愛を経験する。愛する能力を高めるポイント。『愛するということ』

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どうしたらもっと人に「愛されるか」ばかり気にしていて、どうしたらもっと人を「愛せるか」を学ぶ人は少ないのが現実です。これが現代の不幸を生み出しています。

愛は技術です。愛こそが、現実の社会生活の中で、より幸福に生きるための最高の技術です。訓練を積むことにより、人を愛せるようになります。なぜなら、人間の存在理由は「愛」だから。世界的ベストセラーの一つである、エーリッヒ・フロム著『愛するということ 新訳版』を、以下の2つのポイントでご紹介します。

  • 愛を経験する
  • 4つのポイント

愛を経験する

愛を高める方法は、日々愛を経験するしかありません。こちらの記事で、愛は技術であり、練習するものであるということを書きました。ここではその練習方法について紹介します。

「愛することは個人的な経験であり、自分で経験する以外にそれを経験する方法はない」(by フロム)

つまり、人を愛するということを日々実行すること以外に、愛の技術を習得する方法はないということです。毎日の生活でひたすら、愛を経験することが最も大事です。

そして愛を経験するには、自分自身があらゆるシーンで愛を選択することが重要です。人の短所よりも長所を見て、汚いところよりも綺麗なところを見て、自分で意識的に愛を経験することでしか、愛する能力を高めることはできません。

なお、愛する能力を高めるためにおさえておくべきポイントは4つあります。それぞれご紹介します。

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Photo by Anna Tarazevich on Pexels.com

4つのポイント

愛の鍛錬に必要なポイントは、①規律、②集中、③客観性、④能動性の4つです。

1.規律

愛の技術を習得したいなら、自分の中の「規律」が必要です。なぜなら、いかなる技術の習得にもまず第一に「規律」が必要だからです。では、「規律」を身に付けるためにはどうすれば良いのでしょうか。

一昔前であれば、朝早く起き、あまり贅沢をせず、一生懸命働く規律が正しいとされていました。しかしこの規律は、人生を楽しむという考え方がないという欠点があります。これは、上に立つものからすると都合の良い規律で、権威主義的でした。

このような厳格な規律への反発から、どのような規律についても悪いイメージが強まりました。しかし、学ぶ時間を取ること、身体に悪いものを食べない、運動すること等、健康的に楽しく生きていくために必要不可欠な「自分ルール」を課すことは本来、なくてはならないもののはずです。

つまり、上から押しつけられたり、不安に駆られてわき起こる「ねばならない」の規律は不要ですが、「自分がしたいからする」というタイプの「ねばならない」の規律は必要です。前者は嫌な気分になるもの、後者はいい気分になるものです。

例えば「運動する」という自分ルールを課すなら、運動が習慣になるまでは面倒だったり大変だったりしますが、健康的になり、スタイルも良くなることを考えると、いい気分になれますね。このように、いい気分になれる「ねばならない」は、生きていく上でなくてはならない規律です。

愛の修練を積むときも、この「いい気分になれる」規律が必要です。愛の技術を習得するために、「自分はこのような素晴らしい規律に従って生活している、私は素敵だ」と考えられるような規律を設定すればOKです。

2.集中

愛の技術の習得に、集中力が不可欠です。人を愛するためには、たった一つの事だけに集中する力が必要だからです。

現代人は集中力が欠けているといわれています。なぜなら、多くの人は一人でいると不安になるので、家で一人で黙々と、ひたすら一つのことに没頭することが出来ないからです。

しかし、愛することが出来るようになるためには、一人でいられることが必須条件です。1人でいられない人は、相手に依存するからです。自分で自分を幸せに出来ないので、相手に幸せにしてもらおうと依存します。依存である限り、そこに本当の愛は生まれません。お互いに「個」として自立していること、一人きりでいられること、それが「人を愛する」ことの前提条件になります。

集中力があって初めて一人きりでいられるし、一人きりでいられるようになって初めて、本当に人を愛せるようになります。

この、集中力を高めるためには、マインドフルネスの概念を習得するのが一番です。何もせずに一人でじっといられる練習を積むということです。その方法として一番簡単なのが、「呼吸に集中する」ことです。ただただ自然に呼吸をし、自分の存在を感じることです。

ご飯を食べている時、仕事をしている時、人の話を聞いている時等、何をしている時でも、自分の存在を意識して一つの行為に集中する癖をつけ、目の前の事だけに没頭します。この訓練を日常から続けることで、集中力がどんどん高まっていきます。集中力が高まると、あらゆることが新鮮に見えてくるはずです。この、「新鮮な世界の見え方」が、愛には必須なのです。

