純金融資産1億円以上を保有する層は、国内で世帯主100人の内2〜3人の割合で存在しています。
(注:純金融資産とは、預金、株式、保険等の金融資産から、借入等の金融負債を差し引いた金額です。つまり、不動産等の現物資産は含まれておりません。)
割合が分かりやすいように、上図を表にしたものは以下の通りです。薄い黄色の部分が純金融資産1億円以上の富裕層ですので、2%を超えていることが分かると思います。実は結構多いのです。
『となりの億り人 サラリーマンでも「資産1億円」』の著者大江英樹氏は、証券会社で30年以上従事し、3万人以上の個人投資家を見てきました。その体験から分かった「億り人」の特徴は、相続や一攫千金で財産を得たわけではない、ごく普通のビジネスパーソンです。彼らの共通点は、「天引き習慣」「保険は入らない」「長期投資」です。
本書及び関連情報を、次の6つのポイントでご紹介します。
人は見た目が9割ではない
本書では、筆者のお客様2名が比較して紹介されています。
一人目(Aさん)は、50代の普通のサラリーマン。実は1億円以上の金融資産を保有されています。
二人目(Bさん)は、40代で脱サラし、不動産関係のビジネスをされていた方です。地方からわざわざ東京まで、オーダースーツを仕立てて高級外車で来社されるような方ですが、資産運用にはそれほどこだわっておらず、余剰資金で数百万円運用されている程度でした。周りから明らかにお金持ちなのだろうというのが分かる、羽振りの良い振る舞いをされていました。その後著者は転勤で一旦この店舗を離れるのですが、15年後にこの店舗の人達と話す機会がありました。
Aさんは、15年後も投資を継続されており、時折お孫さんと来社されていました。悠々自適な生活をされているようでした。一方Bさんは、話にも上がらず、投資はやめたのではないかという感じでした。このBさんの会社はなくなっており、他のテナントが入っていたそうです。
これは1つの象徴的な例ですが、見た目がお金持ちそうな方がいつまでもそうとは限らないということでもあり、逆に普通の質素な方が、悠々自適な生活をされていることは良くあるということです。
3万人見てきた経験から、資産1億円をもつ人の特徴は、次の通りでしたた。
1.普通のサラリーマンでも「資産1億円」は可能
2.天引きする習慣を身に付けている
お金が残ったら投資するというのではなく、天引きして先に投資する習慣を持っているということです。
3.地道な長期投資でコツコツ確実に資産形成する
もちろん、短期トレードで一気に億り人になる方はいないことはありませんが、確率は低いです。再現性の高さでいうと、地道な長期投資でコツコツ確実に資産形成されている方が大半だということです。
4.自分の頭で考える
投資アドバイスを受けたとしても、自分で勉強し、最終的には自分で判断して投資をする方だということです。
生命保険はいらない
サラリーマン資産家は日常の支出の無駄をなくすため、その多くは、自動車保険や火災保険には入っていても、生命保険や医療保険に入っている人は取材した限りではほとんどいなかったそうです。
日本人は、預金や保険が大好きな国民なのですが、サラリーマンで資産1億円を保有しているような方は、それに反する選択をされています。
「生命保険で言えば、我々サラリーマンは厚生年金に入っているので、自分がもし亡くなっても子供が18歳になるまでは年間150万円程度の遺族年金が支給される。妻も働くだろうから、生活に困らない」
そして、プラスαで足りない分は、貯金があれば十分と考えています。
「 日常の支出の無駄をなくす」資産家の行動は、金融機関が主催したとあるイベントでも見られました。そのイベントは、資産10億円以上保有する方を招いたもので、高級ワイン、キャビア、パテ等を準備したにもかかわらず、それには手を付けず、ビールやクラッカーに手を出す方が多かったそうです。資産家は「庶民的」ということです。
長期投資と、その手法
本書では、4名の億り人のインタビューが掲載されています。手法は様々ですが、皆さま長期でじっくりコツコツ資産形成されています。自分の得意パターンを持ち、自分の考え方で資産を増やすことを考えるのが良いと思います。
1.投資ブロガー、エルさん(米国高配当株投資)
2.個人投資家、こん吉さん(株式投資信託)
3.不動産投資スクール、束田光陽さん(不動産投資)
4.会社員、白川初美さん(預金+財形貯蓄等)
富裕層の年齢分布
純金融資産1億円以上の富裕層は日本に2%以上いると述べましたが、日本の富裕層のほとんど、9割以上は46歳以上です。(下図参照)
※直近英文ワールド・ウェルス・レポート2021も確認しましたが、年齢別内訳に関するデータがありませんでしたので、データは古いのですが、こちらを掲載させていただきました。
また、下図はJTB総合研究所の推計ですが、やはり富裕層は46歳以上が9割以上という結果になっています。
若い成功者、億万長者はとても目立ちますが、人数としては少数派です。YouTube、IT等の普及、また仮想通貨等の短期間で爆発的に資産額を増やせる投資(投機)により、若年富裕層は2010年と比べるとその割合は増えているのではないかと個人的には考えています。しかし、日本人の富裕層のほとんどは、長期コツコツ時間をかけてお金持ちになった方であるという結論に、変わりはないと思います。
2020 年末の世界の富のピラミッド
2020年末の世界の富の分布は、クレディスイスの「グローバル・ウェルス・レポート 2021」で確認できます。なおこのレポートの「富」とは、資産から負債を控除した金額ですので、純金融資産に、不動産等の現物資産を加算したものとお考え下さい。
純金融資産5,000万円以上保有する「準富裕層」の方でも、不動産等の現物資産を加算した「富」は、100万米ドル超(1億円超)の方も相当いらっしゃると思います。しかし、世界の100万米ドル超の富裕層割合は、1.1%です。
Income – Comparator
こちらのサイト(Income Comparator – WID – World Inequality Database)で、自分の収入、資産が世界の中でどのくらいの位置なのかを知ることが出来ます。
例えば、「Wealth」(富)に、1億円と入力すると、下図の通り、日本ではトップ3%、世界ではトップ1%の水準だと表示されます。先ほどのデータとも平仄が取れています。「Income」(年収)についても調べられます。
本書の詳細は 『となりの億り人 サラリーマンでも「資産1億円」』 をご参照ください。
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