真の成功とは
公に認められるという世間でいうところの「成功」もありますが、本当の意味での成功もあります。前者は人生に危険が伴うことがありますが、後者は人生の質が高まっていきます。
大衆紙の世界が「成功」と呼ぶものは、「成功している」人々の健康や人間関係などが蝕まれるケースが良くあります。精神的な挫折は、金持ちや有名人によくあることです。この種の成功は単なる有名人の成功であり「注目される」ことが導く破壊力について毎日報道されています。有名人たちは結婚に失敗したり、嗜癖やアルコール依存症が原因で自殺したり、その他にもタイミングの悪い終わり方で死んでしまうことが良くあります。
彼らが没落したのは、あまりに多くの富や名声、注目などを浴びたからというだけではありません。このような影響が彼らの自我をゆがめて、偉大な自己の代わりに、個人的な自己をを強くしてしまったからです。個人的な自己は私たちの一部であり、おだてに弱いのです。偉大な自己は、今よりももっと成長した自分の本質の一側面であり、成功に対して謙虚でいながら感謝している自分です。
私たちを繫栄させるも滅ぼすも、その原因は成功そのものではなく、成功がどのように私たちの性格に影響を与えたかによります。誇りに思っているか、謙虚でいられるか、エゴ的であるか、感謝しているのか、自分が他者より優れていると考えるか、それとも才能は感謝すべき贈り物だと考えるか、これらが決定的な要因となります。
少しの成功を収めた人たちが栄華の味をしめると、横柄になったり、出しゃばったり、権威的になって人間として腐敗してしまうことは誰もが良く知っています。一方で少しの成功を収めている人の中でも、心が温かく、敏感で、なおかつ思いやりがあり、はるかに素晴らしい人たちがいることも私たちは知っています。
大手企業のリーダーや銀行の取締役、ノーベル賞受賞者や由緒ある家系の一族など世界で大きなパワーを持つ人々を見ると、彼らは非常にオープンで温かく、誠実であることが分かります。彼らからは、成功を一つの責任と思っているか、あるいは高い身分に伴う義務として受け取っているということがはっきりと見て取れます。これこそが、真に成功している人達です。
彼らは上下の分け隔てなく、どんな人に対しても思いやりがあり、丁重です。実力者を訪問していても、使用人に話しかけている時も、みなを平等に扱うことが彼らの質とも言えます。真の成功者は、自分はただ恵まれているだけで、他の人より優れているとは思わないので、横柄な態度は微塵も見せません。彼らは自分の地位に対して、皆に最高に役立つような影響を与えるという任務があると感じています。
真の成功は、外部の状況に関係なく、内から湧き出てくるものです。
成功への道は、3つの段階があるように思われます。
第一段階では「何を持っているか」が大切で、成功とは物質的な富から得られるステータスです。次に、人が成長するにつれて「何を持っているか」より「何をするか」によってステータスが与えられるようになります。この段階では、地位や行動が重要な社会的ステータスをもたらす一方で、達成させたことの内容が重要となります。最終的に、人生経験を通して、「自分がどういう人間になったか」ということだけに関心を持つようになります。そのような人は、内面のパワーから醸し出されるカリスマ的な「存在感」があります。
健康と態度
概して、肉体的な健全さと精神的な健全さは、ポジティブな態度に関係しており、肉体と精神が健康でないことは、怒りや嫉妬、敵意、自己憐憫、恐怖、不安などのネガティブな態度に関係しています。精神分析の分野では、積極性は「幸福感情」と呼ばれ、ネガティブな態度は「緊急感情」と呼ばれています。緊急感情が慢性化すると、結果として病気を引き起こし、その人のパワーは弱化します。
一般的な伝統医学では、ストレスが疾患と病気の原因であると診断しています。しかし、この診断の問題点は、正確にストレスの源を探ろうとしていないことです。全てのストレスが人間の態度によって内部的に作りだされるということを知らずに、外部的な状況だけを非難するようになってしまいます。ストレスは人生に起きる出来事ではなく、ストレスの兆候を知る者に対する人間の反応自体です。
私たちの態度は、私たちの視点から来ています。そしてその視点は、動機とその事情に関係しています。解釈次第で、同じ状況も、悲惨にも笑いの種にもなるのです。生理学的に言えば、態度の選択において、人体を活発にするエンドルフィン(幸福感情で分泌されるもの)を選ぶか、衰弱させるアドレナリン(緊急感情で分泌されるもの)を選ぶかのどちらかだということです。
参考文献:デヴィッド・R・ホーキンズ著『パワーか、フォースか 』(発売日:2018年6月15日)
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