民間給与実態統計調査結果の概要
令和4年度(2022年度)の民間給与実態統計調査によると、令和4年 12 月 31 日現在の給与所得者数は、5,967万人(対前年比1.5%減、91万人の減少)、1年を通じて勤務した給与所得者数は、5,078万人(対前年比1.2%減、60万人の減少)で、その平均給与は 458万円(同2.7%増、119千円の増加)となっています。
1年を通じて勤務した給与所得者数を男女別にみると、男性2,927万人(同1.9%減、57万人の減少)、女性2,151万人(同0.1%減、3万人の減少)で、平均給与は男性563万円(同2.5%増、137千円の増加)、女性314万円(同3.9%増、119千円の増加)となっています。
1年を通じて勤務した給与所得者の正社員(正職員)、正社員(正職員)以外の平均給与についてみると、正社員(正職員)523万円(同1.5%増、76千円の増加)、正社員(正職員)以外201万円(同2.8%増、55千円の増加)となっています。
この民間給与実態統計調査の対象となっているのは、源泉徴収義務者(民間の事業所に限る。)に勤務している給与所得者です。民間の事業所の従事員(パート・アルバイトなどを含む)や役員は含まれますが、公務員や自営業者等は含まれていません。
また、この調査は民間の給与所得者の給与について源泉徴収義務者(事業所)の支払額に着目し集計を行ったものですので、その個人の所得全体を示したものではありません。
例えば、複数の事業所から給与の支払を受けている個人が、それぞれの事業所で調査対象となる場合、複数の給与所得者として集計されます。そのため、実態より低く算定されている可能性があります。そこで、マクロデータを使って、日本人の平均所得を試算してみます。
マクロデータで試算する
内閣府から公表されているマクロデータ、家計可処分所得のデータを参考にすると、不労所得等も合わせた、労働者一人あたりのおおよその所得が分かります。
(1)労働者一人あたりの総所得
家計可処分所得額は、下図「可処分所得」の314兆6,977億円です。これは、黄色の合計である家計所得合計(435兆4,627億円)から、青色の合計(120兆7,649億円)である税金等を減算して求められます。
家計所得合計(435兆4,627億円)を、2022年平均就業者数6,723万人で割ると、労働者一人あたり平均所得(約648万円)が計算できます。これは、給与所得、不労所得、年金等、全ての収入を合わせた収入であり、額面です。
また、可処分所得合計(314兆6,977億円)を、2022年平均就業者数6,723万人で割ると、労働者一人あたり平均可処分所得(約468万円)が計算できます。可処分所得とは手取収入です。
なお、労働せずに年金所得や不労所得を得ている方も相当数おり、それらの方々の数がこの計算の分母(平均就業者数)に含まれていないことから、実際は、労働者一人あたりの不労所得も合わせた稼ぎ全体は、648万円より少ないということが推測できます。
(2)雇用者一人あたりの年収
同様に、上図「雇用者報酬」(294兆4,918億円)を、2022年平均雇用者数6,041万人で割ると、概算の雇用者一人あたりの平均年収(約487万円)が計算できます。
民間給与実態統計調査による平均年収は458万円と、先ほど計算した約487万円と比較しても、差額は29万円と、大きな差はありません。ここから、公務員等も含めても、日本のサラリーマンは平均年収500万円弱であること、またほとんどの人は1つの会社からしか給料を得ていないだろうことが推測できます。
所得の分布(2021年度)
民間給与実態統計調査(2021年)と、所得階級別人員(2021年)を用いると、所得の分布が分かります。
※民間給与実態統計調査の「年収」とは額面であるのに対し、給与所得は年収から給与所得控除を控除した金額であるため、年収と給与所得は一致しませんが(年収>給与所得)、簡便的に、年収=給与所得と仮定して集計しています。そのため、年間所得の中央値は300万円台と計算されたものの実際は300万円台以下であるはずです。一方で、年間所得1億円を超える方も、2万人以上います。
※表中の人数=「1年を通じて勤務した給与所得者数+確定申告者数-確定申告者かつ給与所得者」により計算しております。
※所得階級別人員の最新データが2021年であるため、2021年度の所得の分布を計算しております。