ベストセラー『ほったらかし投資術』の改訂版、山崎元、水瀬ケンイチ著『全面改訂 第3版 ほったらかし投資術』では、過去2版と異なり、もっとシンプルに、もっとほったらかせるような運用方法が紹介されています。
本書を次の5つのポイントでご紹介します。
山あり谷あり、長い目で見たら山だった
著者の水瀬さんは、2002年から社員をしながらこれまで20年間毎月コツコツ積立投資をされ、1億円の資産を築きました。
しかし常に順調だったわけではなく、途中2008年リーマンショック、2011年東日本大震災、2020年コロナショックといった大きなピンチも経験しました。そんなときも投資をやめず、毎月コツコツ継続したそうです。その結果、20年間の平均リターン年間約6%という大きなプラスになりました。(⇔メガバンクの普通金利は0.001%)
「会社から自由になるためのお金」の意味
水瀬さんは1億円の資産を築きましたが、毎日会社に出勤するという生活は何も変わっていないそうです。ただ大きく変わったのが、働くことの意味合いです。投資を始めた20年前は、生活のために稼がなければならなかったのですが、今は稼がなくても生活できるところまできました。
一財産築くと、生活への安心感が生まれるのと同時に、強いメンタルも手に入ります。例えば上司に理不尽なことを言われたら、「それはおかしい」と躊躇なく言えるようになります。病気やけがをしても、生活の心配をせずに治療や療養に専念できます。
経済的独立を達成すると、そもそも「働かないこと」を選ぶことも出来ますし、住む場所、人間関係、やりたい仕事も自分の意志で選ぶことが出来るようになり、人生の選択肢の幅が広がります。
個別株投資への虚しさ
そんな水瀬さんも、最初から投資が上手くいっていたわけではありませんでした。個別株投資をして、プラスになったりマイナスになったり、試行錯誤する暗黒時代がありました。
投資について2年間勉強し、情報収集し、かけた時間の割にはリターンはほぼなしという虚しさ。「個別株への投資は虚しい」と感じたそうです。(ただし、これは個別株投資が悪いということではなく、その人の性格によっては虚しく感じるということです。)
本業の仕事の途中でも買った会社の株価が気になったり、仕事が休みの時でも株価のチャートが気になったり、1日中株式の事で頭がいっぱいでした。そうなると、本業への集中力も下がり、休みの日もリフレッシュできなくなります。
たどり着いた方法論は「たった、これだけ」がベスト
今の日本は、金融先進国であるアメリカにも引けを取らないほど、投資商品やサービスが非常に充実しています。日本は投資優良国なのです。
なかでも特にお勧めなのは、世界中に分散投資できる低コストのインデックス・ファンドを、ただ毎月淡々と積立てるだけの、インデックス投資です。これにより、世界の経済成長の恩恵を受けることが出来ます。
インデックス投資は、株式市場の平均値に連動して、淡々と運用する投資手法です。このインデックス投資は、投資のプロと呼ばれるような人が運用した場合よりも勝率が高いことが、過去の実績からも証明されています。であれば、投資が趣味でもなく、仕事でもないような素人が選ぶ投資方法は、インデックス投資一択です。インデックス投資の運用は、最初に決めたら、あとはずっとほったらかしで良いのです。(本書で推奨されている全世界株式のインデックス・ファンドは、eMAXIS Slim全世界株式(オール・カントリー)です)
「リスク資産」への投資額の決定方法
では、いくらぐらいをインデックス投資に回せば良いのでしょうか。
本書には、生活資金をまず3か月から6か月分を銀行の普通預金口座に確保した上で、残りを運用資金に回せば良いと書かれています。
そして、運用資金をリスク資産(全世界株式のインデックス・ファンド)と無リスク資産(個人向け国債又は普通預金)に分けます。無リスク資産とは、安心して無難に運用できる資産であり、本書では個人向け国債(変動10年)がお勧めされています。
リスク資産に回せる金額は、最大損失額を基準に考えます。この時、最大損失額の求め方は、投資した金額の3分の1とします。
例えば、リスク資産(全世界株式のインデックス・ファンド)に300万円投資したのであれば、最大損失額は100万円(=300万円×1/3)と計算します。この100万円が、自分にとって許容できる範囲なのかどうかを判断基準にするということです。
リスク資産は、大きなリターンを見込める一方で、含み損を抱える時期も出てくるので、自分のリスク許容度の範囲で投資を行うようにするのが良いのです。
本書の詳細は『全面改訂 第3版 ほったらかし投資術』をご参照ください。
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