歴史というのは、「誰が政権を握り、誰が戦争で勝利したのか」という具合に、政治や戦争などを中心に語られがちです。しかし、本当に歴史を動かしているのは政治や戦争ではなく、お金、経済なのです。
驚くべき「戦前の日本」
19世紀以前、日本の存在は、せいぜいマルコ・ポーロの見聞録やイエズス会宣教師の記録の一端に出てくる程度で、世界史の中ではないに等しいものでした。世界中の小学校の教科書で、19世紀以前の日本について取り上げていることはほとんどありません。
男たちは、中国の辮髪(べんぱつ)に似た「ちょんまげ」という髪形をしており、女たちも髪を結いあげ、サムライという刀を持った軍人が街中を闊歩している・・・という、欧米諸国にとって日本という国は、変な文化を持ったアジアの小国の1つに過ぎませんでした。しかし、この国は開国するとすぐに、欧米の科学や文化を取り入れ、瞬く間に国家を「洋式」にしてしまうのです。
日本は、開国からわずか40年で、アジアの大国である清に戦いを挑み、これをねじ伏せました。さらにその10年後、欧米列強の中でも最強国の1つであったロシアをもねじ伏せました。
日本は、世界経済においても存在感を示すようになります。明治維新から第二次世界大戦前までの70年間で、日本の実質GNPは約6倍、実質鉱工業生産は約30倍、実質農業生産は約3倍になりました。当時、このように急激な経済成長をしている国は他にありませんでした。
戦後の高度経済成長は「奇跡の経済成長」と言われることがありますが、実は戦前にその基礎がありました。本当に奇跡の経済成長をしていたのは、戦前の日本なのです。
「強力な統一政権」が鍵
日本が、アジア諸国の中で唯一、欧米に対抗できた最大の理由は「強力な統一政権(明治新政府)」を素早くつくったこと」だと言えます。国の力を集中させると、経済力や軍事力が強まるからです。
なぜ、日本は素早く統一政権を作ることが出来たのでしょうか。それは、当時の日本の指導者たち(幕府、諸藩)は、他のアジア諸国が「内戦」につけこまれて欧米から侵略されてきた経緯を知っていたからです。内戦をしていては、欧米諸国につけこまれることを分かっていたからです。
このような背景から、1853年、アメリカのペリー提督による「黒船」来航に危機感を抱いた「志士」たちが巻き起こした「尊王攘夷運動」(天皇を中心とした強力な統一政権を作り、外国を追い払おうという運動)、その後の幕末の動乱は短期間で収束し、明治新政府が誕生することになりました。
経済発展の資金を賄った「強い輸出力」
明治日本が経済発展するためには、外国から物や技術の移転が欠かせなかったのですが、それにはお金が必要でした。日本は、そのお金を「輸出」により賄ったのです。
日本は、明治初期から貿易大国で、幕末に開国して以来、急激に輸出量を増やしました。その主役は、「生糸」です。実は日本は江戸時代からすでに「生糸大国」で、欧米に大量に輸出する生産力、技術力を持っていました。これにより、日本は開国以来、素早く富国強兵化することが出来たのです。
自立で鉄道建設した日本
日本の経済の成功要因の1つにインフラ整備の早さもあります。その最たるものが鉄道でしょう。明治日本は、維新からわずか5年後の1872年に、新橋~横山間に鉄道を走らせています。
実は、欧米以外の国が自力で鉄道を建設したのは、これが初めてです。日本よりもかなり早く西欧文明に接した中国が自力で鉄道を敷いたのは、日本よりも10年も後の1882年の事だったことからも、これがいかに画期的な事であったかが分かります。
新橋~横浜間に敷かれた鉄道を見て、人々は鉄道がどんなものかを知り、便利さを実感しました。そして日本全国に、鉄道を建設しようという動きが広がり、各地の商人、実業家たちがこぞって鉄道の建設を始めました。
初開通からわずか35年後の1907年には、日本の鉄道の影響キロ数は、9,000キロを超えていました。これにより、日本の産業が大きく発展したのです。
参考文献:大村 大次郎著『お金の流れで見る世界史』(発売日: 2023年2月1日)
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