「人を見る目」を身に付けることの最大のメリットは、自分自身が幸せになることに他なりません。
なぜなら、人を見る目を高め、人を見抜く力を育てる過程で、自分自身を見抜く力も、見立てる力も自然と上達していくからです。自分自身を深く理解し、どう活かすべきかを判断ことが出来るようになるからです。
「人を知る者は智なり、自らを知る者は明なり」(人を知る「智」も大事だが、自らを知る「明」はもっと価値がある)
(老子)
自分のことを理解すると、自分に対しての期待値と他人が自分に持つ期待値を、ちょうど良いところに設定することが出来ます。その上で努力して、ちょっとでも期待値を超えていけば、自分も周りもご機嫌になり、ご機嫌になると楽になり、楽になると力が抜けて、余計なことをしなくなります。その結果、人生がより純粋でシンプルになります。人を見る目、人を選ぶ技術を磨くことは、自分の人生を軽やかにしていくことに他ならないのです。
「人を見る目」は誰に対して使えるか
人を見る目は誰に対して使えるものなのでしょうか。その適用範囲は広く、その重要度は、人生やビジネス上のステージによって変わってきます。
下図の縦軸は、<関係する人が自分に与える影響の大きさ>、つまり、自分の人生へのインパクトの大小を表します。横軸は、<関係を持つうえで自分が持つ選択度の大小>、つまり、自分が選択できる裁量を大小で表しています。
プライベートの人間関係でいうと、自分の行動や選択に最も大きな影響を与えるのは、配偶者、親、兄弟といった「家族」で、ちょっとした「知り合い」は大した影響を持ちえません。ところが横軸の「自分で選べるか、選べないか」でいうと、親や兄弟は選べず、知り合いも、選ぶ選ばない以前に勝手にそうなってしまうものです。
人を見る目の重要度でいうと、最上位は「恋人(配偶者候補)」です。配偶者になってしまったら、その関係性を断ち切るのは大変です。だからそうなる前の恋人の時点でしっかり相手を見極める必要があります。
この図表で特徴的なのは、「影響度と選択度の大小が正比例していること」です。なんとなく知り合った中から気の合う友達を選び、そのうち数人が親友、あるいは彼・彼女といった恋愛対象になりつつ、そのうちの選ばれたものだけが配偶者候補としての恋人になります。つまり、家族を除いて、人は段階を一歩一歩登るがごとく、相手を見極めながら人間関係を形成しています。
「選択しやすい」というのは、「選択が簡単」という意味ではありません。むしろ難しいから一生独身という人が増えています。もし貴方が幸せな結婚を望むのであれば、人を見る目を鍛えなければならないと言えるでしょう。
ビジネスの人間関係でいうと、「若手ビジネスパーソン」の頃は、「関係を持つうえで自分が持つ選択度」はほとんどありません。上司は選べず、同僚は横並びで、お客様も当初は上司や先輩からあてがわれるパターンが多い。そのうち「中間管理職」になると、「新たな部下の採用」の際に、最も人を見る目が必要とされるようになります。そして最も人を見る目が求められるのが、「経営者」です。
経営者は、投資家、取引先、社外パートナー、経営幹部、社員、ありとあらゆる関係者を選ばなければなりません。選ぶのは簡単ではないし、セレクトミスした時の影響も甚大です。人を見る目は一朝一夕では養われないので、早くから意識して「人を見る目の鍛錬」に取り組む必要があります。
人の4タイプと対処法
人を見る目があぶり出すものは、大きく2つあります。
1つは、ビジネスや人生のパートナー選びにおいて相手の能力について推し測る「人としての優劣」を見極めるもの。平たく言うと、「出来る、出来ない」と表現されるようなものです。もう1つは、相手が人にもたらす影響を推し測る「人としての害の有無」を見極めるもの。平たく言うと、「いい奴、嫌な奴」と表現されるものです。
上図は、縦軸を人としての優劣とし、「優秀」か「平凡」かの2つに分け、横軸は「人としての害の有無」として、本人の自覚度合いに関わらず、周囲に対してその人は「無害」か「有害」かの2つに分けています。
①優秀で無害の人 人を見る目、人を選ぶ技術の習得の意義とはまさに、この象限に入るべき人材を見逃さず、仲間にすることです。人を見る目のなさが理由で、この人たちを見逃しては勿体ない。この人たちの見立て間違いによる見逃しは、致命傷となることもあります。 ②平凡で無害の人 ここに属している人は、無害ですので特に見極める必要はありません。エネルギーをかけず、期待しすぎず、ご機嫌にやっていればオッケー、積極的に登用する必要もなく、意識して避ける必要もあまりありません。感謝しつつ、心地よい距離間で付き合っていくくらいがちょうどいい。 ③平凡で有害の人 こういうタイプは有害ではあるものの、平凡ゆえにその有害さを隠す狡猾さがありません。そのため分かりやすく、避けやすい。具体的には、素行の悪いビジネスパーソンや、筋の悪い金融商品を売りつける二流どころの詐欺師等です。まっとうな道を歩んでいたら関わらない類の人達で、見つけたら近づかなければいいというだけの話です。 ④優秀で有害な人 最も厄介なのがこのタイプです。すごく優秀だけど、いつも会社に対して文句を言っている人や、周りの人たちに対して悪態ばかりつき、ネガティブなコメントをまき散らしている人達です。自己肯定感が低く、他人を貶めることで精神のバランスを保とうとした結果というケースもあれば、完璧主義でプライドが高く、共感性が低い結果というケースもあります。この人たちは優秀であるがゆえ、表面的には評判が良かったりするのでタチが悪い。まなじパフォーマンスが良いため、ポジションから外す、辞めさせるなどの抜本的な判断が遅れ、その間に毒が会社の中に回り、ひいては組織崩壊を引き起こす・・・ということになりかねません。
4つの分類の中で、最も注視すべきは①と④です。この2種類の人達を見極めるために、「人を見る目」が役に立つのです。そして「人を見る目」は、科学的に捉えることが出来るし、トレーニングにより鍛えることが出来ます。
参考文献:小野 壮彦 著『経営×人材の超プロが教える 人を選ぶ技術』(発売日:2022年11月21日)
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