お金を増やすルール
お金持ちになる方法は、原理的には3つしかありません。
① 収入を増やす ② 支出を減らす ③ 運用利回りを上げる
また資産形成で大事なのは、「③運用利回り」よりも、「①収入」から「②支出」を引いた貯蓄額です。なぜなら投資パフォーマンスを上げるよりも、貯蓄率を上げる方がはるかに簡単で確実だからです。そして収入と支出の差額が大きくなって十分な貯蓄が出来るようになると、次はどのように運用するかを考えます。
運用する場合、期待収益が同じなら、より安く、より手間がかからず、よりリスクが低い金融資本を選ぶと良いはずです。その場合、1970年に完成したファイナンス理論によると、投資すべき金融商品はたった1つ。株式インデックスファンドです。
参考文献:橘 玲著 『シンプルで合理的な人生設計』(発売日:2023年3月7日)
最強の資産運用は人的資本の活用
私たちは、金融資本を金融市場に、人的資本を労働市場に投資して、そこから利益を得ています。豊かになるためには、この2つの資本を効果的に活用しなければなりません。この時重要なのは、「資本」の大きさです。大きな資本は大きな利益を生み、小さな資本からは小さな利益しか生みません。
では、あなたはどのくらいの人的資本を持っているでしょうか。
日本では、大卒で従業員1,000人以上の大企業に勤めている場合、退職金や定年後の再雇用の収入を含めると、平均的な生涯収入は男性約3億5,000万円、女性約3億円程度になります。私たちは、日本に生まれたという幸運によって、発展途上国の人達から見れば巨額の人的資本を予め与えられています。これは、とてつもない特権です。
最近では、金融リテラシーを教えて資産形成を促すべきだと言われていますが、資産運用以上に重要なことがあります。それが、働く(=人的資本を活用する)ことです。
参考文献:橘 玲著 『シンプルで合理的な人生設計』(発売日:2023年3月7日)
“Die with zero”(ゼロで死ぬ)は正しいか
ビル・パーキンス著『DIE WITH ZERO』(発売日:2020年9月30日)が、少し前に話題になりました。彼の主張は以下の通りです。
① 若い時は(わずかな)貯蓄よりも体験を優先するべきだ ② 子供には遺産を分け与えるのではなく、必要としている時に生前贈与するのが良い ③ 老後のための十分な備えをしたうえで、それ以上の資産は自分や家族の楽しみに使うか、寄付などで使い切ってしまおう
パーキンス氏は平均余命に応じて資産を減らしていくべきだと言いますが、これに違和感を覚えるのは、「平均余命は自分の余命ではない」という理由からだけではありません。使わないお金は、実は無意味ではないからです。それは、急速に変わりつつある未来への安心感をもたらしてくれるのです。
テクノロジーの発展によって、未来は益々不確実になっています。将来何が起きるのか分からなければ、それに対して備えておかなくてはなりません。未来が不確実になればなるほど、理論的には、「無意味」なお金は益々大きな意味を持つようになるのです。こうした状況を考えると、「ゼロで死ぬ」よりも、「死んだ後にゼロにする」という方が、より合理的ではないでしょうか。
参考文献:橘 玲著 『シンプルで合理的な人生設計』(発売日:2023年3月7日)
ビットコイン、FX、株式投資について知っておくべきこと
1.ビットコインに投資すべきか
2008年10月に発表されたサトシ・ナカモトの論文で一部のマニアの注目を集めたビットコインは、2011年4月にアメリカの雑誌『Time』で特集されたことで価格が1カ月で20倍になる最初のバブルを迎えました。それ以降のビットコインの歴史は、バブルと崩壊の繰り返しです。
2013年に世界金融危機の余波でキプロスが破綻の瀬戸際に追い込まれると、国家が発行する通貨への信用が揺らぎ、2度目のバブルが起きました。その後停滞しますが、2017年にアメリカの先物取引所CMEがビットコインの先物取引を開始したことをきっかけに価格が急騰しました。