集中力を高めると、深い相手理解も可能にします。相手の話を理解できず、相手を理解できないのは、その人の話に本当には集中していないからです。瞑想で呼吸に集中するのと同じように、相手の話と表情に全神経を集中します。愛には、深い相手理解が不可欠です。

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Photo by moodvalley on Pexels.com

3.客観性

人を愛するためには、ナルシシズムの克服が必要です。ナルシストは、自分の立場からしか世界を見ることが出来ません。ですので、外の出来事を自分のメリットがあるかないかでしか、経験することが出来ません。

ナルシストの中でも、「相手のメリットこそ自分のメリットにつながる」と考えるタイプのナルシストは大丈夫ですが、相手のメリットを全く考えられないタイプのナルシストはダメです。前者は、一度は相手の立場に立ってものを見る余裕がありますが、後者は全くありません。自分からの視点でしか世界を見れない人が、人に愛を与えることは絶対に無理です。改善しなければ、愛のある人生にすることが出来ません。

つまり、愛の技術を習得するには、相手の立場で世界を見るという客観性を獲得しなければなりません。客観性を獲得するには、読書等を通じて、色々な人の価値観や考え方に触れることです。

例えば、世間でいう「いい子」とは、学校の先生や親の言うことに従順で、いい成績をとる子供のことを言います。社会は大人が作っているので、大人からの視点だけから子供を解釈しますが、これには子供からの視点がなく、客観性が欠けていることの典型例です。

恋人関係や夫婦関係でも、客観性が欠けている例は多くあります。相手を束縛したり、コントロールしようとしたり、その逆に、相手が傷つくかもしれないということを考えずに自由に遊びまくること等は、どちらも客観性が欠けています。

このように、相手の立場でものを考えてみるという訓練を日常から積まない限り、愛する能力は高められません。そのためには、傲慢さを捨て、謙虚になる必要があります。

また、その辺ですれ違う人に対しても客観性を持てなければ愛する人に対しても客観性を持てません。なぜなら、愛の能力は分離不可能で、こっちでは愛の能力を出して、あっちでは愛の能力を出さないということができないからです。よって、一人の人を本当に愛するためには、普段から世界中の人を愛する努力をしなければなりません。

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Photo by Ryutaro Tsukata on Pexels.com

4.能動性

能動的であることは、人を愛する時の基本です。能動的であるとは、「この人が好きだ」「この人をもっと知りたい」「この人ともっと色々なことをしたい」というように、二人で何かを生み出そうと、積極的に働きかけることです。

例えば、自分から告白すること、マンネリ化しないように新しいSEXを提案すること、二人の将来について語る等。二人でもっと人生を楽しもうという積極性です。このような、色々な物事に対する積極的な姿勢がないと、愛する能力は高められません。

能動性の真逆にあるのが、受動的態度。「あの人が愛してくれるから、私も愛する」とか、二人の人生がどうしたらもっと楽しくなるかについて何も提案しないことです。これでは未来に対してワクワクするイメージを持てず、相手を本当に愛することも出来ません。

相手に対して能動的にかかわることは、愛の基本中の基本です。普段から人生を愛している人だけが、一人の人間を本当に愛することが出来ます。毎日あまり楽しくないけれど、愛している人だけはいる、のようなことは不可能です。世界に対する興味がないと、パートナーへの興味も生まれません。もちろん、本当の愛も芽生えません。

つまり愛がある人というのは、どんなジャンルに対してもモチベーションが高いということです。愛がある人は、世界の全てを愛しているので、仕事にも、遊びにも、勉強にも、SEXにも、美容にも、健康にも、政治経済にも積極的です。ですので、「遊んでばかりいないで真面目に生きなさい」というのはナンセンスですね。

愛の技術を習得したいなら、人に興味を持ち、世界に興味を持ち、あらゆることに能動性を持つことです。

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Photo by Polina Kovaleva on Pexels.com

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人間の存在理由は愛です。だから本当は、愛を2の次、3の次とするのではなく、人生の課題として真っ先に考えるべきことなのですよね。

人を本当に愛するためには、全人格的な成長が不可欠です。それも、貴方とお相手の方、お互いに。本当の愛を体験できたら、これほど幸せなことはありません。

「1人の人を本当に愛するとは、全ての人を愛することであり、世界を愛し、生命を愛することである。」(by フロム)

本書に興味を持っていただいた方、詳細は 『 愛するということ 新訳版 』 をご参照ください。

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