『これからのお金の教科書』の著者、田端信太郎さんは、新卒でNTTデータに入り、その後、リクルート、ライブドア、Line、ZoZoで勤めた後、2019年末に退任されています。
本書では、田端さんご自身の経験から、年収の伸びしろがケタ違いになる独自の視点が65個紹介されています。本書を、次の5つのポイントでご紹介します。
人生に真剣になれない人が稼げるはずがない
あなたは、もし10年後に好きなだけの収入がもらえるとしたら、いくら欲しいですか?具体的な金額を根拠をもって答えられないとしたら、それはこの先どのような暮らしをしたいのかが自分でも明確にイメージできていないということです。
自分が満足して一生を終えるために実現したいことを、一度すべて紙に書き出して、それに必要な費用総額を見積もってみましょう。そしてそこから逆算して、どれだけの収入が必要なのかを仮の計算でも良いので、やってみてください。
大事なのは、とにかく多く稼げばいいというわけではないということに気づくことです。多く稼げば稼ぐほど幸せになれるわけではありません。自分が本当に必要な範囲でお金を稼ぎ、稼ぐことそれ自体を目的としないようにすることです。そうしないと、結局いくら頑張っても「まだ足りない」と思って一生を終えることになるからです。人生全体を満足して終えるために、必要なお金は、ほとんどの人にとってそれほど大きな金額にならないものです。
世の中にはお金で買える物と買えないものがありますが、あなたにとってお金で買えない大切なものは何なのか、それを箇条書きで書き出して言語化できるくらい具体的に分かっていれば、人生の悩みはかなりシンプルになります。お金で買えない価値に関する悩み以外は、言ってしまえば、お金で片が付くものだからです。
「お金で買えない価値がある。買えるものは、マスターカードで」
1泊500円の宿と1泊5万円の宿両方に泊まる価値
どこかに旅に出るとして、1週間で7万円の宿泊費の予算があるとします。
その時、1泊1万円の宿に7日間泊まったら、ずっと同じ体験しかできません。そうではなく、1泊500円の宿にも泊まり、1泊5万円の宿にも泊まってみることでこそ、見えてくる価値があるはずです。それを最初から、1泊5万円のホテルなんて無理、無駄だと切って捨ててしまったり、1泊500円の宿なんて泊まれたもんじゃないと決めつけてしまうのは、非常にもったいない発想です。
車も同じで、自分の車を持たなくてもカーシェアリングで十分だという価値観は、経済合理性的には正しい考え方です。しかし、実際に自分が車を所有してみて初めて気づくこと、体験として自分の中に残る価値もあるはずです。例えば、今すぐ車で出発したいときに、カーシェアリングで空きがないから出発できないとしたらどうでしょうか。
自分を満たしてくれるもの、お金で買えない価値に対してまで、コストパフォーマンスの考え方を当てはめていると、人生がどんどん貧しくなっていきます。ワインでも、ホテルでも、食事でも、様々なサービスや価格帯で、ローエンドとハイエンドの両極端を経験してみるべきです。
自分の「バケツ」を大きくしろ
これから先も、格差はどんどん開いていきます。なぜなら、コロナ危機やリーマンショックのような経済危機があっても、政府や中央銀行化できるのは、お金を世の中にばらまくことだけだからです。
ばらまいたお金は、結局株や不動産などの資産を大量に持っている、ジェフ・べゾスさん、孫正義さん、前澤友作さんといった資本家のもとに集まるように出来ています。
お金を水に例えると、次のような話です。
急に日照りが続いて雨が全く降らなくなったとします。すると皆が困るので、政府が人工的に水をまきます。本来ばらまかれた水が世の中を平等に循環していけばいいのですが、現実には、ばらまかれた水の大半が、少数の人の元に集まってしまいます。
それは、ほとんどの一般市民が持っている、水をためるバケツが小さいからです。小さいバケツには、わずかな水しかためることが出来ません。集中豪雨のように、どんなに世の中に水をばらまいたとしても、小さなバケツ分の水が溜まったら、それでおしまいです。コロナ危機でばらまかれた10万円の給付金も、ないよりは良いですが、焼け石に水です。
世の中の経済の流れは、皆の財布という無数の小さな川の流れが集まって、大きな川となり、やがてある人間が作ったダムにたまります。大きなダムがあると、少しくらいの日照りも関係なくなります。一般人は、小さなバケツに水をためても、すぐになくなってしまいますが、ダムのような大きなバケツを持っていれば(資本家たち)、何が起きても水はなくなりません。格差が開いていくというのは、そういうことです。
そこで引き離されないようにするには、自分なりにバケツを大きくしていこうと意識するしかありません。低金利、金融緩和という全ての日本人に平等な条件の下で、株を買ったり、会社を作ったりと、やれることには挑戦していくべきなのです。
名前の出ない仕事はするな
あなたは、自分の仕事にきちんと自分の名前を残しているでしょうか。自分の名前が世間に出ない仕事ばかりやっていても、自分の報酬やギャラは上がっていきません。世間が注目する大きなプロジェクトに関われるチャンスがあれば、そのプロジェクトが発表された時にメディアの取材が来たりします。そういったメディアの取材に、プロジェクトの仕掛人や立役者として出られることが理想です。そうすると、メディアという第三者が、自分がやった仕事の価値を担保し、小切手に裏書してくれていることになります。
著者の田端さんが外資系の金融機関やコンサルティングに転職しなかったのは、この点が理由だと言います。このような会社では、クライアントを差し置いて「この仕事は自分がやりました」と言ってインタビューに出るのはご法度です。30代、40代では、余程専門的な仕事をしていない限り、社外に名前が出ることはまずありません。20代ならなおさらです。その代償として、彼らは若くても同年代のサラリーマンより高給取りですが、それにしても、やはり割が悪い取引です。
逆に、社外のメディアに自分たちの社員の名前を積極的に発信してくれる会社は、キャリアを作っていく上で非常に貴重なので、会社に勤めるのであれば、これからの時代はそのような会社を積極的に選ぶべきです。
いい人材になれば転職できると思ったら甘い
世の中には、ただ漠然といいものを作っていれば評価されると考えている人が多いですが、それは甘いです。
例えば小説なら、いい小説を書けばいつか賞を取れるというものではありません。芥川賞を取りたければ、今の芥川賞の審査員が誰で、その中でもどういう序列があり、結局誰がキーパーソンなのかを考えなければなりません。
それと同じで、いい人材になれば転職がうまくいくというのも、そういうわけではありません。まず、自分が行きたい会社を名指しで言えるのは最低条件として、さらに上司にしたい人も名指しで言えるくらいリサーチをするのは当然です。そして、本気で転職活動をするなら、TwitterでもFacebookのメッセンジャーでも何でもいいので、個別に未来の自分の上司にきちんと礼儀も踏まえて挨拶してアピールしておくべきです。
そこまでイメージして、その相手が「この人なら会ってみたい」と思わせるような仕事を重ねて、能力を磨いていくのです。結局転職とは、採用する側あっての事なので、相手の立場にたって、どうすれば採用したいと思ってもらえるかという視点が欠かせないのです。
本書の詳細は『これからのお金の教科書』をご参照ください。
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