トーマス・J・スタンリー、サラ・スタンリー・ファラー著『その後のとなりの億万長者 ──全米調査からわかった日本人にもできるミリオネアへの道』は、約20年前にベストセラーとなった『となりの億万長者 〔新版〕 ― 成功を生む7つの法則』の続編です。
本書は2012年から2018年の、比較的新しい、多くの億万長者の調査結果が掲載されています。余談ですが、前作はトーマス・J・スタンリー氏が単独で執筆されましたが、本書はトーマス・J・スタンリー氏が執筆途中でなくなったため、その娘さんのサラ・スタンリー・ファラーさんとの共著になっています。
7つの要素
下図は、クレディスイスのグローバル・ウェルス・レポートにある、100万米ドル超の富を有する成人の数をあらわしたものです。100万米ドルですので、1億円以上です。
なお、ここでいう「富」とは、純資産です。純資産とは、金融資産、不動産、動産等全ての資産を合計したものから、負債を控除した金額です。(金融資産のみではなく不動産等が含まれている点、負債を控除している点、ご注意ください)
これを見ると、先進国では意外と億万長者は多いということが分かると思います。米国は約2,195万人(全人口の約6.7%)、日本では約366万人(全人口の約2.9%)います。隣近所にいる普通の人が、実は億万長者なのだということです。
そんな億万長者の7つの要素は次の通りです。これは、前作『 となりの億万長者 〔新版〕 ― 成功を生む7つの法則 』の初版が発刊されたときから変わっていません。
1.収入より低い支出で生活する
当然のことなのですが、これが出来ない人は意外と多いです。
2.資産形成のため、時間、資金、エネルギーの配分をする
投資に関する計画を立てる等、時間をかけて戦略を立てるのが特徴です。
3.見栄よりも自立することが優先
他人からどう見られるかとか、高級車に乗って他人から羨ましがられたい等々が全然ないのが、となりの億万長者の特徴です。それよりも、自分自身が心から満足していて、経済的に自立していることを大事にします。
4.両親から遺産や相続を受けない
自らの力で億万長者になった人が大半という特徴があります。
5.子供は経済的に自立
自分たちの親が堅実なので、そういう姿を見て育った子供たちも経済的にしっかりしてくるということです。
6.市場のチャンスを捉える
働き方、どんな職業を選ぶかが上手であるということです。
7.自分にあった職業
自分自身の能力、好きなこと、適性にちょうど合った仕事を選んでいるということです。
SNSをほとんど見ない
下図は、特定の活動に充てる週あたり時間を、億万長者と平均的米国人を比較したものです。
比較的大きな差がある項目については太字にしていますが、読書、運動、家族の世話は億万長者が多く、逆にSNSの利用は、億万長者は顕著に少ないということが分かっています。
スマホが一人一台というのが当たり前になり、SNSの普及で簡単に人と人とがつながれるようになりました。このSNSの普及により大きく変わったのが、マーケティングです。
現代のマーケティングは、SNSを活用し、閲覧履歴や属性というデータを利用して、ピンポイントで個人にアプローチするように進化しています。
「米国では本当に優秀な人物は国務省では働かない。医学研究所でも働かない。本当に優秀な人はマーケティング分野の仕事をしている」
(ビル・ダーデン博士)
超優秀な方々が、人々の注意力を奪って、人にものを買わせるという「マーケティング」の仕事をしているということです。本書では、SNSは「注意力という貴重な資源を奪い続けるもの」と言っています。こういったSNSを無視することが、質素の始まりであり、上述した「見栄よりも自立することが優先」という要素を実現することにつながります。
億万長者が語る成功要因は、「規律を守ること」であると答えます。「規律を守ること」とは、蓄財をすること、及びその管理をすることです。億万長者の中にも色々職業・所得水準の方がいらっしゃるのですが、そのうちの約70%が、自身を「倹約家である」と評価しています。彼らは、SNSで流行っている流行を追いかけることなく、広告等に惑わされることもなく、世間体も気にせず、見栄を張ることにも興味がない、自分軸をもって幸せに生きている人たちです。彼らは、本当に人生を豊かにするのは、お金のかからないことだと考えています。
億万長者の仕事
職業選択に関して重要な要素は、「自分たちの能力と適性をフルに活かすことが出来る」職業を選ぶことだと、81%の億万長者が答えたそうです。
経済的成長の要因は、「自分のキャリアや選んだ職業を愛すること」であると、70%の億万長者が答えたそうです。つまり、ドンピシャな仕事をすると、経済的に成功するということです。調査した億万長者は、19%が引退済みの方、81%が現役の方(うち42%が自営業者、38%がその他)です。また、引退済みの19%の方のうちの2/3が、現役時代は自営業者でした。つまり、億万長者は自営業者の方がとても多いということです。
ドンピシャな仕事をしていないと、「生活のために働く」という罠から抜け出すことが出来ません。その罠から抜け出すには、以下の3ステップを踏むと良いです。
- 転職や転換を可能とするライフスタイルを確立する(つまり、貯蓄や不労所得等で生活できる基盤をつくる)
- 伝統的な仕事(今の本業)をしながら新たなチャンスを開拓する(副業する)
- 転身(自営業等)
億万長者の投資
ある一定の水準を超えたら、他のもっとリスクをとる投資をする場合もありますが、億万長者は基本的にはS&P500のインデックスファンドへの投資をしています。
「私がいつも推奨するのは、コストの低いS&P500のインデックスファンドだ」
(ウォーレン・バフェット)
また億万長者の投資に対する意見は、①投資は大抵の人より詳しい (70.4%)、②プロのアドバイスより自分の研究の方が役に立つ(54.8%)、③投資アドバイザーを頼りにしている(33.2%)でした。つまり自分で勉強をして、投資判断をするスタンスということです。
『その後のとなりの億万長者 ──全米調査からわかった日本人にもできるミリオネアへの道』
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