米国のIT長者たちが変えた、お金の価値観
アメリカのIT起業の成功者というのは、お金持ちという概念を変えてしまったところがあります。Facebook創業者のマーク・ザッカーバーグもいまだにパーカーでしか記者会見に現れないということで、アメリカの一部の権力者たちから非難されているそうです。マイクロソフト創業者のビル・ゲイツも、昔からエコノミークラスしか乗らないそうですし、身なりにも興味がなさそうです。
最近のお金持ちは、見栄やプライドと言った余計な物には決してお金を使いません。今までのお金持ちのイメージと言えば、いい家を買ったり、高級車を乗り回したりという感じでしたが、若い富裕層たちはある意味全く違うお金の価値観を持ち始めている気がします。
このような価値観を生む背景の一つとして「ネット社会」における教育があります。以前話題になった、アメリカの大学を中心に運営されているMOOC (Massive Open Online Courses)という教育システムがあります。これはウェブ上で基本的に無料で参加できる大規模講義のことで、色々なことを無料で学べるカリキュラムがありますが、同時に1万人、10万人という規模で能力の高い人間が育成できます。
そのようなことからも、IT長者と言われている人達の共通点というのは、いかに有益な情報とつながっていられるかを重視するということです。そうなると、自然と身の周りは質素なものとなってしまうのでしょう。それこそ、東京の高級レストランでご飯を食べるより、いいスーツを身にまとうというよりも、田舎の自然に囲まれた気持ちいいところで、ネットにつながっていい情報を探している時の方が幸せという感覚があるのかもしれません。いかに有益な情報を手に入れ、その情報をいかにお金に変えるのかという方法が、重要なポイントになってくるのです。
貯金がないと脳のバランスが保てない
私たちの脳には、「確実な事」と「不確実な事」のバランスを取る働きをする「ポルトフォリオ」という感情のシステムがあります。このポルトフォリオは、自分自身の経験や知識、そして貯蓄などの十分な「確実性」の要素が増えれば増えるほど、「不確実性」=挑戦を積み増していくことが出来る仕組みになっています。
正規雇用についているにもかかわらず、収入が生活保護水準という、その日暮らしの状態にある人たちのことを「ワーキングプア」と言います。このような状態を脳科学的に分析すると、「確実な事」の要素がないため、チャレンジする力を失ってしまうことになります。つまり、キャリアアップや転職や起業するといった不確実な挑戦が出来なくなってしまうわけです。自分が何か不確実なことに挑戦しようとするとき、貯金がないと脳のバランスが保てないのです。
自分の貯金が10万円ある人は、10万円分の不確実性を受け入れられます。100万円の貯金がある人は、100万円分の不確実性を受け入れて挑戦することが出来るというわけです。チャールズ・ダーウィンも、十分な資産があったからこそ、『種の起源』の執筆という、歴史に残る挑戦が出来たということが言えます。
お金は人間関係を目に見えるようにしたもの
脳科学の知見からは、「お金は人間関係を目に見えるようにしたものである」ということが言えます。人間関係が充実している人にはお金も集まってくるということです。
人との交流、つまりは人間関係の構築はある意味では投資だと言えます。人間関係にお金を惜しむような人は、決してお金持ちにはなれないということです。逆に言えば、一流の成功者やお金持ちは、人間関係に使うお金がいずれ自分に跳ね返ってくるということを知っているのです。
お金持ちの人間関係の本質
その人の人間関係を見れば、その人がどんな人であるか、大体わかります。なぜなら、お金持ちの周りにはお金持ちが集まっていて、貧乏な人の周りには貧乏な人が集まっているからです。
つまり、お金持ちの人間関係は「稼ぐ人」がたくさん集まっているからお金持ちだということであり、なかなか稼げない人の周りには稼げない人が集まってくるので稼げないという図式があるのです。それが人間関係の本質だと言えます。
お金持ちになるということは、決して自分1人で成し遂げられるものではありません。お金持ちの多くは人間関係をとても重要なものと位置付けています。色々な人に会ったり、大切な人との関係を深めることを最優先にお金や時間を投資しているのです。
人との関係が広がれば広がるほど、そこに払ったお金以上に「幸せ」や「成功」が増えていきます。
人間関係を築く上でのお金の使い方
お金持ちは「人間関係は広がれば広がるほど財産である」と口をそろえたように言います。では、お金持ちは人間関係を構築する上で、一体どのようなお金の使い方をしているのでしょうか。
まずいえるのは、お金持ちは、自分が好きなことで感動できるような体験にお金を惜しまず使っているということです。つまり、お金持ちや一流の成功者は、人間関係にお金を使うことを感動体験の1つとして認識しているのです。
脳はこの感動体験を何度も味わうことを求める性質があるのですが、お金持ちであればあるほどこの感動体験がより多く生まれる傾向があります。それによって、無意識のうちにお金が増えるような人脈選択や行動を起こすことにつながっているのです。
お金持ちは良い人間関係を構築している
お金持ちと呼ばれる人は必ず良い人間関係を構築しています。ただの1人も例外なく、良い人間関係なくして成功した人はいないということです。彼らは決して運命の出会いに身を任せたわけではなく、彼ら自身で出会いの運命を引き寄せたのです。
しかし、誰とでも仲良くするということはあまり得策ではありません。自分の時間がどんどん無くなってしまいますし、苦手な人と時間を共有していては脳がストレスを感じてしまうからです。
自分が成長するための人間関係を作っていくことが大切だということです。毎日楽しそうにしている人や、成功している人達と一緒にいると、自分もそのような人間になることが出来ます。つまり、どんな人と付き合うかで、自分がどんな人間になるかが決まってくるわけです。付き合う人間を選ぶということは、非常に重要なことなのです。
参考文献:茂木 健一郎著『一生お金に困らない脳の使い方』(発売日:2023年12月19日)
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