表向きは善人の顔をしていて、罪を犯すわけでもないし、モラルに反しているわけでもない。しかし、周りに大きな悪影響を及ぼす、害を与える、そういう「無自覚な悪意」が、ここでいう悪人(=EVIL)です。
EIVILを特定する必要性
EVILな人は、世の中全体に対しての比率でいうと決して多くはありませんが、個人や会社、社会に与える影響は大きい。
例えば会社でいうと、周りの人のパフォーマンスを落としたり、関係した人が会社を辞めてしまったり、心に大きなダメージを受けてトラウマとして残ってしまったりということもあります。ですので、そうした存在からは距離を置かなければなりません。だからこそ、EVILな人を見抜き、特定する力が必要なのです。
優秀なEVILは表面化しにくい
下図の右側、③④のエリアにいる人が、EVILです。これを見ると「平凡なEVIL」と「優秀なEVIL」の2パターンがあることが分かります。
平凡なEVILは、見た目にも行動的にも「悪い奴」感があるので分かりやすく、見つけたら避けるか、排除するか、そもそも近づかなければいい。一方優秀なEVILは、悪意が分かりやすい形で発露することがなく、一見しただけでは善人と思われやすい。かつ、仕事が出来たりコミュニケーション能力も高いので、被害者が訴えても見逃されがちです。確かにそのような人が結果を出すことで、短期的には利益が出ます。しかし、中長期的には大変なマイナスです。
ジョージタウン大学教授のクリスティーン・ポラス氏のハーバード・ビジネス・レビューへの寄稿によると、EVILな社員は、スーパースター社員2人分が生み出す利益を簡単に吹っ飛ばしてしまうそうです。
しかし、こういう「優秀でEVILな人」は残念ながらいなくなることはありません。
EVILの典型タイプは「マウント型」と「ナルシスト型」
優秀なEVILは「マウント型」と「ナルシスト型」の2つに大きく分けることが出来ます。
「マウント型」:威圧的に相手をコントロールしようとする人。いわゆるパワハラ上司の典型。 「ナルシスト型」:自意識過剰で、自分の欲求を満たすために周りを巻き込んでげんなりさせることが多い。
発露の仕方が違いこそすれ、元となっているのはどちらも「サイコパス気質」です。しかし、サイコパスであるかどうかがEVILの判断材料かというと、そう単純ではありません。誰もがサイコパスの素質は有しているからです。サイコパス成分の濃度が濃い場合に、サイコパスと判断されます。
サイコパスの見抜き方
判断材料になり得るのは「まばたき」です。サイコパス度が高い人は「まばたき」の回数が極端に少なく、こういう人は共感性が著しく欠如していることが多い。部下等に「なんでこれ出来ないの?君、ばかなの?」等ということを平気で言ってしまいます。
また、自分とは丁寧な話し方をしていたのに突然、レストランの従業員等に対して「水!」「トイレどこ?」等、ぶっきらぼうな他の見方をする人物も要注意です。
突発性EVIL
先ほども述べた通り、サイコパスの成分は誰でも有しています。つまり、誰でもEVILになる可能性があります。そして、普段そんなそぶりを見せないのに、突然EVILに豹変する人がいます。それが、突発性EVILです。
これを引き起こすトリガーとなるのがプレッシャーです。仕事でトラブった、期限が迫っている、上からものすごく圧力がかけられた、要求が自分の処理能力を超えている・・・このように精神的に追い詰められた時に、突発性EVILは発現しやすい。
突発性EVILは3タイプあります。
①目指すべき「目標」に意識が向かうことが強いタイプ このタイプは、有事になると他人を「操縦」して問題を起こす可能性が高い。目標を達成することが第一なので、それが叶わないようになると、あらゆる手を使ってでも成し遂げようとするからです。 ②より良い「人間関係」を築くことに意識が強いタイプ このタイプは、物事がうまくいかなくて壁にぶつかると、他人に依存します。それは、好かれたいからです。依存の仕方には2つあり、1つは「すごいと褒めて」とか、「やってます感」をアピールするパターンです。もう1つは、「私出来ないからあなたやって」と他人に放り投げてしまうパターンです。 ③「あるべき姿」を目指すことに意識が強いタイプ このタイプの典型は、法務部門や管理部門に多い。道徳観やコントロール意識が強い傾向が見られる人たちです。このタイプが仕事上で窮地に陥ると、安全地帯を作ろうとします。「本当?」、「リスクあるよね」といった感じで一定の距離を置いて自分を「防御」するのです。自分自身が常に正しい姿でありたいからです。
参考文献:小野 壮彦 著『経営×人材の超プロが教える 人を選ぶ技術』(発売日:2022年11月21日)
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