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マッチングアプリと恋愛コスパ主義『今どきの若者のリアル』

「マッチングアプリ」が広く一般に利用されるようになって久しいが、マッチングアプリという言葉が「恋人や結婚相手探しのネットを利用したサービス」という意味で使われるようになったのは最近のことです。

現在、従来の出会い系と言われるサービス業者だけでなく、結婚情報サービス事業者、自治体関係の事業者も、ネット上での結婚相手紹介に乗り出すようになりました。そして、マッチングアプリの利用者数や、そこで出会って結婚するカップルも増えています。

「出会い」の3つのパターン

恋人や結婚相手との出会いのパターンは様々です。

国立社会保障・人口問題研究所が1940年からほぼ5年おきに行っている「出生動向基本調査」では、夫婦の「出会いのきっかけ」についての項目があります。2015年の調査までは、①学校、②職場や仕事の関係、③幼なじみ・隣人関係、④学校以外のサークル活動やクラブ活動・習い事、⑤友人や兄弟姉妹を通じて、⑥お見合い、⑦結婚相談所、⑧街中や旅行先、⑨アルバイト、⑩その他、の10分類が使われていました。それが、2021年度の調査からネットなどでの出会いも選択項目に加えられ、全体の17.9%を占めています。

『「今どきの若者」のリアル』の著者、山田昌弘氏は、出会いのパターンを大きく次の3つに分けます。①自然な出会い、②偶然の出会い、③積極的な出会い、です。

①自然な出会いとは、幼なじみ、学校、職場、趣味のサークルなど、身近な人を好きになり、交際を始めるというもの。②偶然の出会いとは、旅先や街中等で、素性を良く知らない人とたまたま出会って好きになり、交際が始まるというもの。③積極的な出会いとは、自分から交際相手、結婚相手を積極的に見つけに行くもので、マッチングアプリもこれに分類されます。

「自然な出会い」を好む日本人

日本では自然な出会いが好まれ、偶然な出会いや積極的な出会いはあまり好まれません。その理由は、日本人国民性として、面倒やリスクを嫌い、世間体意識が強い傾向があるからです。

日本では、恋愛と結婚を結び付ける考え方がいまだに強く、交際相手が結婚相手につながる確率が高い。もちろん、恋愛と結婚は別と考える人も存在しますが、現在の日本では少数派です。そのため、恋愛の場面で会っても結婚相手としてふさわしい人と交際したい、結婚相手としてふさわしくない人と交際するのを避けたい、と多くの人が考えます。そのため、コスト(時間、お金)をかけるのは避けたいという意識が強く、偶然な出会いや積極的な出会いは避けられがちなのです。

偶然な出会いにはリスクがあります。相手の素性ははっきりせず、職業や未既婚かどうかさえ分からないし、聞いても相手が嘘をつく可能性もあります。出生動向基本調査でも、「街中や旅先で」出会って結婚した人は、戦後一貫して10%未満しかありません。

マッチングアプリが含まれる「積極的な出会い」は、リスクに関して自然な出会いと偶然の出会いの中間と言えるでしょう。会う前に、ネット上のプロフィールで相手のある程度の情報を知ることが出来るからです。また「積極的な出会い」には、時間もお金もかかります。つまり、コスパも問題になるということです。

そして世間体ということになると、一昔前までは特に、見合い=恋愛できなかった人、というイメージがありました。積極的に相手を探す女性は、男性から誘いがかからない=魅力がない女性と揶揄されることもありました。

日本人は自然な出会いを好み、偶然の出会いを忌避し、出来れば積極的な出会いは避けたいと思っています。しかしそうも言っていられない時代が来たことが、マッチングアプリの流行に関係してきます。

a couple sitting on cliff having a picnic
Photo by Taryn Elliott on Pexels.com

自然な出会いが減少した

日本では、高度経済成長期に自然な出会いによる恋愛結婚が急速に普及しました。多くの学校が共学化し、企業も一般職で大量の未婚女性を採用し、福利厚生の一貫として社員旅行やサークル活動が奨励されていました。地域では農協や商工会の青年部、青年団の活動が活発で、自営業や農家の息子、娘が参加していました。未婚の男女が同じ場所で一緒に勉強や仕事、活動を行えば、そこで好きになる人が出てきます。

当時の若者たちには、徐々に親しくなる時間的余裕がありました。そしてこうした自然な出会いに乗り遅れた男女にも、お見合いが設定され、ある程度の年齢までにはほとんどが結婚していきました。それが可能だった背景には、1980年代ごろまで、若年男性の収入が安定していたことがあります。当時の女性にとって、誰と結婚しても、将来の経済生活を心配する必要はありませんでした。

ところが、1990年ごろから職場での自然な出会いは減少します。理由の1つは、正社員の長時間労働と非正規雇用の増大があります。また、コスト削減などの理由で社内サークルや社員旅行を廃止する企業が増えました。地方でも青年団など全員加入の若者組織が衰退に見舞われました。さらに、収入が不安定で女性から結婚相手と見做されづらい男性が増えました。こうした要因が重なり、未婚化が進行します。

1970年代には30代前半の未婚率は、男性11.7%、女性7.2%と、男女ともに30歳くらいまでにはほとんどが結婚していました。それが2020年には、男性51.8%、女性38.5%にまで上昇します。出生動向基本調査でも、2005年以降、恋人を持つ未婚の若者の割合が急速に低下します。2021年では、恋人がいる18~34歳の未婚の若者は、男性21.1%、女性27.8まで落ち込みました。

コスパとリスクの相反

「積極的な出会い」の中で、マッチングアプリにはどのような特徴があるのでしょうか。1つは、コスパとリスクの相反です。つまり、手軽に多くの人と出会うことが出来る一方で、問題がある人と出会う可能性も高いということです。

マッチングアプリは、料金は無料もしくは安く、多くの人に出会えます。プロフィールが事前に分かるため自分に合った人を見つけられる可能性が高く、コスパは高いと言えます。しかしその分、リスクは高い。職業や収入、年齢の詐称など、嘘のデータの提示、サクラの存在、結婚目的でない人や既婚者の参加、婚活詐欺などを排除できません。

もっと良い人がいるかも

マッチングアプリの特徴の2つ目は、社会的な魅力格差が顕著である点です。男性にとっては学歴や職業、収入、女性にとっては容姿や年齢による、相手からの選ばれやすさの格差を解消するものではなく、むしろ際立たせる出会い方です。現実問題として、プロフィールの年収が低い男性、年齢が相対的に高い女性は選ばれにくいということが起きます。

マッチングアプリの特徴3つ目は、多くの人と出会えるためマッチした人と出会える確率を高める反面、「もっと良い人がいるかもしれない」と、なかなか一人に決められないという事態が起こります。またアプリで見た写真が好みだと思ったにもかかわらず、実際に会ったら想像していた人と悪い意味で違ったということも良く起こり、たくさん会えても付き合わない人が多いのです。

マッチングアプリにはこれらの問題点があるにしても、自然な出会いが衰退し、偶然の出会いが好まれないとすると、「積極的な出会い」に頼らざるを得ません。中高年の利用も近年増えています。

スマホの普及とパートナーがいない人の増大とともに広がったマッチングアプリの行く末は、これからも注目すべきでしょう。


参考文献:山田 昌弘著『「今どきの若者」のリアル』(発売日:2023年11月16日)

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