『大インフレ時代!日本株が強い』の著者、エミン・ユルマズ氏は、日本はこれから好景気になっていき、様々なチャンスに遭遇する可能性が高まると考えています。キーワードは、「無人化・自動化」です。
キャッシュレス時代の到来
日本には、本当にとんでもない技術を備えたフィンテック企業が山ほどあります。創業100年を超える老舗企業が世界で断トツに多いのも日本です。そんな歴史を携えながらも、一方で、今後の省人化・無人化に変わっていく上での技術を取り込んでいます。これは、日本の、日本人のかけがえのない能力なのでしょう。
技術とは、1つの分野だけ突っ走っても意味がなく、関連分野もきっちアップしてこないと、大きなソリューションや大きな生活スタイルを変えるようなものは作れません。日本企業も色々と蓄積してきた技術はあったけれども、それが活かされてきませんでした。そこに今、通信インフラはじめ、様々なインフラが追い付いてきました。あとは人々のマインドの変化を待てばよかったのです。
日本はドイツとともに世界でも最も現金使用率が高い国でしたが、コロナ禍をきっかけに、予想以上にキャッシュレス決済が浸透していきました。これが「起爆剤」になり、巨大な相乗効果が発生し、それを勢いにして技術のブレイクスルーを次々と誘発させています。
これから5G, 6Gの時代に向かって重視しなければならないのは、もちろん通信インフラ、技術インフラ(パワー半導体含む)もそうですが、結局全て電力供給に収斂されていきます。
人手不足業種と人余り業種の実態
高速通信化、AI化、DX化、人型ロボットの4つがバラバラでなく全部が絡み合ってお互いが刺激し合い、ネットワークが出来て初めて、省力化・無人化社会が機能します。
日本の就業者は、今後少子高齢化の影響でさらに減少するのは不可避ですが、特に農林業が38%(1953年)から2.9%に大幅に減少しています。農業の分野で無人化が急務です。
職業別では、例えば介護などは求人は多いものの、職を求めている人は少ない(有効求人倍率3.89)。またサービス業の有効求人倍率も3.09倍と高く、その中には飲食や外食産業が多く含まれており、既に一部では配膳ロボットが登場しています。人が足りないところをより無人化して、うまく回していくべきなのです。
ポイントは人材のミスマッチの克服
日本には「事務的職業」「一般事務の職業」にいる人たちが大変な人余りになっていて(有効求人倍率はそれれ0.45、0.36)、このミスマッチをどう克服するのかが大きな課題となって浮上してきています。日本が迎えつつある新時代に向かい、1人1人のスキルをいかに上げて生産性を高めるか、スキルアップした人たちを、もっと付加価値の高い、生産性の高い現場でどう雇えるか、そこが「解」だと思います。
例えば、「生産設備制御・監視」という生産設備のモニタリングや、運転状況の調整など制御・監視の仕事に充実す人材の求人が2012年から2022年にかけて624.8%にも達しています。つまり、自動化されたが故に必要不可欠とされる、モニタリングする人材が不足しているのです。マシンがブレイクダウンした時にシステムを直す、ロボットが壊れた時に修理する等の技術者、プログラマー、プロセスマネージャー、工程管理者たちは既に奪い合いになっています。元来こうした分野は、技術でずっと飯を食ってきた日本人に向いているので、国は教育に力を入れるべきなのです。
日本のお家芸だった無人化システム構築
自動化・省人化・無人化で発展した日本の産業・企業にはどのようなものがあるでしょうか。
代表例として、トヨタグループの原点である豊田自動車織機があります。グループ創業者の豊田佐吉は、1896年、日本初の動力織機「豊田式汽力織機」を発明しました。1人の作業者が3~4台運転することが可能となり、生産性は従来の20倍以上に高まりました。そして1924年に発明した「G型自動織機」では、1人の作業者が30台~50台運転することが可能になりました。生産性は単純計算で200倍以上になったと思われます。
他にも、世界初の無人運転新交通システムとして神戸の「ポートライナー」があります。現在では、大阪の「ニュートラム」、東京の「ゆりかもめ」、「日暮里・舎人ライナー」、横浜の「金沢シーサイドライン」、愛知の「リニモ」、広島の「スカイレールサービス」等、日本の様々な場所で無人電車が展開されています。世界初の無人駅システムが実現したのも日本です。肝は自動改札で、その磁気システムを開発したのが立石電機(現在のオムロン)です。
さらに、世界初の「CSS(コンピューター・セキュリティ・システム)」を開発したのも、日本企業、セコムです。CSSにより、人間による巡回警備から、科学機械主体の警備が可能となりました。
こうして日本企業の歴史を見ると、日本が思いのほか自動化・省人化・無人化の歴史を持っていることが浮かび上がってきます。
今後の「無人化ビッグイベント」
2022年12月5日から「無人航空機レベル4」がスタートし、機体認証、無人航空機操縦者技能証明書、運航ルールが整備されました。2023年4月1日には、改正道路交通法案が施工され、「自動運転レベル4」の公道走行が解禁となりました。無人バスなどの無人自動走行移動サービスとして運用が想定され、また同日に「自動配送ロボット」を運行する事業者の届け出制度の施工も行われています。
『会社四季報 2023年1集 新春号 』の各銘柄のコメント内にも、「ドローン」「搬送」「自動運転」のキーワードが目立ちます。
「ドローン」に関しては、電気工事や送電工事で活用、ドローン装着品を農業で使用、インフラ点検用に水中ドローンを導入等々。「搬送」に関しては、クラウド利用で自社オリジナル搬送ロボットの量産体制が完成したとか、工場や物流倉庫内で自立走行ロボットが導入された等々。「自動運転」に関しては、自動運転バスのセンサーのデータ解析サービス、ゲーム開発ノウハウを生かした自動運転、データ生成ツールを自動車メーカーに提供等々。
私たちは以外に気づいていないけれど、世の中は着々と動いているのを改めて感じる次第です。
参考文献:エミン・ユルマズ著 『大インフレ時代!日本株が強い』(発売日:2023年3月1日)
本日のオマケ
私の取引
以下のファンドを毎営業日自動買付しています。
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私の投資方針
1.投資対象は、主に株式インデックスファンド、又は個別株式とする。 2.世界株式インデックスファンドは、老後まで基本的に売却しない 3.レバレッジ、信用取引等はしない 4.財政状態、経営成績が良く、PER及びPBRが低めの割安株式を買う 5.平時は、預貯金の残高が減らないペースで積み立てる 6.暴落等により含み損が発生した場合、含み損状態を脱するまで、平時より積立額を増額する
投資方針の根拠
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