株価分析にはほとんど意味がない。『ウォール街のランダム・ウォーカー』

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ウォール街のランダム・ウォーカー<原著第12版> 株式投資の不滅の真理 』の著者バートン・マルキール氏は、プリンストン大学経済学部長を務め、世界的な投信会社バンガードの社外取締役としても活躍された方です。

1973年の初版以来、全米累計150万部を超え、「投資の名著」として絶賛されるベスト&ロングセラーです。版が重ねられる都度、新しいトピックが書き加えられてきました。2019/7/19発売の第12版が、現在の最新版です。

本書の結論は、次の2点です。

  • 株価分析にはほとんど意味がない
  • 指数連動型のインデックスファンドをドルコスト平均法で20年以上毎月積み立てるのがベスト

これにアセットアロケーションの例を追加して、本書をご紹介します。

  • アセットアロケーションの例

株価分析にはほとんど意味がない

本書のタイトル「ランダム・ウォーク」とは、株式理論の一つであり、「株価の動きは予測不可能で、そこには決まった法則性はない」という考え方です。

この「ランダム・ウォーク」を実証するものとして、「サルのダーツ投げ」という有名な実験があります。

サルに、新聞の株式欄を狙ってダーツを投げてもらい、あたった銘柄に投資します。それと、ファンドマネージャー等のような株式のプロが選んで投資をした場合のリターンを比べた結果、ほとんど差がないという結論になりました。

つまり、一見すると株価の動きには何らかの法則がありそうに思えますが、それは実際には人間の思い込みにすぎないという事実があるのです。

株式分析方法には、ファンダメンタルズ分析とテクニカル分析の2つがあります。

ファンダメンタルズ分析とテクニカル分析

1.ファンダメンタルズ分析とは

ファンダメンタルズ分析とは、企業が発表するデータから財務状況について分析を行って、企業の本質的な価値を考える手法です。

企業の価値と株価を比較して、株価が割安になっていれば買うというのが基本的な戦略です。

この分析には、経済や財務についての知識が必要です。

なお、ファンダメンタルズ分析が必ずしも当たらない理由として、①根拠としている情報が正しいとは限らないこと、②変数が多すぎること、③「株価」が「本質的な価値」に向かって修正されていくとは限らないこと等があげられています。

2.テクニカル分析とは

テクニカル分析とは、過去の株価の動きから投資の判断をする手法です。

株式トレーダーが良く用いる方法で、株の値動きを示すチャートから様々な指標を当てはめて売買のタイミングをはかるという戦略です。

この分析には、分析指標や基本的なチャートの見方についての知識が必要です。

なお本書では、このテクニカル分析を「砂上の楼閣派」と呼んでいます。よく株式投資は「美人投票理論」に例えられます。

昔、美人を当てたら賞金がもらえるという企画がありました。

この時本当は、「自分が美人だと思う人」に投票するはずなのですが、上位を当てると賞金がもらえるため、「皆が美人だと思うだろう人」を選び合うことになりました。つまり心理戦です。

株式投資もこれと似ていて、皆がこう考えるからこうなるだろうなという心理戦だと著者は言っています。このためバブルが起こります。参考:今はバブルなのか。『新訳 バブルの歴史 ──最後に来た者は悪魔の餌食』

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どちらの手法も、株式投資においては主流ともいえる、一般的に良く用いられている投資手法ですが、 マルキール氏は、このいずれの手法も否定しています。

adorable monkey scratching ear of companion in zoo
Photo by Buddh Sharan Sahu on Pexels.com

指数連動型のインデックスファンドをドルコスト平均法で20年以上毎月積み立てるのがベスト

投資の手法は、 アクティブ投資とインデックス投資の2つがあります。

アクティブ投資とインデックス投資

1.アクティブ投資とは

ファンダメンタルズ分析やテクニカル分析を行って、投資する株式を選択する方法を「アクティブ投資」と言います。

将来上がるに違いないと思った銘柄に、個別に投資していくやり方です。

しかし、「株価の動きはランダム・ウォークである」という前提に立つと、将来上がる株を事前に予測することは不可能であるため、誰がどのような分析をしても、手間をかけるだけ無駄ということになります。

