『父が娘に伝える自由に生きるための30の投資の教え』は、ファイナンシャルブロガーであるジェイエル・コリンズ氏の著書です。投資についての重要な考え方が、とてもシンプルにわかりやすく書かれています。
お金の基本的な原則
お金は、次の基本的な3つの原則を守ると増えていきます。これを続けていくと、お金よりも貴重な「自由」が手に入ります。
- 支出は稼ぎより少なくする
- 余った分は投資に回す
- 借金をしない
自分の稼ぎを超えない範囲で支出をすることが最も大切です。借金をすることで、経済的な自由が奪われてしまうからです。借金をすると、現在の収入源に依存することになり、会社で転勤を断ったりする自由もなく、会社に縛られ続けることになります。
多くの人が、ローンで家や車を買うことを当たり前のように行っていますが、これらのローンは簡単に借りられるので、必要以上に高い家や車を買ってしまうことになります。家や車の販売側もそれを分かっており、高いものを買わせようとするため、借金できるぎりぎりの高額なものを買ってしまう羽目になります。
借金をしないことが重要ですが、もし既に借金があるのであれば、それを返済することを第一に考えるべきです。その上で、余った資金で投資を行っていきましょう。
急激に変動する相場での投資
相場についての基本的な前提は、次の3つです。
- 誰も、最適なタイミングを予測することは出来ない
- 市場は長期的には上昇を続けるが、動きは粗く、途中の道は平たんではない
- 市場は、資産を増やす最も強力な場である
市場では、小さな下落は度々起こりますし、暴落も珍しくはありません。また上げ相場の時には、「もうすぐ暴落する」という意見と、「こんな安い価格で買えるチャンスは二度とない」という真逆の意見が交錯します。このような意見は、人々を興奮させるのでとても盛り上がります。
しかし、まともな投資家にとっては雑音以外の何ものでもありません。誰も、明日や1か月後の株価がどうなっているかを言い当てることは出来ません。しかし長期的にどうなるかは、過去の実績を見ればわかります。下図の通り、長期では右肩上がりで上がり続けていることが分かります。
<参考:NYダウ131年間の推移>
1か月後は分からなくても、20年後は今よりも高くなっていることは、かなりの確信をもって言うことが出来るのです。
ポートフォリオの考え方
どの資産をどのくらい保有するのかというポートフォリオについて、次の2種類を考えてみましょう。
1.株式100%
「全ての卵を一つのかごに入れてはいけない」という言葉がありますが、コリンズ氏のアドバイスは、「全ての卵を一つのかごに入れて、出来る時にはさらに追加して、そのことを忘れる」というものです。
投資している資産を見張ってあれこれ動かすほど、うまくいかなくなります。だから「忘れろ」ということですね。
入れるべきは、アメリカの公開企業3700社を詰め合わせたインデックスファンドである、VTSAXです。株式以外の、債券、金、不動産など幅広く検討しても、長期間で見ると株式に勝るものはありません。だから株式100%なのです。
株式を持つということは、事業の一部を所有するということです。投資対象の企業には、事業を発展させようと、日夜努力している人々がおり、厳しい環境の中で競い合っています。
VTSAX はインデックスファンドなので、どの企業が勝利するのかを気にする必要はありません。ファンドの中で自然淘汰され、失敗した企業が去り、成功した企業が残っていきます。貴方がするべきことは、ただこのインデックスファンドを持ち続け、買い増しし続けることだけです。
なお、 VTSAX は 現在日本では購入することは出来ません。 VTIや、SBI-SBI・V・全米株式インデックス・ファンド、楽天・全米株式インデックス・ファンドに投資をすれば、 VTSAX と同じ効果が期待できます。
2.資産を維持するポートフォリオ
大きな変動を避け、心が落ち着く投資をしたい方には、株式75%、VBTLXという債券が20%、現金が5%というポートフォリオがお勧めです。
仕事を辞めて、投資で得た利益で生活するようになると、資産を維持するステージになります。債券は、ある程度の収益を生み、株式の荒い動きを緩和してくれます。
利回りが下がって資産の増加スピードが下がってでも、大きな値動きを避けたいという方は、債券の比率を増やしましょう。
投資アドバイザーはいらない
投資は一見複雑そうに見えるので、多くの人は自分で考えずに、大きな成果を出してくれそうな投資アドバイザーに任せたいと考えます。
しかし、投資が複雑に見えるのは、金融業界が苦労して複雑に見えるようにしているからで、ほとんどの投資アドバイザーは良い結果を出してくれません。投資アドバイザーと顧客の利益は、相反する構造になっているからです。
投資アドバイザーにとっては、複雑で多額の手数料が乗っている投資信託を勧めた方が、低コストな商品を売るよりもずっと儲かります。そして、投資の売買をする度に投資アドバイザーは手数料を受け取れるため、本来は必要のない売買をさせられることになりがちです。この罠から抜け出すためには、投資アドバイザーに頼ることなく、自分自身で投資の勉強をする必要があります。
投資では、シンプルなものほどコストが低く、より大きな利益を上げてくれます。一方、投資でも保険でも複雑なものは、それを売る人々や会社に利益をもたらします。
覚えておくべきは、貴方の資産について、貴方以上に気にかけてくれる人はいないということです。自分自身で資金管理が出来るようになれば、投資アドバイザーに相談するよりも楽に、はるかに安く、より良い成果を得られるのです。
ドルコスト平均法が望ましくない理由
これから投資を始めようとする人や、まとまった金額を手にした時、全額を一度に投資しようとすることは怖くてなかなかできないのではないでしょうか。
株価が上がっていても下がっていても、このタイミングで良いのか、判断することが難しいと思います。この悩みへの最も一般的な回答として「ドルコスト平均法」があります。ドルコスト平均法とは、例えば、貴方が手元に12万ドル持っていて投資を始めることを考えている場合に、12か月に分けて、毎月1万ドル投資するという方法です。これにより、1度に投資することによるリスクを回避することが出来ます。
ただしこれがうまくいくためには、投資を始めた日より株価が下がることが前提です。反対に、最初に投資した時より株価が上がっていれば、ドルコスト平均法によると損をします。では、株価が上がるか下がるか、どちらの方が起こる可能性が高いでしょうか。
ここまで見てきたとおり、市場は基本的には上昇傾向にあります。1970年から2013年の43年間のうち、33年間(77%以上)市場は上昇しています。ドルコスト平均法を選択するということは、市場が下落する方向に賭けているわけですが、その賭けが当たる可能性は、10年(23%以下)です。
ドルコスト平均法で投資することは、今の株価は高すぎると考えているということですが、これは、市場のタイミングをうまくとらえられるという思い込みに基づいています。しかし、最適なタイミングを予測することは誰にもできないのです。
本書の詳細は 『父が娘に伝える自由に生きるための30の投資の教え』 をご参照ください。
英語版は、“The Simple Path to Wealth: Your road map to financial independence and a rich, free life“です。
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