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2022年10月5日、OPECプラスで2020年以来最大の減産幅となる、日量200万バレルの減産が決定されました。これは、欧米各国で行われている利上げ等の影響から、今後景気後退が予想される状況にあり、原油の消費量が減少すること(需要の減少が予想されること)に対応するためです。
現状多くの国が、エネルギー価格高騰によるインフレで苦しい状況に陥っているということはありますが、原油価格を大きく引き下げるような増産をすれば、産油国側であるOPECプラスで経済危機に陥る可能性もあります。そのため、OPECプラスとしてこの状況で減産を決定することは、理解出来ることだと言えるでしょう。
しかし、エネルギー価格が高騰することは、同じく産油国であるロシアも利益を得ることになります。
ロシアに、より多くの資金を与えてしまうことを阻止するため、及び米国国内のガソリン価格が高騰しているのを抑えるため、バイデン大統領は、2022年7月の中東諸国との首脳会談の時からサウジアラビア等の産油国に、原油の「増産」を求めていました。
これに対して産油国側が出した回答が、日量200万バレルの大幅な「減産」だったわけです。
この背景には、米国とサウジアラビア等湾岸産油国との関係の急速な悪化があります。その一方で、湾岸産油国はロシアとの関係を急速に縮めています。
ウクライナ戦争が始まった後の2022年5月、ロシアのラブロフ外務大臣は、湾岸諸国とGCCロシア合同会談を行い、イエメン内戦や対イランではロシアが湾岸諸国を支持する代わりに、湾岸諸国がロシアに対する欧米の制裁に加わらないこと等が合意されたと言われています。(参考:サウジアラビア外相は、ロシア・ウクライナ戦争に関して湾岸諸国は結束していると述べた|ARAB NEWS)
つまりこの会談で湾岸諸国は、イエメン内戦や対イランで協力してくれないアメリカを見切り、これらに協力してくれるロシアに協力していく方向を明確に示したということです。
バイデン大統領は、2022年10月11日の記者会見で、この原油減産の決定に関し、サウジアラビアに対する憤りを表明し、サウジアラビアに対する厳しい対応を求める米議員と協働する方針を表明しました。既に、サウジアラビアに対する武器の売却を停止するなどが検討されていると言われています。(参考:バイデン氏がサウジへの厳しい対応誓う、産油国減産で-複雑な計算も – Bloomberg)
しかしもし、バイデン政権がサウジアラビア等に対して大掛かりな報復を行うことになれば、ロシアと湾岸諸国は、更に大きな原油の減産をしてくる可能性があります。そうなれば、原油価格が再び急騰し、世界のインフレは更に高い水準に跳ね上がってしまう可能性もあります。
そしてそれは、ロシアを経済的に支えることになる一方で、ヨーロッパ経済に壊滅的な打撃を与えることにもなりかねません。
こうしたOPECを巡る動きは、ロシアやウクライナの戦争、今後の米国の覇権、世界経済にも大きな影響を与える可能性があり、その動向に注目するべきだと思います。
本日のオマケ
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1.日本株式インデックスファンド 10,000円(自動買付) (ニッセイ-<購入・換金手数料なし>ニッセイ日経平均インデックスファンド) 2.世界株式インデックスファンド 10,000円(自動買付) (SBI-SBI・全世界株式インデックス・ファンド)
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