2.インデックス投資とは

アクティブ投資の対極にあるのがインデックス投資です。

インデックス投資とは、日経平均、S&P500等といった株式の指標に連動する形で、機械的に投資をしていく方法を言います。

いわば、市場の平均と同じだけのリターンが得られるやり方で、大きく勝つことがない代わりに、大きく負けることもありません。

インデックス投資は、分析を行う必要がなく、時間的にも費用的にも、コストを低く抑えられるという大きなメリットがあります。

アクティブ投資を行っても、平均的にはインデックス投資を上回る結果を出すことが出来ない事実がある以上(=業界の不都合な真実)、コストがかからないインデックス投資の方が必ず有利な結果になるということが、この本で語られている最も重要なポイントです。

実際、過去15年間で米国の株価指数S&P500の成績を上回ったアクティブファンドの割合は8%しかありません。

また、マルキール氏は、負けない投資のコツとして、長期投資と積立投資をあげています。

負けない投資のコツ

1.長期投資

リスクは投資期間によって変わるものであり、投資期間が長くなるほどリスクは下がります。

株式のリターンは、年間67%程のプラスのリターンを上げる時もあれば、別の年には39%程のマイナスのリターンになるときもあります。

そのため、ある一年間をとって確実にプラスのリターンを得られる保証はありません。

しかしもし、25年間株式を持ち続けられるなら、どの期間をとったとしても、年平均10%以上のリターンを得ることが出来、上下の振れ幅(リスク)も、とても小さくなります。

<参考>

(出所:ジェレミー・シーゲル『株式投資 第4版

この点詳細は、【株の知識③】長期投資が前提であれば、株式が圧勝。『株式投資』をご参照ください。

2.積立投資

積立投資の方法としてお勧めされているのが、ドルコスト平均法という手法で、長期間に渡って毎月同じ金額ずつ買い続ける方法です。

市場全体が大きく下がっている時には、恐怖に駆られて持っている株式を手放したくなるものですが、そのような時にこそ、これまでと同様に淡々と買い続けることが最善の方法であることがほとんどです。

株式全体でみると、いったん下がったものは必ずまた上がるという法則があるからです。

市場がどのような状況であっても、信念をもって同じ金額を買い続けることによって、株価が安い時にはより多くの株数を購入することが出来、株価が高い時にはより少ない株数を購入することが出来るので、貴方の平均購入価格は、その期間の平均株価よりも低くなります。

以上より、指数連動型のインデックスファンドをドルコスト平均法で20年以上毎月積み立てるのがベストの投資方法であるということになります。

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Photo by Markus Spiske on Pexels.com

アセットアロケーションの例

著者は、投資が成功するか否かはアセットアロケーションで90%決まると言います。

年齢別にアセットアロケーションが紹介されていますので、ご紹介します。

年齢が高くなるにつれて、株式比率が下がり、債券、不動産、現金比率が上がっています。

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また本書には関係ありませんが、アセットアロケーションを考えるためのヒントとして、JPモルガンの「Long-term Capital Market Assumptions -2022年版」をご参照ください。

今後10~15年先のリスク・リターン予測と、約60資産の期待リターンが分かります。

表の上から、Fixed income(債券)、Equities(株式)、Alternatives(オルタナティブ)となっています。

オルタナティブには、プライベートエクイティ(未公開株)、不動産、インフラ、ヘッジファンドなどが含まれます。

リターンイメージをざっくりお伝えすると、債券は全体的に低水準、株式は中国が強く米国は相対的に低い。そして、オルタナティブはプライベートエクイティ、不動産、インフラが強いことが分かると思います。ご参考までに。

marketing dawn blue wall
Photo by Nataliya Vaitkevich on Pexels.com

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本書に興味を持っていただいた方、詳細は 『ウォール街のランダム・ウォーカー<原著第12版> 株式投資の不滅の真理 』 をご参照ください。

本書の英語版は 、『A Random Walk Down Wall Street: The Time-tested Strategy for Successful Investing』です。

本は読むのも良いですし、Audible (オーディブル) で聴くのも良いと思います。

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