2018年以降、暗号資産への規制強化を受けてバブルは崩壊しましたが、2020年の新型コロナの感染拡大と大規模な財政支出を受けて価格は急激に上昇、1ビットコイン=6万ドルの最高値に達しました。しかしその後、アメリカの利上げで下落に転じ、米ドルと連動するはずだったステーブルコインのテラUSDが崩壊、大手交換所FTXが破綻したこともあり、ビットコイン価格も一時期、最高値から1/3以下の17,000ドルまで下落しました。
ブロックチェーンの可能性にいち早く気付いた数学の天才たちは、短期間に資産1兆円を超える大富豪になりました。しかし、少なくとも近年のビットコインはボラティリティの大きなゼロサムゲームになっています。これだけ値動きが激しいと、ギャンブル性が高まって、一獲千金を狙う多くの投資家を集めるだろうが、安定して利益を出すのは難しい。遅れて参入した素人の多くは、損失を抱えて撤退することになるはずです。
2.FXに投資するべきか
ビットコインと並んで「億り人への道」として人気があるのがFXです。FXで大儲けする投資家がいるのは、為替取引にレバレッジをかけて人為的にボラティリティを高めているからです。株式の信用取引のレバレッジは最大3.3倍ですが、FXは25倍です。
FXのもう一つの特徴は、円と外貨の間に金利差が生じると、それが「スワップ金利」として精算されることです。円と外貨の金利差が開くと、スワップ金利を銀行預金の利息だと勘違いした人たちが、高いレバレッジをかけて外貨を購入するようになります。
多くの投資家が為替取引に参入すれば、確率論的に幸運な人も出てきます。こうして「FXで億万長者になれる」とうい風説が広がっていきました。しかし、レバレッジの分だけ円高になった時の損失は大きくなります。レバレッジによってボラティリティを高めると、素人がFXで安定した利益を出すことは相当難しくなります。
3.なぜ株式投資を勧めるのか
株式市場には良い時も悪い時もあり、不況や暴落なども起きますが、それでも長期的に見れば、「もっと豊かになりたい」「もっと幸福になりたい」という人々の欲望を駆動力に、グローバル市場はずっと拡大してきました。市場全体の成長率が長期的にプラスであれば、株式投資のパフォーマンスはプラスになります。
「株式への長期投資はプラスサムのゲーム」というのがファイナンス理論の大前提です。だからこそ、投資の神様と言われるウォーレン・バフェットも、ラスベガスとウォール街を攻略した最強ハッカーであるエドワード・ソープも「個人投資家はインデックスファンドに投資するのが一番」と述べているのです。
参考文献:橘 玲著 『シンプルで合理的な人生設計』(発売日:2023年3月7日)
本日のオマケ
私の取引
以下のファンドを毎営業日自動買付しています。
1.日本株式インデックスファンド 5,000円(自動買付) (ニッセイ-<購入・換金手数料なし>ニッセイ日経平均インデックスファンド) 2.世界株式インデックスファンド 5,000円(自動買付) (SBI-SBI・全世界株式インデックス・ファンド)
また以下のファンドを、月1回三井住友VISAカードで積立しています。
1.世界株式インデックスファンド 50,000円(自動買付) (eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー))
私の投資方針
1.投資対象は、主に株式インデックスファンド、又は個別株式とする。 2.世界株式インデックスファンドは、老後まで基本的に売却しない 3.レバレッジ、信用取引等はしない 4.財政状態、経営成績が良く、PER及びPBRが低めの割安株式を買う 5.平時は、預貯金の残高が減らないペースで積み立てる 6.暴落等により含み損が発生した場合、含み損状態を脱するまで、平時より積立額を増額する
投資方針の根拠
1.ジェレミー・シーゲル著『株式投資 第4版』 ・長期の実質トータルリターンは、他の資産に比べ株式が圧勝する 2.山崎元、水瀬ケンイチ著『全面改訂 第3版 ほったらかし投資術』 ・世界株式インデックスファンド、特に(eMAXIS Slim全世界株式(オール・カントリー)がお勧め 3.厚切りジェイソン著『ジェイソン流お金の増やし方』 ・基本的に売らない 4.ジョン・C・ボーグル著『インデックス投資は勝者のゲーム』 ・インデックスファンドは98%の確率で、アクティブファンドに勝てる 5.チャーリー・マンガー著『マンガーの投資術』 ・素晴らしい会社を適正な価格で買う