浦上邦雄著『相場サイクルの見分け方<新装版> ―銘柄選択と売買のタイミング』は、普遍的な株式相場の局面推移と、それぞれの局面で主役となる銘柄の種類が解説された名著です。
本書より、相場の4つのサイクルをご紹介します。
相場の4つのサイクル
相場には4つのサイクルがあります。このサイクルを理解すると、投資のタイミングを読む時に役に立つと思います。
4つのサイクルとは、①金融相場、②業績相場、③逆金融相場、④逆業績相場であり、相場はこの4つのサイクルを繰り返します。(下図)
①金融相場と②業績相場が強気相場、 ③逆金融相場と④逆業績相場 が弱気相場です。
強気相場には株価が上がり、弱気相場では株価が下がります。
次に、それぞれのサイクルの中身を詳しく見ていきます。
1.金融相場
金融相場の特徴を一言で言うと、「不景気の中の株高」です。
この時期は、実態経済は上がっていない中、政府の金融・財政面の景気対策、金融緩和の拡大、金利の引き下げ、公共投資の拡大等により、その期待感から株価が上がります。(下図)
金融相場でリード業種になるのは、次のものです。
- 公共投資関連:直接的に恩恵を受ける業種として、建築土木、不動産関連等がある
- 不況の影響を受けにくい業種:公共サービス、電力、鉄道、食品、医薬品等
- あらゆる業種の、財務の良いトップ企業
「強気相場は悲観の中で生まれ、懐疑の中で育ち、楽観の中で成熟し、陶酔の中で消えていく」
ジョン・テンプルトン(米国著名投資家)
金融相場の上げ相場は、先行き不安感があるときから始まるということです。
2.業績相場
業績相場は、企業の業績という実態が伴った株価上昇期です。
政府による金融緩和等の影響を受け、様々な経済指標が好転し始め、GNPも回復に向かいます。これらの指標の好転から1年程のタイムラグの後、企業の業績も回復し始めます。このような景気の底入れが確認されれば、金融相場の終わり、業績相場の始まりです。
この時期は、金融緩和が行われていた状態から少しずつ引き締めの方向に舵がきられ始めますが、これまでの金融緩和の影響もあり、企業の業績は上がり、ある程度長期間株価が上昇し続けます。(下図)
業績相場でリード業種になるのは、次の通りです。
- 業績相場の前半は素材系:繊維、パルプ、化学、ガラス、鉄鋼等
- 業績相場の後半は加工業:機械、電機、自動車、精密機械等
3.逆金融相場
逆金融相場は、金融引き締めがきっかけになります。景気が過熱気味で、企業の業績は大幅増益予想がされている頃です。ただし、強気相場から弱気相場に移る要因は複雑で、様々あります。
この時期は、金融引き締めが行われるので、金利が上昇します。景気が過熱しているため、業績はまだ良い状態ですが、株価は実態に先行して動くため下がります。(下図)
逆金融相場では、景気変動に敏感な素材株、借金比率の高い電力株等が特に下がるといわれています。
この時期は新規投資を控え、キャッシュ又はキャッシュに近いものを持っておくようにしましょう。残しておくべき株式は、優良株のみです。
4.逆業績相場
逆業績相場は、相場の冬にあたる時期です。
この時期、企業の業績が悪くなるので、逆業績相場の最終局面に近づくほど株価の割高感が高まります。減益という実態を伴って、株価が下がります。また景気の過熱感が落ち着き始めるため、金融引き締めが落ち着き、金利が下落します。(下図)
逆業績相場では、平常時に割高な優良株も株価が下がりますので、絶好の買いのタイミングです。なお優良株とは、財務が強く、競争力が高く、業界トップ企業の株を言います。また、次の「金融相場」の恩恵を受けられる金融関連株も買うと良いです。
本書の詳細は 、『相場サイクルの見分け方<新装版> ―銘柄選択と売買のタイミング 』 をご参照ください。
にほんブログ村
投資信託ランキング