誰でもいつかは関わってくるのが相続です。どのように相続税を節税すれば良いか、遺産の分配をどうすれば良いか等。しかし、相続税や遺産の分配の事ばかり考えていると、肝心の「相続」の本質を疎かにしてしまう恐れがあります。
相続が終わった方々に対して「相続で一番つらかったことは何か」と聞くと、「親族がモメたこと」を挙げます。実は、遺産の分配自体ではなく、親族がもめたことに対して後悔を覚える人が多いのです。
2つの「相続格差」
相続には格差がつきものです。そして格差には2種類があります。
1.現金や不動産など、財産の分け方の不平等による格差
相続には、家業を継承する継承者の1人に大半の遺産が相続される「本家相続」と、相続人が均等に相続するという「均等相続」があります。両親ともに亡くなったのちに、兄弟で財産を分ける「二次相続」でみると、税理士法人レガシィにおける2018年~2021年の事例では、本家相続の割合が平均で60%と、半数以上を占めています。その意味で、兄弟間で「相続格差」はどうしても生じてしまいます。
2.相続によって幸せになったか、もめて不満が残ったかによる格差
円満に相続が住んだことで平穏な生活が送れる家族と、モメにモメた末に相続が終わっても不満が残って幸せを感じられない家族との格差があります。
面白いのは、「1」で格差があったからと言って、「2」の格差が生じるとは限らないということです。財産の分け方が不平等であったとしても、皆にありがたい気持ちが残る相続もあります。逆に財産が平等に分けられたのにもめて嫌な気持ちが残る相続もあります。
相続の公平性や節税ばかり考えていても、それだけでは解決しない事柄が数多くあります。本当は、財産ではなく、目に見えないものが大切なのです。
相続の現場で
実際の相続においては、モメる相続ともめない相続は、凡そ次のような比率になっています。
① 大モメの相続・・・2割
② 一応おさまっている相続・・・6割
③ 円満相続・・・2割
①は言わずもがなですが、②の場合も相続後は心の中でモヤモヤを抱えている可能性大です。モメる原因は、お金よりもむしろ相続人間の気持ちの行き違いや嫉妬等、心の問題の方が大きいのです。また遺産の総額とモメ具合はあまり関係ありません。
相続でもめて裁判までいったケースでは、1,000万円~5,000万円以下が42.9%と最も高くなっています。(2020年「司法統計年報」)つまり、何億円、何十億円という資産家の相続よりも、5,000万円以下の相続でモメることが多い事実があるということです。
理由は様々考えられますが、大きな要素としては、資産家の方が相続に対する心の準備が出来ているということがあると思います。そうした家庭では、代々大きな財産を相続している方が多いので、普段から税理や弁護士に相談していることも多く、いわば相続慣れしています。
忘れてはならないのは、相続税がかからない人でも、相続の手続きから逃れることは出来ないということです。親が亡くなれば、誰でもその財産を相続することになるからです。
幸せな相続に大切なこと
モメる相続とモメない相続の違いは、相続する人の考え方が一番重要なのではないかと思います。
「親が私たちに財産を残してくれてありがたい」「お金も大切だけれど、親族が仲良くすることはもっと大切」等と物事をプラスに考える「プラス思考」の人ばかりであれば、相続はモメません。逆に「どうも私は損している気がする」「妹は親の面倒も見なかったんだからもっと相続額が少なくていいのではないか」等と物事をマイナスに捉える「マイナス思考」の人が多いと、相続はモメる傾向にあります。
相続には4つのパターンがあります。右上は財産もありプラス思考の理想的な家族です。実際には一定数存在していますが、メディアではなかなか紹介されません。右下は財産は多いのですがマイナス思考の家族です。この場合、相続に際して骨肉の争いになる恐れがあります。実際には、例外的な存在です。左上は、財産はそれほどないけれどプラス思考の家族です。左下は財産がそれほどないのにモメる家族です。遺産分割協議がまとまらずに家庭裁判所に持ち込まれるのは、このパターンが多いです。
モメない相続のためには、考え方をプラスにすることが大切です。
プラス思考のコツは、「ツキカエタの法則」です。
「ツ」・・・ツイている人は、ツイている人と付き合うとさらにツキがつくということ。プラスな人と付き合うとプラス思考になり、マイナスな人と付き合うと、マイナス思考になります。
ツイている人というのは、次のような人のことです。
「キ」・・・聞き上手
「カ」・・・感謝上手
「エ」・・・笑顔上手
「タ」・・・他人に親切上手
そして他人と自分を比較せず、変えるべきものを変え、変えられないものを受け入れる度量を持つことです。
「比較していいのは過去の自分と現在の自分、あるいは現在の自分と理想の自分の姿だけだ」
(アルフレッド・アドラー)
「神よ、変えることのできないものを静穏に受け入れる力を与えてください。変えるべきものを変える勇気を、そして、変えられないものと変えるべきものを区別する賢さを与えてください。」
(二ーバーの祈り)
参考文献:天野 隆著『相続格差 「お金」と「思い」のモメない引き継ぎ方』(発売日:2022年10月4日)
本日のオマケ
私の取引
以下のファンドを毎営業日自動買付しています。
1.日本株式インデックスファンド 7,000円(自動買付) (ニッセイ-<購入・換金手数料なし>ニッセイ日経平均インデックスファンド) 2.世界株式インデックスファンド 7,000円(自動買付) (SBI-SBI・全世界株式インデックス・ファンド) 3.コモディティインデックスファンド 7,000円 (自動買付) (三菱UFJ国際-eMAXISプラス コモディティインデックス)
また以下のファンドを、月1回三井住友VISAカードで積立しています。
1.世界株式インデックスファンド 50,000円(自動買付) (eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー))
これらとは別に、日経平均225(ダイワ上場投信-日経225(大和日経平均)【1320】株の基本情報|株探(かぶたん) (kabutan.jp))も、少しずつ購入しています。
今週は、27,400円から100円下がるごとに1口ずつ買うように指値注文を入れていました。
結果、今週は合計5口追加購入ができました。現在評価額は1,643,645円(61口)、含み損は30,500円(△1.82%)です。平均取得価格は少し下がり、27,445円/口になりました。
円高株安傾向が続いていますが、引き続き、株価が下がる場合はどんどん追加購入していきます。
私の投資方針
1.投資対象は、主に株式インデックスファンド、又は個別株式とする。 2.世界株式インデックスファンドは、老後まで基本的に売却しない 3.レバレッジ、信用取引等はしない 4.財政状態、経営成績が良く、PER及びPBRが低めの割安株式を買う 5.平時は、預貯金の残高が減らないペースで積み立てる 6.暴落等により含み損が発生した場合、含み損状態を脱するまで、平時より積立額を増額する
投資方針の根拠
1.ジェレミー・シーゲル著『株式投資 第4版』 ・長期の実質トータルリターンは、他の資産に比べ株式が圧勝する 2.山崎元、水瀬ケンイチ著『全面改訂 第3版 ほったらかし投資術』 ・世界株式インデックスファンド、特に(eMAXIS Slim全世界株式(オール・カントリー)がお勧め 3.厚切りジェイソン著『ジェイソン流お金の増やし方』 ・基本的に売らない 4.ジョン・C・ボーグル著『インデックス投資は勝者のゲーム』 ・インデックスファンドは98%の確率で、アクティブファンドに勝てる 5.チャーリー・マンガー著『マンガーの投資術』 ・素晴らしい会社を適正な価格で買う