今、投資すべきは日本株です。
「日本はもう終わった」「人口減少だし、ITでは出遅れたし、株価が上がる要素がない」等と言われてもいますが、そんなことはありません。むしろ今ほど、日本株に投資すべきタイミングはないと言っても過言ではないほどです。
市場の先読みには長期思考が欠かせない
長期投資は、投資期間を長くとることによって投資のリスクを軽減できるため、一般の方々にとって安心かつ安定的な運用が可能になります。投資のリスクとは、即ち元本割れのリスクの事です。短期間に多くの資金を動かすと、値下がりリスクの影響をもろに受けてしまいます。
長期投資はこれとは逆のスタンスを取ります。時間をかけて毎月一定額の株式を買い付け、長期的に資産形成をしようというものです。これは昔からよく知られている買付方法で「ドルコスト平均法」と言い、投資リスクを軽減するための手法の1つです。
ただし、どんな銘柄でも長く保有すればいいかというと、そういうわけではありません。長期投資はトレンドに合っていて、時間の経過とともに値上がりしていく銘柄を選定出来て初めて効果を発揮します。
例えば、1990年4月の株価を1とした場合、2020年~2021年頃の株価は、キーエンス63.7、野村證券0.24で、日経平均は0.95となります。銘柄選びで運用成績は全く違ってきます。更に衝撃的なのは、1990年4月から2023年3月までの396カ月、「ドルコスト平均法」でこれらの銘柄を毎月1万円ずつ買っていたと仮定した場合、投資金額はいずれも合計396万円ですが、2023年3月末の評価額は、日経平均735万円、野村證券238万円、キーエンス7,274万円と、非常に大きな差がつくのです。
大切なのは長く持つことではありません。「確実に値上がりしていく銘柄を選んで長く持つこと」なのです。
リーマンショックの時でも儲かった人がいる
リーマンショックは、アメリカのサブプライムローンという金利の高い住宅ローンが返済不能になったために、投資銀行であるリーマン・ブラザーズが破綻したことがきっかけとなって起こりました。
この影響で、2007年2月27日に18,300円であった日経平均は、2008年10月28日には一時6,994円まで急落します。下落率は実に62%です。ところがそんなひどい時代であったにもかかわらず、中には株価が上がった銘柄も存在しました。全部で3,000ある銘柄のうち、プラスで終わった銘柄が69、2.3%もありました。
「買い」のタイミングは14年に1度
株式投資を成功させるには、「買い」のタイミングが最も重要です。
株式投資の儲けの基本は極めてシンプルです。①安い時に買って高い時に売る、②配当が出る株を購入し、保有期間中、配当収入を得続ける。この2つしかありません。
そして実は、株式を本当に買うべきタイミングというのはそう多くありません。
「投資の神様」であるウォーレン・バフェット氏も、2023年4月に来日した際「日本株の追加投資」を宣言しましたが、株式を大量買い付けするのはリーマン・ショック後最安値を付けた2009年以来、14年ぶりのことです。これは景気サイクルと一致します。
「歴史は繰り返す」と言います。特に株式市場では好景気と不景気を繰り返しており、株価チャートが似たような形になることがしばしばあります。事実、1929年10月にウォール街の暴落から始まった世界恐慌から回復して、1964年1月に2倍の高値を付けた時のNYダウと、1989年12月に史上最高値を付けた後バブル崩壊とともに下落し、徐々に値上がりを続けてきた日経平均は酷似しています。
そうしたことからも、日本株に14年に1度のビックウェーブが来るのではないかと予測しています。
大きな数字を押さえる
長期的に伸びていく銘柄を見つけるには、広い視野が必要です。
例えば、世界経済規模を測る一番重要な数字、それはGDPです。GDPとは、1年間など一定の期間内にそれぞれの国内で算出されたサービスや商品などを販売した時の価格から、原材料や流通費用などを差し引いた価値のことです。この価値は「付加価値」と呼ばれます。2023年5月2日の一般財団法人・国際貿易投資研究所の発表によると、2021年における178か国の名目GDPは、前年に比べて14.1%増加し、93兆9,359億ドルでした。このうち、日本のGDPが占める割合は、為替の変動により変わるものの、大体5%前後です。
世界の時価総額を巨視する
株式投資をする上で、時価総額も避けて通るべきではない数字です。時価総額とは、現在の株価に発行済み株式総数をかけて求める数字で、企業を評価する上で重要な指標となります。時価総額が大きいほど、企業価値が高いと評価されます。
世界の時価総額は、2023年6月末時点で約105.9兆ドルで、前年末に比べて8.3兆ドルの増加、8.5%の増加率です。世界が1年で生みだす付加価値であるGDPが93兆9,359億ドルですので、それよりも世界の時価総額の方が大きいということになります。
世界の時価総額のうち、トップに位置しているのは米国市場の46.7兆ドルで、44.1%を占めています。日本は中国に次ぐ第3位で5.9兆ドル、割合は5.6%です。
世界の負債を俯瞰する
世界の債務残高とは、各国が発行する公債や民間債務の総額のことを言い、IMFの世界債務データベースで確認することが出来ます。
世界債務は2020年、新型コロナウイルスによる景気後退の影響で、第二次世界大戦以降最大の増加額を示しました。国際金融協会が公表した2023年第2四半期末時点の世界の債務残高は、過去最高の307兆ドルです。これは世界のGDPに対して336%の水準です。
日本産業の規模感
世界の時価総額のうち、日本は世界3位の5.9兆ドル、割合は5.6%です。(2023年6月末時点)では、どの産業がどのくらいの事業規模で存在しているのでしょうか。
『会社四季報』2023年秋号によると、売上高の比率は製造業49%、非製造業43.4%、残り7.6%が金融業となっています。
売上高だけを見ると、非製造業の卸売業が一番大きくて、約123.7兆円近くです。ところが、本業による儲けである営業利益は4兆7,852億円と、それほどでもありません。卸売業は仕入れて販売するため売上の規模は大きくなりがちですが、本当の付加価値(利益)は、仕入と売上の差額だからです。小売業も同じ理由で付加価値は大きくありません。
非製造業のこうした諸々を割り引いて考えると、日本は非製造業ではなく、製造業で成り立っている国ということが分かると思います。そして、製造業の内売上トップ3は、1位が輸送用機器(自動車)の約121兆円、2位が電気機器の約91兆円、3位が化学の約46兆円です。
「ど真ん中の産業」は時代によって変わる
株式市場は常に様々な要因で変化しているので、あなたの保有する銘柄がずっと右肩上がりで、業績と株価が共に上がり続ける可能性は0に近いでしょう。業績が悪い時期があるのはやむを得ませんが、最低限、あなたが掲げる投資のゴールまでその会社が存在しなければ、投資する意味がなくなってしまいます。
大切なのは、時代を作るような「ど真ん中の産業」がどの業界なのかを見極め、そこから投資先を決めていくことです。
参考文献:渡部清二 著『プロ投資家の先を読む思考法』(発売日:2023年12月7日)
Amazon
にほんブログ村
投資信託ランキング