もっともシンプルな成功法則は、「合理性」です。合理性とは、「投入した資源(リソース)に対してより多くの利益(リターン)を得ること」と定義できます。
橘 玲著 『シンプルで合理的な人生設計』では、「人生を生きるためには人生の土台を合理的に設計するべきだ」と主張されています。そして、「強靭な土台」を持っていることが成功であると考えています。一旦人生の土台を合理的に設計すれば、どのような人生の物語を紡いでいこうとも、あなたの自由です。
コスパ・リスパ・タイパ
資源は有限なので、それをいかに有効に使うかが重要になります。
これがコスパ(コストパフォーマンス)で、同じ費用で出来る限り大きなリターンを得ることを目指すものです。これとよく似た指標にリスパ(リスクパフォーマンス)があります。同じリスクで出来る限り大きなリターンを得ることを目指すものです。そしてよい選択とは、コスパとリスパを最適化することです。例えば、同じ仕事をするのであれば、給料(報酬)が高い方がコスパがよく、同じ給料(報酬)であれば、安定していた方がリスパがいいということです。
また最近若者の間では、映画を1.5倍速で見たり、会話のないシーンを飛ばしたりすることが広く行われているようですが、それをする理由は、タイパ(タイムパフォーマンス)が良いからだそうです。タイパとは、同じ時間で出来るだけ大きなリターンを得ようとすることであり、コスパの時間版ということです。そして映画を早送りしてまでタイパを最大化しようとするのは、友達との会話についていくためだそうです。だとすれば、そもそも友人がいなければこんなことをする理由もありません。ここから、人間関係には大きなコストがかかることが分かります。
最強の自己啓発は睡眠と散歩
ジェフ・べゾスは、毎日8時間寝ることを最優先していました。なぜなら、睡眠こそが最も効果の高い成功法則だからです。
睡眠は、記憶・運動スキルの向上やイノベーションにも強く関係しています。寝不足では仕事や勉強のパフォーマンスが下がり、身体的な健康やメンタルヘルスを害し、アルツハイマー型認知症のリスクも高まることが分かっています。動物実験でも、眠らないと死ぬことが分かっています。睡眠不足により代謝機能も免疫機能もまともに働かなくなることから、通常では何の問題もないバクテリアが暴れ出し、生命を失うことになるのです。
睡眠と並んで成功にとって重要なのは、歩くことです。
アメリカ国立がん研究所が65万人の10年間のデータを調べたところ、毎日25分の散歩に相当する運動をする人は、運動不足の人より4年近く長生きすることが分かりました。ケンブリッジ大学の研究チームが30万人以上のヨーロッパ人のデータを調べた研究でも、運動不足による死亡リスクは肥満によるそれの2倍で、毎日20分の散歩が死亡リスクを3分の1下げることが分かりました。
また「最も効果的なエクササイズ」について世界各国の保険機関が推奨しているのは、「週に少なくとも150分の中強度又は75分の高強度の有酸素運動を行ない、それに加えて2回のウェイトトレーニングを行う」ことです。早歩きは中強度の有酸素運動にあたります。散歩する時は出来るだけ早歩きで、そして可能であれば、それに腕立て伏せ等を加えると良いということです。
年収800万円と金融資産1億円
市場経済では、貨幣の多寡が幸福度に大きく影響するので、誰もがお金持ちになりたいと心の底では思っています。しかし、無限の富を持てば無限の幸福が手に入るわけではありません。お金(収入や資産)の効用は、逓減するからです。
収入の限界効用がゼロになる金額(それ以上満足度が上がらなくなる金額)は、アメリカの研究では年収75,000ドル(約900万円)、日本の大学の調査では年収800万円だとされています。これは個人単位なので、夫婦と子供の世帯では年収1,500万円程度になります。
収入だけでなく資産の限界効用も逓減します。日本では、持ち家とは別に1億円の金融資産があると、それ以上貯蓄が増えても幸福度は上がらないとされています。これはおそらく「1億円」が老後の不安から解放される基準になっているからです。
年収や資産を増やすことは、ドラッグやギャンブルで一時的に幸福度を上げるような副作用もほとんどなく、長期的にも人生に良い影響を与えるでしょう。幸福になるための方法は星の数ほどありますが、「お金持ちになること」ほどシンプルかつ効果的な戦略は他にありません。
参考文献:橘 玲著 『シンプルで合理的な人生設計』(発売日:2023年3月7日)
本日のオマケ
私の取引
以下のファンドを毎営業日自動買付しています。
1.日本株式インデックスファンド 5,000円(自動買付) (ニッセイ-<購入・換金手数料なし>ニッセイ日経平均インデックスファンド) 2.世界株式インデックスファンド 5,000円(自動買付) (SBI-SBI・全世界株式インデックス・ファンド)
また以下のファンドを、月1回三井住友VISAカードで積立しています。
1.世界株式インデックスファンド 50,000円(自動買付) (eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー))
私の投資方針
1.投資対象は、主に株式インデックスファンド、又は個別株式とする。 2.世界株式インデックスファンドは、老後まで基本的に売却しない 3.レバレッジ、信用取引等はしない 4.財政状態、経営成績が良く、PER及びPBRが低めの割安株式を買う 5.平時は、預貯金の残高が減らないペースで積み立てる 6.暴落等により含み損が発生した場合、含み損状態を脱するまで、平時より積立額を増額する
投資方針の根拠
1.ジェレミー・シーゲル著『株式投資 第4版』 ・長期の実質トータルリターンは、他の資産に比べ株式が圧勝する 2.山崎元、水瀬ケンイチ著『全面改訂 第3版 ほったらかし投資術』 ・世界株式インデックスファンド、特に(eMAXIS Slim全世界株式(オール・カントリー)がお勧め 3.厚切りジェイソン著『ジェイソン流お金の増やし方』 ・基本的に売らない 4.ジョン・C・ボーグル著『インデックス投資は勝者のゲーム』 ・インデックスファンドは98%の確率で、アクティブファンドに勝てる 5.チャーリー・マンガー著『マンガーの投資術』 ・素晴らしい会社を適正な価格で買う