絶対に押さえておくべき米国の12の経済指標
1.雇用統計
数ある経済指標の中でも、米国の雇用統計ほど株価や為替レートに影響を与えるものはありません。発表は基本的に毎月第一金曜日、米国時間午前8時半(日本時間:夏時間21時半、冬時間22時半)に発表されます。
雇用統計が重要視される理由は、非常にタイムリーな指標であること、そしてかなり詳細なレポートが出ることです。詳細なレポートは、米国労働省労働統計局のホームページ(U.S. Bureau of Labor Statistics (bls.gov))で確認できます。
参考文献:エミン・ユルマズ著『世界インフレ時代の経済指標』(発売日:2023年5月10日)
2.新規失業保険申請件数
新規失業保険申請件数は、申請された失業保険の件数をトラックしたものです。失業保険の申請件数が増えるということは、つまり失業する人が増えていることと同義ですので、景気がリセッションに入った可能性が高いと判断できます。
この経済指標が注目される理由は、一致指数として正確性が高いことです。発表頻度が高く、週次で発表されているので、景気がどういう状況にあるのかを、最もタイムリーに、かつ素早く把握できるのです。
数週間以上にわたって申請件数が40万件を超えている場合は景気悪化局面にあり、逆に長期にわたって申請件数が37万件を下回った場合は、景気回復局面にあると判断できます。
3.小売売上高
米国の景気を見るうえで、小売売上高は重要な経済指標の一つです。なぜなら、米国では個人消費がGDPの7割を占めているからです。そして小売売上高は、個人消費全体の1/3程度を占めています。
小売売上高が好調なら株価にとってはプラス、債券にとってはマイナス、為替にとってはドル高要因として作用します。なお、小売売上高はインフレ率を加味しない、名目値であることに注意が必要です。
参考文献:エミン・ユルマズ著『世界インフレ時代の経済指標』(発売日:2023年5月10日)
4.GDP
GPDはその国の1年間の国内総生産を示し、総額を見ることによって各国の経済規模を比較できます。また、前年同期比の伸び率を見ることによって、その国の経済がどのくらいのスピードで伸びているのか、あるいは縮小しているのかを判断する材料になります。
米国の場合、年率換算で大体3~3.5%の伸び率が最適と捉えています。この程度の成長率を維持できれば、米国国民の多くが豊かさを実感できるという数字です。
5.個人所得・支出
個人所得・支出は、毎月下旬に米国の商務省が作成・公表している経済指標です。前年同期比が注目され、貯蓄率も同時に発表されます。
前述の通り、米国経済は個人消費がGDPお7割を占めているので、消費者がお金を使わないと経済が低迷します。個人所得と個人消費は、同じような成長スピードで伸びることが理想です。
米国中央銀行であるFRBは、物価動向を把握する上で、消費者物価指数よりも先行指数的な存在として、この個人消費をより重視するとも言われています。
参考文献:エミン・ユルマズ著『世界インフレ時代の経済指標』(発売日:2023年5月10日)
6.消費者信頼感指数、7.ミシガン大学消費者態度指数
消費者信頼感指数は、米国の経済団体や労働組合などで構成する非営利の民間調査機関(カンファレンスボード)が発表している経済指標で、5,000世帯の消費者を対象にして景気や雇用情勢、消費動向などをアンケート調査したものです。消費者の視点から、米国経済の状況を把握できるものです。
ミシガン大学消費者態度指数は、ミシガン大学が作成・公表している経済指標で、個人の消費に対する期待感、経済情勢、資金繰り、所得にフォーカスしたもので、500人を対象にした電話アンケートにより調査したものです。
消費者信頼感指数は雇用情勢にフォーカスしているため、やや遅効性がありますが、ミシガン大学消費者態度指数は、個人消費のセンチメントに影響を及ぼす項目にフォーカスしているため、先行性があります。
両者とも指数が上昇傾向をたどる、あるいは高い水準を維持している時は、株価にとって極めてポジティブです。
8.耐久財受注
耐久財受注は、これから起こることを数字で示す、数少ない経済指標の1つであり、この経済指標はマーケットに及ぼす影響がかなり大きいので、投資家は注視しておく必要があります。
この指数が景気に先行する理由は、耐久財を製造しているメーカーが、数カ月間、あるいは半年間くらいで製造する耐久財の注文を「受注」した段階で把握するものだからです。
9.鉱工業生産指数
鉱工業生産指数とは、国内で生産された工業や製造業の生産動向を指数化したものです。つまり、米国の製造業が活況かどうかを示す経済指標です。
米国の製造業は年々、経済全体に占める比率が小さくなってきていますが、この経済指標は重要視されています。なぜなら、FRBが直接算出しているものであり、製造業は景気に敏感だからです。
参考文献:エミン・ユルマズ著『世界インフレ時代の経済指標』(発売日:2023年5月10日)
10.ISM製造業景況指数
ISMとはInstitute for Supply Managementの略で、全米供給管理協会の事です。この協会は、米国で最も権威のある職業組織の1つで、アリゾナ州をベースにしている、企業の購買担当者が集まってできた組織です。
ISMは毎月2つのアンケートを実施しています。1つが、製造業の購買担当者に対するもの、もう1つが非製造業の購買担当者に対するものです。そして、大事なのは前者です。近い将来における製造業への需要を先取りしている購買担当者の動静が分かるからです。
このアンケート結果は、毎月第一営業日に発表され、50を超えていると景気拡大、下回ると景気後退を示唆すると言われています。
11.新規住宅許可件数
米国住宅市況は景気に対して敏感に動きます。景気が悪くなりそうな場合真っ先に悪化し、景気に回復の兆しが見えると、真っ先に良くなります。
新規住宅許可件数は、着工前段階の基礎掘削の許可件数ですので、景気先行指標と言えます。住宅が景気に強い影響を及ぼす理由は、その裾野が極めて広いからです。
参考文献:エミン・ユルマズ著『世界インフレ時代の経済指標』(発売日:2023年5月10日)
12.消費者物価指数
消費者物価指数とは、米国の労働省が毎月作成・発表している経済指標で、消費者が購入する商品とサービスの価格変動を測定したものです。消費者物価指数の前年同月比がプラスであれば物価上昇を、マイナスであれば物価下落を意味します。
基本的に物価はゆるく上昇し続けるのが良いとされており、2%がちょうど良いというのがコンセンサスです。そのため、日本銀行やFRB等各国の中央銀行は、年2%というインフレ目標を定め、緩やかな物価上昇が続く状態を維持するために、金融政策に取り組んでいます。
参考文献:エミン・ユルマズ著『世界インフレ時代の経済指標』(発売日:2023年5月10日)
本日のオマケ
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私の投資方針
1.投資対象は、主に株式インデックスファンド、又は個別株式とする。 2.世界株式インデックスファンドは、老後まで基本的に売却しない 3.レバレッジ、信用取引等はしない 4.財政状態、経営成績が良く、PER及びPBRが低めの割安株式を買う 5.平時は、預貯金の残高が減らないペースで積み立てる 6.暴落等により含み損が発生した場合、含み損状態を脱するまで、平時より積立額を増額する
投資方針の根拠
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