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「中国では今月中国共産党第20回全国代表大会が開催されますが、それを終えた後、その指導部はこの数十年で直面した中でも最も困難な一連の経済的な選択に立ち向かわなければなりません。
Foreign Affairs (2022年10月5日の記事)
不平等の拡大、債務の増大、無駄な投資の増加という犠牲を払って莫大な富を生み出してきた経済成長モデルから脱却するか、あるいはこれらの犠牲の増加により更に痛みを伴う移行を余儀なくされるまで現在のモデルを今後数年間継続するか。」
中国共産党の政策によって、中国は困難に直面しています。経済にはいろいろな側面があるので、その中の一部を急速に成長させると、他の様々なところに問題が出てきます。
中国経済の場合、GDPが急速に発展しました。それを裏から支えてきたのが債務です。
中国はこれまでインフラ・不動産等に莫大な投資をし、それに見合う莫大なマネーを供給してきました。その結果、GDPが急速に成長してきました。つまり中国のGDPの急速な発展は、急速な債務の肥大化を伴うものであったというわけです。
このやり方が常に問題かというと、そうではありません。その国の状況と合致していれば合理的なことがあります。投資が全く足りていないような時代であれば、インフラ投資をすることによって経済が発展するからです。そして1970年代後半において、中国はこのような投資を必要としていました。
「高い投資率は、中国にとって常に悪いことではありませんでした。 1970 年代後半に「改革と開放」の時代が始まったとき、日本との戦争、内戦、毛沢東主義を含む 50 年間を経て、この国はインフラ、物流、製造能力への投資が大幅に不足していました。何よりも必要だったのは、迅速な投資を優先する開発モデルでした。」
Foreign Affairs (2022年10月5日の記事)
しかしこのやり方を続けていると、投資しても経済の発展にほとんど貢献しない段階に入っていきます。例えば道路を作る場合、初期段階で作る道路は経済発展に大きく貢献しますが、これを続けていくと、誰も使わないようなところに道路を作るということになっていきます。
このような投資はGDPは拡大させますが、将来の経済にとってプラスにはなりません。
そのためこのような成熟段階に入れば、投資によってGDPを拡大させるのではなく、国内の経済活動でGDPが増える状況にしていく必要があります。なぜなら、投資の裏には債務があるため、それをどう返済していくのかという問題の方が大きくなっていくからです。
「通常、多額の債務を生産的な投資に回した場合、GDPの増加が債務の増加を上回り、債務負担は低く抑えられます。しかし、労働力や資源のコストを上回る経済効果が得られない投資(非生産的投資)に債務を投じると、債務残高がGDPを上回るようになります。中国の債務負担は、2006年から2008年にかけて急増し始めました。」
Foreign Affairs (2022年10月5日の記事)
つまり本来2006年から2008年頃に、中国は高い投資率を続ける経済モデルからの脱却を目指す必要がありました。しかし未だに脱却できず、成長が投資に大きく依存した状態が継続しています。
「世界銀行によると、世界のGDPに占める投資の割合は、成熟した経済圏では17〜23%、高度成長期の経済圏では28〜32%と、通常25%程度と言われています。
Foreign Affairs (2022年10月5日の記事)
しかし、中国はこの10年間、毎年GDPの40〜50%に相当する金額を投資してきました。この異常な高水準を大幅に削減しなければなりませんが、成長が投資に大きく依存している以上、経済活動全体の急激な減速なしに削減することは不可能でしょう。」
中国経済には、このような構造的な問題があります。ゼロコロナ政策だけが問題なのではありません。解決策として、以下の2つの方法が提案されています。
1.富の分配を改革すること
中国には極端な貧富の格差があります。中国には6億人の平均月収が1,000元(約1万8000円)前後の中低所得かそれ以下の人々がいると、李克強首相は2020年の全国人民代表大会閉幕後の会見で指摘しています。
そのため、貧困にあえぐ一般庶民の所得を増やすようにすれば、色々な物が売れ、消費が活性化し、高成長を維持することが出来ます。ただしこの方法は理論的にはあったとしても、このような調整は政治的に極めて困難であると考えられています。
「他の国と同様、中国における政治権力の分布は、部分的には経済権力の分布の結果であり、後者が大きく変化すれば、ほぼ間違いなく前者に相応する変化が生じるだろう。しかし、今のところ、同様の問題を抱える他の国々が達成できなかった所得分配のリバランスを、中国が実現できるという証拠はない。」
Foreign Affairs (2022年10月5日の記事)
2.投資を減らすこと
投資を急減させ、成長率の大幅な低下を受け入れるか、あるいは債務負担の急増によってその路線を維持することが困難または不可能になるまで高率の投資を続けることを強要して高成長を維持することです。
いずれにせよ中国の成長は急激に減速し、その減速の仕方は、中国、中国共産党、そして世界経済に深刻な影響を与えることになります。
本日のオマケ
私の本日の取引 (休場につき取引なし)
私の投資方針
1.投資対象は、株式インデックスファンド、又は個別株式のみ 2.世界株式インデックスファンドは、老後まで基本的に売却しない 3.レバレッジ、信用取引等はしない 4.財政状態、経営成績が良く、PER及びPBRが低めの割安株式を買う 5.平時は、預貯金の残高が減らないペースで積み立てる 6.暴落等により含み損が発生した場合、含み損状態を脱するまで、平時より積立額を増額する
投資方針の根拠
1.ジェレミー・シーゲル著『株式投資 第4版』 ・長期の実質トータルリターンは、他の資産に比べ株式が圧勝する 2.山崎元、水瀬ケンイチ著『全面改訂 第3版 ほったらかし投資術』 ・世界株式インデックスファンド、特に(eMAXIS Slim全世界株式(オール・カントリー)がお勧め 3.厚切りジェイソン著『ジェイソン流お金の増やし方』 ・基本的に売らない 4.ジョン・C・ボーグル著『インデックス投資は勝者のゲーム』 ・インデックスファンドは98%の確率で、アクティブファンドに勝てる 5.チャーリー・マンガー著『マンガーの投資術』 ・素晴らしい会社を適正な価格で買う