モーガン・ハウセル 著『サイコロジー・オブ・マネー――一生お金に困らない「富」のマインドセット』は、全世界累計70万部、43か国で刊行されているベストセラーです。
「経済的成功は、何を知っているかよりも、どうふるまうかが重要な『ソフトスキル』の問題なのだ。私はこのソフトスキルを、『サイコロジー・オブ・マネー』と呼んでいる。」
お金持ちが高価なものを見せびらかすのはよくある光景ですが、そのようなお金持ちというのは、一時的には大金を手にしても、しばらくすると破産してしまうと、大体決まっています。
一方で、ずっと裕福でい続けるような方は、それ相応の振る舞いを身に付けています。
FIRE(早期リタイア)を目指す人、投資で資産を築きたい人、不安のない老後を過ごしたい人等へ、本書には本当のお金持ちになるための思考法、行動様式が紹介されています。本書を次の8つのポイントでご紹介します。
「富」とは目に見えづらいもの
例えば、ベンツに乗っている人を見かけた時、私たちが分かることは、「その人がベンツに対してお金を払った」という事実だけのはずです。
「富」とは、ベンツを買った後に残った財産のことを指すので、貯金の全てをベンツに使ってしまって貯金が0円になった人を「裕福」とは言いません。ベンツに乗っているのに借金している可能性すらあります。
つまり、「富」とは目に見えづらいものだということです。
本当のお金持ちになる人は、もちろんこの事実に気づいています。だから、高価なものを持っていたとしてもそれを自慢することもありません。
そもそも「富」を築くためには「贅沢品をあまり買わない」ということが裕福になる人の振る舞いなのです。
「大切なことは目に見えない」
足るを知る者は富む
「足るを知る者は富む」は、中国の老子の言葉です。満足することを知っている者は、たとえ貧しくとも、精神的には豊かで幸福であるという意味です。
本当のお金持ちになる人は、この「足るを知る」という感覚を持っています。
(反面教師となる実話)インドのスラム街で育ったある男性は、40代半ばで世界的なコンサル会社のCEOにまで上り詰めました。彼はその会社を退職した後も他の企業で取締役を務める等活躍し、彼の総資産は1億ドルにも達しました。しかし彼はそれで満足せず、株式の違法取引に手を出し、最終的には逮捕されました。
これは、「もっと多く」を求め続けてしまった結果の悲しい末路です。
本当のお金持ちになる人は、必要以上は求めないよう自分を律することが出来ます。
「目的のない貯金」ほど、価値が高い
本当のお金持ちになる人は、何のために蓄財をするのでしょうか。
それは、「自由」を得るためです。
ある心理学者の研究結果によると、「人生を自分でコントロールしている」という感覚がある人は、幸福度が高い傾向にありました。
好きな時に、好きな人と、好きなことが出来る自由な生活が出来ることが、幸せだということです。そしてこの生活を可能にしてくれるのが、お金です。
例えば、1か月分の生活費の蓄えがあれば、その1か月働いても働かなくてもいいという自由があると言えます。そのためこの蓄えが多ければ多いほど、その自由があるということです。半年分の蓄えであれば半年、1年分の蓄えであれば1年、働いても働かなくてもいいという自由があるということです。
このように、お金が自由をもたらし、それが幸福に直結することを、本当のお金持ちになる人は良く理解しています。
複利の魔法
お金持ちになるために欠かせないのが、投資です。そして投資において最も大切なことは、「長期間続けること」です。
投資では「複利」がカギになるのですが、この「複利」とは、利息にさらに利息が付くことです。
例えば年間5%の複利で運用する場合、100ドルは1年後は105ドル(=100ドル×1.05)になります。そしてその1年後は、110.25ドル(=105ドル×1.05)となります。
1年目は5ドル(=105ドル-100ドル)しか増えなかったのに、2年目は5.25ドル(=110.25ドル-105ドル)増えていることが分かります。
例えばこれを20年続けたら、100ドルが265.33ドル(=100ドル×1.05^20)になります。これに対して単利では、同じ20年で200ドル(=100ドル+5ドル×20)にしかなりません。単利か複利かという違いだけで、これだけの差になります。これが複利の効果です。時間が経過すればするほど、複利の効果が加速します。
本当のお金持ちになる人は、これをよく理解しており、粘り強く長期間投資を続けています。
投資をする際の銘柄の選び方
投資を長期間続ければ続けるほど資産を築きやすいので、投資をする際の銘柄は、儲かるだろうからという数理的思考より、自分が好きなところを選ぶと良いです。
現実の投資は、景気がいい時は多く儲かり、景気が悪い時は損をするものです。決して一本調子で年利5%等といった運用成績が得られるわけではありません。
ここで大切になるのが、景気が悪い時でも「絶対に投資を続けるのだ」という強い意思です。
儲かるだろうからという理由で購入したけれど、なかなか思ったような利益が出ないような場合、すぐに売りたくなってしまうでしょう。だから、投資をする際には自分が好きなところを選んで投資をし続けるのが良いということです。
株について情報収集していくと、好きとか、ここなら投資したいと思える銘柄を見つけられると思います。まずはその銘柄に投資をするのがお勧めです。
誤りの余地
投資を始めようと思って勉強を始めると、「この銘柄は儲かる」とか、「この投資方法なら確実に資産を築ける」という話に遭遇することがあると思いますが、リスクの低い投資方法はあっても、投資に絶対はありません。100%安全な方法はありません。
そのため、投資をする際には必ず「誤りの余地」を残しておきましょう。
具体的には、自分の資産の全てを投資に回してしまわず、少なくとも3か月分の生活費は手元に現金として残しておくようにします。
投資を長期的に続けるためにも、「安心感」は非常に重要です。不況になって資産が目減りしても、「誤りの余地」を残して精神的な余裕がある状態にしていれば、景気が良くなるまでどっしりと構えていることが出来ます。
失敗しても諦めない
本当のお金持ちになる人は、失敗は当然起こり得るものだと考えています。
例えばウォルト・ディズニーは、初期の頃『蒸気船ウィリー』という作品を作りアニメーターとしての地位を確立しました。しかし経営状態は伴わず、ずっと赤字続きでした。その流れを変えたのが『白雪姫』です。『白雪姫』は、それまでの赤字をひっくり返すほどの大きな収益をたたき出しました。ここから経営が上向き、『ピノキオ』、『ダンボ』、『シンデレラ』等、数々の名作を生み出していきました。
このように、たった一つの成功には数々の失敗をひっくり返す力があります。お金持ちになろうと思ったら、失敗しても諦めずに挑戦し続ける必要があります。
悲観主義の誘惑
お金持ちになろうと思ったら、悲観論に惑わされてはいけません。
悲観論は楽観論よりも賢く、もっともらしく聞こえますが、長期的視点を持てば、いつでも悲観論が正しいとは限りません。
例えば転職する場合、転職直後は慣れないことも多く、一時的に収入が下がることもあるでしょう。しかし転職により自分のやりたいことが出来るなら、人生の充実度は上がるかもしれません。やりたいことを一生懸命にやっていれば、長期的には転職しなかった場合よりも収入も上がるかもしれません。起業することになるかもしれません。
「きっとうまくいくだろう」と楽観的に考えられる人がお金持ちになれます。悲観論に囚われていると、いつまでたってもお金持ちになることは出来ません。
本書の詳細は 『サイコロジー・オブ・マネー――一生お金に困らない「富」のマインドセット』 をご参照ください。
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