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「結婚」が人生に与えるもの『パラサイト難婚社会 』

結婚や未婚、離婚などの個人的な問題は、本来他人がとやかく言うべきことではありません。しかし、状況さえ違えば「結婚したかった」「子供を産みたかった」人が多く存在する以上、その前提条件である社会環境や制度の不備を見直し、改善するのは政治の役割です。

独身者の増大は、社会全体での問題になります。「人生百年時代」には、老老介護や中年の引きこもり、親亡き後の年金不正受給や独居老人、孤独死などの社会問題が今よりも増えていくでしょう。心身ともに健康な時代を過ぎた多数の「おひとり様」が人生の最期をどのように迎えていくのか、私たちはその現実をまだ目の当たりにはしていません。

今後は自治体による見回りや、1人暮らし高齢者をケアするための社会負担も増大していくはずです。医療費、介護費、その他もろもろ高齢者の人生を看取るための莫大な費用は次世代の負担となり、そのようなプランはもはや持続可能ではありません。未婚・少子化・結婚問題に関心がない人々も、「自分には一切関係ない」と無視することは出来ないのです。

1人で人生を過ごすこと

「婚活」という言葉が定着したのも、結婚したくても出来ない人が増大してきたからですが、そこには「結婚して幸せをつかみたい」という意識が見られます。しかし同時に、「結婚しないと様々なリスクがあるのではないか」「独身だと不幸になるのではないか」という不安も根底には見受けられるのです。

社会学者のホメリヒ・カローラさんの「人生の幸福度」の分析によると、現役世代では、「既婚者は未婚者よりも満足度は高い」という結果が出ています。「既婚女性」の満足度は高く、最も満足度が低いのは「中年未婚男性」です。

「独身」の中には生涯未婚者もいれば、一度結婚したのち離婚や死別を経験した人も含まれますが、いずれにせよ「一人で人生を過ごすこと」は、二人以上で暮らす状態より不満を感じやすく孤独に陥りやすいということです。

未婚社会は「中流脱落恐怖」の化身

人生のステップアップを望めない非正規雇用者がこれだけ多い日本で、しかし現在一応の安定を享受している中流層も、不安から逃れることは出来ません。不安とは、「中流層からの脱落」です。

かつて「一億総中流社会」と言われた日本で、今も「自分は中流」と見做す国民は多いのですが、実態は既に「下流」であるケースは少なくありません。2023年に厚生労働省が発表した「国民生活基礎調査」では、21年の日本の相対的貧困率は15.4%で、先進国中最悪の値でした。「相対的貧困」とは、等価可処分所得(世帯可処分所得を家族人数で割った数字)が中央値の半分未満で暮らす人々の事です。日本の場合は1人あたり127万円がそれにあたります。

自己責任論が跋扈する日本では、病気や怪我、うつ病やいじめなど、人生の蹉跌のきっかけは本人の力が及ばない部分にも潜んでいます。就労においては、起業や転職、自分探しなどの「空白の期間」も高リスクです。多様化の時代とはいえ、日本はまだまだ「新卒一括採用社会」であり、王道の「高学歴・高収入企業への就職」「公務員としての安定」「医師や看護師など手に職」をつけた方が、人生の保険となる・・・。

結婚相手に学歴と職歴と高身長と顔面偏差値を求める若者の心理にも、「わがまま」「夢見がち」「ないものねだり」以上に、きわめて怜悧な「現実主義者」が隠れています。今はかろうじて「中流」の体を装い生活していても、いつ「下流」に落ちるか分からない恐れ。だからこそ結婚相手には、人生の保険を掛けられる十分な資質がなくてはならないとなるのです。

配偶者と他人との最大の違い

おそらく、「その他大勢」の存在と「配偶者」の最大の違いは、そこに双方に「継続的契約」が存在するかどうかです。

どれほど熱愛関係であろうと、どれほど相手にのめり込もうとも、そこに「今後、継続的に人生を共にする」という「契約」が存在しなければ、それは「結婚」と言えるのでしょうか。少なくとも現代の先進諸国では、「婚姻届け」という「契約」を役所に届けることで「結婚」は成立します。

その「契約」に至る前提、つまり「特別性」を西欧社会は「愛情」で測ります。「他の誰よりも愛している」から「結婚」する。逆にその「特別性」が薄れたら、「契約は解消可能」です。

結婚とは「コミット」する覚悟

現代社会において、代替不可能なものは決して多くはありません。家事ならば家事代行サービスがありますし、料理だって総菜宅配サービスがあります。妻や夫が肉体的に満たしてくれないなら、性風俗は日本に溢れかえり、精神的な癒しは子供や友人、ペット、アイドルやホスト、ホステス、レンタルフレンドなどいくらでもあります。病気になっても医療介護が充実しており、身体的ケアも福祉サービスに依頼できます。世の中の困りごとも弁護士など各種専門家がいて、お金を払えば何でも可能な社会です。

だからこそ、「夫もしくは妻でないと満たせないものは何か」という問いが生まれます。それに対する答えが「コミットメント」ということになります。

「一緒にいて楽しい」「一緒にいるとホッとする」「相手に幸せになってもらいたい」「その喜ぶ姿を見たい」「相手が悲しめば、自分も悲しい」「人生の危機はともに乗り越えたい」、よりシンプルに「老後二人でのんびりお茶を飲んで、一緒に過ごしたい」と思えるかどうか。それは願いでもあり、意志でもあり、覚悟なのかもしれません。相手の人生と自分の人生を重ね合わせて継続的時間を歩む「コミットメント」の覚悟こそが、「結婚」なのかもしれません。

「コミットメント」vs「共依存」

「コミットメント」は、自立した者同士の関係であることが前提となります。「依存」とはそこが、根本的に大きく異なる点です。「コミットメント」とは、相手の存在そのものを目的として求めあうこと。「依存」とは、相手を自分の人生を守るための機能または手段として必要とすることです。

どのような親子でも、夫婦でも、相手のありのままの姿を見ようともせず、利用ばかりを考える相手と長く暮らしていくことは出来ません。「お金をどれだけ稼いでくるか」「どれだけ小遣いをくれるか」「どれだけ家事育児に参加してくれるか」、こうしたことは全て相手の機能面しか見ていません。

相手の自立性を認める「コミットメント」の意識があるかないかで、結婚生活の風景はがらりと変わってくるはずです。相手の人生に「コミット」する覚悟があるかどうか。それは、自分自身の生き方そのものなのかもしれません。

「結婚はね、誰としても同じです。相手が誰かではなく、結局自分次第」

(by 樹木希林)

参考文献:山田 昌弘著『パラサイト難婚社会 』(発売日:2024年2月13日)

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