも大きく関与していました。つまり、身内で利益を分け合う構図だったということです。
「魔が差した」レベルの一般人から詐欺集団、暴力団などの反社会的勢力、そして日本の広告業界を牛耳る巨大企業まで・・・持続化給付金で多くの人が助かった一方、とてつもない額の血税が『食い物」』にされたのだ」
参考文献:鳥集 徹著『コロナ利権の真相』(発売日: 2023年1月6日)
本日のオマケ
私の取引
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最近全体的に株価が上がっていることもあり、私が保有している銘柄は、株式・投資信託の中で1銘柄、「eMAXIS プラス コモディティインデックス」のみ含み損(△11,130円、△3.53%)を抱えている状態です。今は良いのですが、タイミングは分からないものの暴落する可能性があると思っているので、通常より購入ペースをゆるめています。(最近、色々と出費がかさんでいることもあって、あまり投資に回せないというのもありますが^^;)下がったタイミングで、再び購入ペースを上げられたらと思っています。
私の投資方針
1.投資対象は、主に株式インデックスファンド、又は個別株式とする。 2.世界株式インデックスファンドは、老後まで基本的に売却しない 3.レバレッジ、信用取引等はしない 4.財政状態、経営成績が良く、PER及びPBRが低めの割安株式を買う 5.平時は、預貯金の残高が減らないペースで積み立てる 6.暴落等により含み損が発生した場合、含み損状態を脱するまで、平時より積立額を増額する
投資方針の根拠
1.ジェレミー・シーゲル著『株式投資 第4版』 ・長期の実質トータルリターンは、他の資産に比べ株式が圧勝する 2.山崎元、水瀬ケンイチ著『全面改訂 第3版 ほったらかし投資術』 ・世界株式インデックスファンド、特に(eMAXIS Slim全世界株式(オール・カントリー)がお勧め 3.厚切りジェイソン著『ジェイソン流お金の増やし方』 ・基本的に売らない 4.ジョン・C・ボーグル著『インデックス投資は勝者のゲーム』 ・インデックスファンドは98%の確率で、アクティブファンドに勝てる 5.チャーリー・マンガー著『マンガーの投資術』 ・素晴らしい会社を適正な価格で買う