お金がないから株が始められないという言い訳が通用しない時代
2018年10月1日から証券取引所の株式の売買単位が100株に統一されました。100株単位の取引では、株価が高い銘柄では数百万円になります。これでは購入したくてもなかなか手が出ません。東証は2001年に上場規制の努力義務として投資単位を50万円未満にするように企業に努力するよう、上場各社に働きかけをしています。
株式分割で話題を呼んだのはNTTです。2023年7月に1株を25分割し、かつての最低投資金額約40万円から1万円台に下げました。高かったオリエンタルランドや任天堂も株式分割し、100万円以下で買えるようになり、企業努力は進んでいます。
東証及び株式分割を行った各社の狙いは、1日も早く株主の「若返り」を実現させることです。そこで資金力の小さい若い人の為に登場してきたのが「ミニ株」です。この株式ミニ株投資は、証券取引所が定める100株ではなく、10株単位の取引の制度です。取引は個人と証券会社との間で行われます。
更に今話題になっているのは、各証券が独自で設定する「単元未満株」という名称で株を1株から買える制度です。取引するタイミングがリアルタイムではない場合が多く、頻繁にトレードする投資家向きではありませんが、これまで資金力が必要とされてきた株式投資の敷居を低くしたところに意義があります。「お金がないから株が始められない」というのは、もはや言い訳でしかありません。
少額資金でも目当ての下部が買える累積株式投資
好きな企業の株を、その時の株価とは関係なく自分が用意できる資金分だけ買う「株式累積投資制度」というものもあります。自身で投資する金額を決め、自分の口座から毎月自動引き落としにして積み立てていく、というやり方です。例えば、「毎月1万円分オリエンタルランド株を買い続ける」というような感じです。おおよそ最低投資金額は1万円からで、あとは1,000円単位で決めることが出来ます。
為替を意識せずに積み立てられるロボ貯蓄の魅力
PayPay証券の米個別株の積立投資「ロボ貯蓄」は、例えば毎月15日にコカ・コーラに2万円、毎月25日にエクソンモービルに2万円など、いつ、どの銘柄を、いくら分買うかなど、投資の設定は自分の都合でどのようにでも変えられます。自動的に口座から引き落とされるように設定できますので、一度設定してしまえば後は放ったらかしです。
ロボ貯蓄は全ての取引が円建てで完結します。実際にはドルに換えて米株を購入しているのですが、そういう判断をすることなく1,000円、1万円単位で買付設定する設計です。為替をあまり意識しないで済むロボ貯蓄は、日本人にとってハードルが非常に低く、とても手掛けやすいというメリットがあります。
かつてはパソコンに株式のチャートを始め、多様なソフトをダウンロードして、様々なデータを見ながら株取引を行っていましたが、今はそういう時代ではないということです。全部スマホで間に合ってしまう。パソコンでは取引しないのです。
配当銘柄への投資という考え方
株取引を始めたいが、どの会社の株を選べばいいか皆目見当がつかないという人は、長年配当を続けている企業を狙うのが良いと思います。そのような株がどんどん自分のポートフォリオの中で大きく占めるようになってくると、配当のうまみを味わえるようになってきます。
不動産投資は難しく、十分なリターンを得られないことは往々にしてあります。一度の投資にかかる金額も大きく、失敗すると立ち直るのに相当な時間を要することとなります。対して、配当を続けている企業の株を長年コツコツとためておけば、安定した配当収入を得ることが出来ます。
更には、新NISAで日本株の高配当銘柄、増配が続いている銘柄を買い増していくの1つの方法です。配当に対しては無税です。
日本人の投資への心持ちを劇的に変えられるのか
積立てと買い増しには「根気」が必要です。積立てをスタートして最初の2、3年は、なかなか資産が増えていく実感が得られません。積立てした分だけが地味に増えていくだけ。あるいは、相場の地合いが良くなければ積立てた金額よりマイナスになることもあるでしょう。
しかし、ある程度積み立てられた資金は、大きな上昇相場に遭遇することで指数関数的に増える瞬間がやってきます。年に1~2度訪れる上昇のタイミングで資産が増えていくものなのです。そして、株価水準を劇的に変えてしまう歴史的大相場が5~10年に1、2回はやってきます。
積立て開始からの数年間は積み立てられた資金総額も小さいため、上昇相場がやってきてもあまり大きく資産が増える実感がありませんが、5年、10年と継続することで積み上げられた資金は、次の上昇相場で飛躍的なパフォーマンスを見せるようになります。
新NISAでどれぐらい日本人が動くのか。それで今後の趨勢が決まると思っています。海外勢も、日本人の預貯金がどれぐらい動くのかを極めて注目しています。新NISAがブームになり、個人や企業の間をお金がどんどん回っていく、そんな日本になることを期待します。
参考文献:エミン・ユルマズ、大橋 ひろこ著『無敵の日本経済! 株とゴールドの「先読み」投資術 』(発売日:2024年2月21日)
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