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中国の不動産で何が起きているのか『中国不動産バブル』

2010年頃、中国現地の経済学者は、「中国の不動産ブームは絶対に必要な需要によって支えられており、不動産ブームは長期にわたって続く」と主張していました。彼ら自身も不動産神話を信じ、マイホーム以外に投資目的で2戸目、3戸目のマンションを購入していました。当時の住宅ローン金利は6%以上でしたので、冷静に考えて、これだけの金利をカバーするマンションの値上がりが見込めなければ、マンション投資は出来ません。中国の経済学者たちが市況についてどれだけ楽観的になっていたのか、一片を窺うことが出来ます。

当時、大都市の不動産価格は、中国の勤労者家族の年収の20倍ほどに達していました。不動産ブームは明らかに不動産バブルへと変化しており、このまま持続できるとは思えませんでした。崩壊しないバブルはこの世に存在しないからです。

日本のバブル崩壊よりも深刻な影響

中国は30余年前の日本と同じように不動産バブルが崩壊し、デフレに突入している段階です。

事業を多角化させていたディベロッパーはもちろんのこと、本業に絞って不動産開発に専念していた「健全」なディベロッパーも、経営難に直面するようになりました。

ただし、中国不動産バブル崩壊の仕方は30余年前の日本が経験したバブル崩壊とは異なるものになります。日本のバブル崩壊は金融システムに飛び火し、都市銀行を含む大手金融機関までが倒産しましたが、それ以上はバブル崩壊の影響が広がりませんでした。特に、日本は30年を失ったと言われていますが、技術は失わなかったことです。これに対して中国のバブル崩壊は、国有銀行に飛び火するだけでなく、地方財政にも飛び火し、深刻な社会不安を引き起こす恐れがあります。それはサプライチェーンの再編と重なり、外国企業が工場を他の途上国に一斉に移転すれば、中国は技術も失う可能性があります。

一部の老人が年金難民に

中国の不動産バブル崩壊は銀行に飛び火するだけでなく、地方政府及び年金生活者にも深刻な悪影響を及ぼす恐れがあります。

日本のバブル崩壊は銀行に飛び火しましたが、預金保険制度を使って預金者を保護し、財源が足りない部分について政府が保証したため、傷はそれ以上拡大しませんでした。それに対して、中国の不動産バブルが崩壊して、最も焦るのは地方政府のはずです。これまで土地使用権を払い下げることで、多額の財源を手にしていたからです。財源の一部は地方政府が管轄する年金などの社会保障基金に注入されていますので、不動産バブルが崩壊すると、地方政府の財源が枯渇し、それによって一部の年金生活者は年金難民になる可能性があります。

政府による救済のプライオリティ

中国は民主主義国ではなく、選挙も実施されていません。従って、救済策の透明性はほとんど担保されておらず、弱者が優先的に救済されることは期待できません。

中国で優先的に救済されるのは政府に最も近い企業や団体でしょう。その次に、救済しなければ政府にとって大きなトラブルになると考えられる企業や個人が優先的に救済されます。今や、不動産バブル崩壊によって途方に暮れている個人は無数にいます。多くの地方で「マイホーム難民」が発生し、地方政府に救済を求めていますが、その地方政府は全く対応していません。

中国の状況は複雑で、どのように対処すればいいかを躊躇しています。たとえば、政府がディベロッパーの経営に不正があると察知していても、単純に法に基づいて対処できないケースが少なくありません。大手ディベロッパーの関係者は、共産党中枢と目に見えない複雑な人脈を持っていることが多く、ディベロッパーを処罰すると、返り血を浴びることがあるのです。債務超過に陥ったディベロッパーを処分する際、資産査定よりも重要なのは、その複雑な人脈を調べることです。

GDPの3割が崩壊し、中国経済は大失速

あらためて、不動産バブルの原因とプロセスはどのようだったでしょうか。

富裕層は投資目的で不動産を購入し、不動産バブルに拍車をかけました。しかし周主席の呼びかけと3年間のコロナ禍によって、不動産の需給バランスは大きく崩れてしまいました。

バブルが終息する条件は、供給が需要に見合うレベルにまで下がって需給がリバランスすることです。中国不動産市場の需給関係を見ると、今のところ、サプライサイドの調整より需要の萎縮が速いため、リバランスするのに予想以上に時間がかかると推測されます。

不動産バブル崩壊がマクロ経済に与える影響としては、中国の経済成長率を一段押し下げることが挙げられます。中国の不動産業は、建設業のほか、広くとらえれば建材や家具などを含めて、GDPの3割を占めると言われています。要するに、不動産バブルの崩壊は、経済成長を牽引するエンジンが弱まることを意味します。

また、不動産バブルの崩壊は間違いなく、市中銀行に飛び火します。ディベロッパーは既に債務返済を延滞しており、マンションを購入した個人の一部も、住宅ローンの返済を延滞しています。結果的に市中銀行のバランスシートに巨額の不良債権が現れると考えられます。

地方政府も影響を免れることは出来ません。中国の地方政府は地方債などを記載して、巨額の債務を抱えています。特に地方政府は、銀行からの融資を受けやすいように「融資平台」と呼ばれる投資会社をたくさん設立しています。そしてこれらの投資会社は、政府保証等を手に、国有銀行から巨額の融資を受けています。この融資を最終的に返済する義務があるのは地方政府です。土地財政が崩壊すれば、あっという間に危機に陥ります。

このように全体を俯瞰すると、中国政府は不動産バブル崩壊に迅速に対処しなければならないことが分かります。問題は、どのように対処するかです。このままの状態を放置すれば、不動産バブルの崩壊は、不動産業に限らず、金融、行政、さらに共産党の統治体制を脅かす心配があります。


参考文献:柯 隆著『中国不動産バブル』(発売日:2024年4月19日)

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