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GDP神話が崩壊した『グローバルサウスの逆襲』

かつて開発途上国と呼ばれていた主に南の国々が、急激に経済力を獲得し、世界に存在感を示すようになりました。

これらの国に共通する点の一つは、「民主主義」というイデオロギーに囚われないことです。民主主義は、実は手がかかって非効率な政治システムです。対立する様々な意見を尊重しながら集約を図らなけれならず、時間ばかりがかかるからです。

しかし、「英明な指導者」がいれば、権威主義的な政治体制になろうが、独裁国家になろうが、経済は発展します。急激に経済成長を果たした国の多くに共通するのが、こうした傾向です。

開発途上国と呼ばれた南の国々は、北半球に位置する先進諸国によって占領されたり植民地化されたりしてきました。それが、どれだけ屈辱的だったことでしょう。

ロシアがウクライナに侵攻した際、国連総会はロシアを非難する決議を採択しましたが、インドや南アフリカなどかなりの国々が棄権に回りました。インドはイギリスの植民地として辛酸をなめた歴史があります。一方で東西冷戦時代、インドが中国と敵対した際、当時のソ連はインドを支援しました。南アフリカも、かつては白人支配のアパルトヘイトに苦しんだ黒人たちが解放闘争に取り組んだ際、ソ連の支援を受けました。

このように急激に発展してきた国々にとって、大事なことは自国の発展。国際連帯という美辞よりは、自国第一主義です。

そんな全体の動きのモデルになっているのが、アメリカのドナルド・トランプ前大統領です。「アメリカ・ファースト」を主張し、国際協調に見向きもしない姿勢は、まさにグローバルサウスそのものです。彼はアメリカ国内での「グローバルサウス」を象徴しています。

国土の広大なアメリカは、地域によって大きな差異があります。日本人が良く見るニューヨークやカリフォルニアはアメリカ国内の「先進国」。これに対し、カンザス、オクラホマ、アーカンソーなどの農業地帯は、給与水準も決して高くなく、高学歴の人が少ない、アメリカ国内での「グローバルサウス」に位置する存在です。

そう考えると、トランプ前大統領の選挙に向けての快進撃は、まさにアメリカ国内での「グローバルサウスの逆襲」ではないでしょうか。

世界が、発展した北と、途上国の南に分断されているように、アメリカ国内でも分断が進んでいますアメリカ社会の分断は、トランプ前大統領が生み出したものではなく、これまで進んでいた分断がトランプ前大統領を生み出したのです。

グローバルサウスとは

グローバルサウスとは、アフリカ、中東、アジア、ラテンアメリカの中で、新興国や発展途上国と呼ばれてきた国の総称です。国力をつけて存在感を高めてきたため、大いに注目されています。

具体的に国名をあげれば、G20のメンバーであるインド、インドネシア、サウジアラビア、南アフリカ、ブラジル、アルゼンチンの他、アジアではタイ、マレーシア、フィリピン。中東・アフリカではアラブ首長国連邦、イラン、エジプト、ナイジェリア。ラテンアメリカでは、チリ、キューバ、ペルーなどの国々です。

国際通貨基金(IMF)の推計によると、先進国を代表するG7各国の名目GDPの合計は、ピークだった1986年には世界の68%を占めていたのに、2022年は43%まで低下しました。これに対して、グローバルサウスの国々の合計は44%。2050年にかけて名目GDPの合計が米国や中国を上回る規模にまで急拡大すると見込まれ、人口では2050年にはグローバルサウスで全世界の3分の2を占める予測です。

ロシア、中国とうまく駆け引き

グローバルサウスが注目を浴びるようになったきっかけが、2つあります。

まず、2022年4月7日に国連総会で行われた採決です。ウクライナへ侵攻したロシアを国連人権理事会から排除しようという決議が、アメリカによって提案されました。結局、賛成93、反対24、棄権58で採択されましたが、注目すべきは棄権した面々です。

棄権した中にブラジル、エジプト、メキシコ、タイ、インドネシアなどが含まれています。いずれも、ロシアから石油や天然ガスや武器を買っている国々です。自国第一主義の立場をとって、ロシアとの関係悪化を恐れました。

2つ目は、2023年1月にインドのモディ首相が呼びかけて開かれた「ブローバルサウスの声サミット」というオンラインの会合です。インド以外のG20のメンバー国は不参加だったものの、参加国は125に達しました。世界の国のおよそ3分の2です。内訳は、中南米が29、アフリカ47、欧州7、アジア31、オセアニア11か国。

各国のバラバラな動きが大きなうねりを生む世界になりつつあるという認識を持たなければなりません。豊かになれるならば民主主義国と連携する必要はなく、権威主義に与しても構わないと考える国々は、それぞれ自分の陣営へ引き込もうとする欧米、ロシア、中国とうまく駆け引きをしながら、自国の利益を更に大きくしようと図っています。

GDP神話が崩壊した

ロシアとウクライナの戦争で明らかになったのは、国力はGDPでは測れないということです。

GDPでいえば、ロシアはアメリカの1割にも達しません。アメリカのGDPの16.6%は医療ですので、ロシアのGDPはアメリカの医療費のほぼ半分という計算になります。それなのに2年も西側連合に抗することが出来るのは、天然資源を豊富に持ち、食糧生産を自国内でも賄えるロシアのような国の国力は、GDPだけでは測れないからです。鉄、石油、小麦といった実態と結びついたフローとストックの合計が本当の国力だというのは、この戦争がなければ分からなかったことです。

GDPの話をついでにすれば、日本は長年にわたって給料が上がらず景気が厳しいですが、GDPの落ち込み程には生活が悪くなっていません。それは、GDPに計上されないお金が動いているからでもあります。たとえば、中古品の売買は、資産が移動しただけであって「産出」ではありません。

また、インフレなどで物価が上がると、経済力とは関係なく、GDPは高くなります。分かりやすい例では、血糖値を抑制するために打つ「インスリンペン」は、日本ではひと月の自己負担額は4,000円程度なので、原価は13,000円くらいでしょう。これが、アメリカでは5,000ドル、日本円に換算すれば約75万円です。医療費が高すぎて、富裕層しかまともな医療を受けられない状態になるほど、GDPが高くなるという不思議な現象が起きるのです。

訴訟の賠償額もGDPに算入されます。2024年1月、トランプ前大統領がコラムニストから起こされていた名誉棄損の裁判で、ニューヨークの連邦地裁の陪審が8,330マンドル(およそ123億円)の評決を下しました。この金額が実際に支払われた暁には、アメリカのGDPに計上されるわけです。弁護士の報酬など裁判費用もGDPに入ります。アメリカは訴訟大国でもあるので、裁判が増えるほどGDPは上昇します。


参考文献:池上 彰 (著), 佐藤 優 (著)『グローバルサウスの逆襲』(発売日:2024年4月19日)

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